オールドメディアってなに? “性上納”や“枕営業”ってほんとにあるの?

前にも一度ネタにしましたが、相変わらずオールドメディアの不祥事が世の中を騒がしていますね。

今って、昔よりもテレビの影響力が下がっているじゃないですか。昭和生まれ、まごうことなきおじさんの“ぼく”だって、テレビ番組なんてほぼ見ないですし。

これはきっと、多くの若い“あなた”も同じでしょ?

そんな現代でも、問題になる「オールドメディア」の実態や問題点、そして巷を騒がせている“性上納”って本当にあるのか。今回はそんなことを考えてみたいと思います。

オールドメディアってなに? そもそも「メディア」ってなに?

オールドメディアとは?
今回のコラムの題材は「オールドメディア」。それを考えるためには……はい、このコラムを何度か読んだことのある人なら想像できますよね。そうです。まずは「オールドメディア」とはなんなのか定義づけをしたいと思います。

ということで、こんなところから書き始めてみましょう。

メディアってなにを指す?

オールドメディアとは、その言葉どおり「古い(オールド)媒体(メディア)」。ということは、オールドメディアを考えるには、まずメディアとはなんなのかを理解しなければなりません。

これまたいつもどおり、頼りにしているWikipedia先生で調べてみましょう。

メディア(media)は、情報の記録・伝達・保管などに用いられる物や装置のことである。媒体(ばいたい)などと訳されることもある。

引用:Wikipedia『メディア (媒体)』より

さっき、ちらっと先走ってその名称を出しましたが、メディアとは「媒体」、つまり“あるものとあるものを繋ぐ仲介役”と捉えれば分かりやすいかもしれません。

要するに新聞なら新聞社や記者などと読み手を、テレビならテレビ局や出演者と視聴者の間に入って双方を繋ぐものが「メディア」というわけです。

ここで大事なのはただ一点。新聞“そのもの”テレビ“そのもの”が「メディア」なのであって、記者や芸能人といった発信者を指すわけではないのです。

じゃあ、オールドメディアってなに?

メディアという言葉がはっきりわかったところで、今度はオールドメディアについて。

ただ、こちらはWikipediaにページがなかったため、さまざまなニュースを世界中に配信する超大手・共同通信社さんの解説を頼ることにしますね。

「オールドメディア」とは、旧来からあるメディアや報道機関。主に新聞、テレビ、ラジオ、雑誌の4媒体を指す。この4媒体は、一般的には4大マスメディア、4大メディア、4マス略してマス、あるいはマスコミ4媒体などと言われる。Webメディアのニュースサイトなど新しい媒体との対照で使われている。

引用:共同通信社HP『オールドメディアの解説』より

ぼくも皆さんも想像したとおりの答えだと思いますが、古くから存在してそれなりの影響力を保持している4メディアの総称ですね。

内部から見たオールドメディアの実情

昔の編集部あるある!
さて、気づいてくださった方はどのくらいいらっしゃいますかね?

過去に何度も書いていますが、これを書いているぼくが文字周りの仕事を始めたのはとある雑誌でした。つまりぼくはオールドメディア出身者と言えるわけです。

ぼくの場合、(小さな)出版社で働いたのはちょうど10年。当然、そのころにいろいろなことを直接、見聞きしてきました。

その中には「今、思い返すと、あれはダメだったな」と思うこともあれば、当時から「いやいやいや、これは絶対アウトだろ!」ってこともありました。

そんな記憶をほじくり返して、オールドメディアの内部の実情を書いていきます。

ぼくのいた雑誌はこんなところ

ぼくがいた雑誌は、ぼくの退職から1年ちょっとで休刊(事実上の廃刊)したものの、今も違うかたちで残っています。なので迷惑をかけないようある程度ぼかして書きますね

雑誌にはいろんな種類があるんですが、ぼくがいたのは特定の業界の記事だけを掲載するファン向けの「専門誌」。すごく有名なところで言うと野球界における『週刊ベースボール』やプロレス界における『週刊プロレス』のようなものですね。

特定の業界にしか影響力はないものの、在職当時に発行を続けていた雑誌の中ではもっとも長い歴史を持ち、売上もライバル誌と並んで1・2位。要するに、あくまで業界内限定ではあるものの、それなりのパワー(権力)を持っていたわけです。

ぼくが見たオールドメディアの実情

ぼくがいた雑誌編集部は、昭和世代中心だったこともあり、21世紀でも“昭和の雰囲気”がしっかり残っていました。

そして、前に書いたことがあると思いますが、雑誌は発行日が決められているので、ネタがある/ないにかかわらずページ数を埋めなきゃいけません。だから「おもしろいアイディアを出せる人がえらい」という風潮がありました。

いい言葉にすれば“実力主義”ってことなんですけど、要するに人間性は二の次、三の次だったんですね。

そしてね、これこそが最大の問題点だと思うんですよ。

本当に大事なのは人間性!

現代でもその風潮があると思うんですけど、むしろ強まってると思うんですけど、実力主義っていいことばっかりじゃないんですよ。プレイヤーとしては優秀でも、マネジメントが上手とは限らないですから。

でも、雑誌の世界で出世するのは「面白い企画を考えられる人」なんですよね。

もちろん、その中には人間性を伴った人もいます。でも、基本的には「面白いことを思いつく人=変な人」じゃないですか。だから、編集長や副編集長、デスクといった役職者のほとんどがちょっと、いや、めっちゃ変な人なんです。

前に書いた“セクハラ編集長”なんて好例だと思います。

そして、そんな人たちが部下を指導するんですから、真面目な人、優しい人ほどドロップアウトしちゃうんですよね。

結果として、まともな人間は(あまり)残らず、ぼくのようなダメ人間のたまり場になっちゃいました。

そんな環境で社会性が育まれるわけありません。

セクハラってあった?

あくまで個人的な感覚ですけど、前にセクハラ編集長の話を書きましたが、それ以外だとほとんど印象に残っていません。どちらかというと、恋愛トラブルのほうが多かったから。

というのも、編集部に女性って基本的にほとんどいないんですよ。特に中小企業だと。

恒常的に男女比が9:19.5:0.5くらいのところにちょっと若い女性が入ってくると、もうみんな面白いくらいに舞い上がっちゃってね。

そして、そんな環境だと基本的には女性のほうが立場が強いんですよ。今でいう「オタサーの姫」みたいな感覚でね。

“姫”を相手に身分違いの恋をした結果のすったもんだは山ほどありましたが、セクハラはほとんどなかったような気がします。昭和生まれの感覚だから、あまりあてにはなりませんけど。

パワハラってあった?

こっちにかんしては、自信を持って言い切れます。昭和生まれのぼくから見ても「酷いなあ」と思うことがたくさんありました

基本的に昭和時代の「実力主義」って、

・仕事のできる奴はえらい
・仕事のできない奴はえらくない
・えらい奴はえらくない奴よりえらい
・だからえらい奴はえらくない奴に何をしてもいい
・それが嫌ならえらくなれ!

こんな感じなんですよ。

さすがに社会人なので殴る・蹴るみたいな暴力行為は見たことないですけど、言葉の暴力は日常茶飯事でした

ただ、これも書いておかなきゃいけないと思うんですけど、少なくともうちの会社では、必要以上に怒られることはあっても、理不尽なことってほとんどなかった気がします

当時のぼくはライバル誌の編集者とお酒を飲んで内情を聞くたびに「うちでよかった」と思ったものでした。

話題の“性上納”って見たことある?

さて、今回いちばん書きたかったこと

最初に書いたとおり、ぼくらが作っていた雑誌は(業界内では)それなりに力を持っていました。取引先の方たちも、それはそれは気を遣ってくれました。

それに、うちの雑誌は「専属ライター」という外注さんがたくさんいたんですよね。もちろん、その中には若い女の子もいました。

でね、専属ってことは、他の媒体で何かを書いたり喋ったりってのは、基本的にNGじゃないですか。だから、安定して仕事を得るためには、社員と仲良くしておいた方が得なんです。これは男女とかベテラン・若手とかは一切関係ありません。全員、共通です。

そして、ぼくら社員側も、外注ライターさんと仲良くしておきたいわけですよ。こっちから仕事を依頼(という名のお願い)をすることも多いしね。あまり条件はよくないけど会社同士の付き合い上、人気のある人にお願いしたい。そんなとき、仕事を引き受けてもらえるかどうかは信頼関係次第ですから。

そんな環境で仕事を続けていく中、ぼくも少しずつ社内の地位や業界内での知名度が上がっていきました。

最終的には自社の雑誌やサイトだけではなく、他社のイベントや(CSがメインですが)テレビ番組ラジオ新聞など、他媒体への出演の決定権も持つようになったんです

仕事がほしい新人ライターと、ある程度仕事を差配する立場のベテラン社員。

さあ、ぼく自身に、そしてぼくの周辺で“性上納”と言われるようなことがあったのか、ちょっとまじめに書いてみます。

上納してもらった?

まず、これに対する答えはかんたんです。当然、ないです

会社内での地位が上がったところで、ぼくよりえらい人はたくさんいるんだもん。そしてその人たちに「このイベントは○○さんではなく△△さんで」と言われたら終わりです。

自発的、他者からの強制を問わず、わざわざこんな小物に売り込みに来る人はいません

見た/聞いたことはある?

逆に、言い方がすごくむずかしいのがこっちなんですよ。

まず、「これは明らかに性上納だ!」って話は、見たことも聞いたこともありません

ただね、あんまり使いたくない言葉ではありますけど、「枕営業」っていうんですかね、そういうのに“近いもの”は普通にあったんですよ。

別に役職の高い人に限った話ではありません。ぼくと同レベルのポジションの同僚も、ぼくらより若くて役職がなくても特殊な取引先との付き合いがあれば味わった経験を持っているでしょう。

男と女、どっちから仕掛ける?

これも返事がむずかしいですね。正直、どっちのパターンもそれなりに見かけたので。

めちゃくちゃ個人的な感覚なんですけど、クリエイティブな業種を選ぶ女性って、アグレッシブな方が多いイメージなんです。もちろん業界・業種にもよるんでしょうが、自分の作品を広く世間に届けるという仕事ですからね。自分に自信のある人が多い分、積極的にもなるんだろうと認識してました。

同時に、こっち(社員)側から動く男性も、いくらでも見かけました

もちろん、悪意ばかりというわけではありませんよ。

ライターといっても顔を晒して仕事するわけですから、それなりに容姿が整った方が多いんです。そのうえ、編集者っていうのは社内に女性がほとんどいないし、残業だらけで出会いもないしで、いわば「飢えた」状態の人ばかり。

好意のハードルが極限まで下がった状態の男たちに「恋をするな」というのも無理な話ですよ、うん。

正直、断言するのはむずかしい

こういうのって、「枕営業」や「色恋営業」と呼ぶべきものなのか、それとも純愛なのか、判断がむずかしいですよね。特に、他人から話を聞いただけだと。

だから断言はしません。実際に「うわー、あからさまだな~」って冷めた目で見てた関係が進行し、結婚して幸せにしている人もいますしね。

でもそれだって最初から真剣だったのか、最初は打算だったけど関係を深めていくうちに愛情が生まれたのかも、他人に判断できることではありません。

結論としては“性上納”という形態を見たことはないけど、「枕営業」や「色恋営業」のように見える行為を仕掛ける/誘発しようとする人は、男性側にも女性側にもたくさんいた。そういう感じでしょうかね。

テレビの世界ならあるんじゃないの?

先ほども書きましたが、ぼくは「テレビの世界」ともほんの少しだけ縁がありました。でも、別に芸能界で働いていたわけではないので、実際のところは分かりません。

ただ、あくまで個人的に勝手に想像した結果、「あってもおかしくないな」かな。

そもそも、ぼくらの世界ですらある程度の“色恋”があったくらいなんですよ。けた違いにスケールのでかい芸能界なら、不正のスケールまで大きくなっても不思議じゃないのかな、なんて勝手に思っています。

こんなことが起きるのはなぜ?

あくまでぼく個人の考えですが、これって人間としての、いやもっと手前の動物としての本能だと思うんですよ。

男は立場を利用して、女は容姿などの強みを活用して、それぞれ金銭欲や性欲、自己承認欲求などを満たそうとする。それだけの話じゃないですか。

金銭欲も性欲も、人間という動物にとっては自然な欲求ですからね。悲しいけど、なくならないと思います。

ただ、こういうのが起こる世界って限定される気がします。トーク力や文章力といった「数値化できないもの」を商品にしている業界だけなんじゃないですかね。

たとえば出版と同じく芸能界の“隣接業界”の1つ、音楽業界だと成立しない気がするんですよ。特に楽器演奏者の場合は。だって、容姿が良くても演奏が下手だと使えないじゃないですか。

悲しい話ではあるけれど、これからも限られた世界だけで、こういった事案は怒り続けるのでしょうね。

まとめ:オールドもニューも関係ない!

性欲や金銭欲が自然な欲求なら、メディアは変われない!
いやあ、思ったより長くなっちゃいました。すみません。なので、まとめは手短にいきます。

確かに、オールドメディアは腐っています。でもね、それが人間として自然な欲求のもとに生まれたものであるなら、“オールド”も“ニュー”も関係ないですよ。今、腐っているか。それともまだ腐ってないけど今後腐るか。その違いしかありません。

オールドメディア出身者として、ある程度の確信をもって言います。

いわゆる“売れている人”って、ものすごい実力者か、ものすごい幸運者か、ものすごい卑怯者です。売れているほど、すごさも上がっていきます。

そしてそれは、媒体によって変わるものではないでしょう。YouTubeTikTokInstagramなどニューメディアで売れた人も3者のどれかだと勝手に思っています。

皆さんもテレビやネットの“中の人”から「推し」を探すのであれば、そんなところにも注目してみてください!

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