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派遣社員とは?収入やデメリットは?大きな誤解をしてるかも!?

前回は「契約社員」について解説しました。しかし、社員雇用の形態には、もう一つありますよね。

そう。今回紹介するのは派遣社員です。

ポータルサイトで「派遣社員」と打ち込むと、サジェストに出てくるのは……「メリットない」「デメリット」というワード。

このことから、世間的に派遣社員のイメージはあまり良くないのかもしれません。それは、契約社員も同じですね。

しかし、これは大きな誤解をはらんでいるかもしれません。

派遣社員の形態とは?労働条件や種別を解説!

派遣社員が働くのは派遣先
前回も書きましたが、労働者は労働契約を結んだ会社で働く。これは、正社員にもアルバイトにも共通です。

しかし、派遣社員と呼ばれる形態では少し異なるのをご存知でしょうか。

派遣社員だけど正社員?契約や働き方の詳細を解説!

契約社員とその他の雇用形態。その大きな違いが就業場所です。

法律で「派遣労働者」と呼ばれるこの形態では、雇用契約を結ぶのは派遣会社(派遣元)。しかし実際に就業するのは、派遣元が労働者派遣契約を結んでいる企業(派遣先)。つまり、契約した会社とは別の場所で働くことになります。

ちなみに、派遣元との契約形態はさまざま。期間を区切った有期雇用もありますし、無期雇用契約を結び派遣元の正社員として他社で働くこともあります。

大きく分けると3種類!派遣社員の種別とは?

契約社員と同様に、派遣社員という形態自体は、世間的に認知されています。しかし、その内情まで理解している人は、意外と少ないのではないでしょうか。

まず、派遣社員の種類。区別の仕方にもよりますが、一般的には3種類に分類されます。

派遣の種類
一般派遣(登録型)
無期雇用派遣(常用派遣)
紹介予定派遣

皆さん、いかがでしょうか。これらの違いが分かりますか?

それぞれの特徴をかんたんに解説していきます。

一般派遣

この形態は登録型とも呼ばれます。労働者は人材派遣会社に登録し、紹介された中から希望する会社をチョイス。派遣先からもOKが出れば、派遣元と雇用契約(ほとんどは有期契約)を結んで、派遣先で働くことになります。つまり、雇用契約を結ぶのは就労期間中のみということです。

この形態のメリットはある程度、就業先を自分で選択できること。ただし、就業していない期間は無給となってしまうことはデメリットと言えるでしょう。

無期雇用派遣

こちらは労働者が派遣元企業と無期雇用契約を結び、派遣先で就労する形態。つまり、派遣元企業の正社員として派遣先の企業で働く契約です。

こちらのメリットはなんといっても安定性の高さ。無期雇用派遣者は常に派遣元企業の正社員なので、なんらかの理由で派遣先企業がない「待機期間」中も休業手当が支給されます。通常の給料よりは安いものの、一定の金額を受け取れる安心感は大きいでしょう。

デメリットは、一般派遣に比べると、就業先を自由に選べないこと。もちろん、ある程度の希望は出せますが、会社の指示で派遣先が決まってしまうこともあります。

紹介予定派遣

こちらは少し特殊な形態。派遣先企業での直接雇用を見越した派遣スタイルです。多くの場合、派遣先で3カ月~6カ月ほど働いたあと、お互いが合意すれば派遣先と直接雇用契約を結ぶことになります。

言わば、お試し採用のような形態ですが、労働者にとっては業務内容や職場環境を、企業にとってはその人の性格やスキルを、それぞれ事前に確認できるため、定着率が高い採用方法とも言えます。

この形態にはデメリットはありません。敢えて言えば、派遣先企業での直接雇用に失敗した場合、再度ゼロから就職活動を始める必要があるくらいでしょう。

収入面のメリット/デメリット

入社直後は派遣社員は高収入!?
ここからは収入や業務内容など、派遣社員のメリットデメリットを項目別に解説していきます。

まずは収入面について。

一般的に、派遣社員の収入は正社員と比べて低いと思われているのではないでしょうか。

これは、ある意味で正解であり、ある意味では不正解でもあります。それを踏まえて、下記をお読みください。

メリット

派遣社員に限定した平均年収は、信頼度の高い行政機関からの発表値が発見できませんでした。ただ、厚生労働省の「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」によると、1日8時間労働換算の平均賃金15,968円となっています。

これに同じく厚労省が発表している平均休日115.3日を合わせて計算すると、平均年収は398.7万円となります。おおよそ、このあたりではないでしょうか。

対して、国税庁の調査によると、正社員の平均年収は523万円。この数値だけを見ると、正社員のほうが高収入だと言えそうです。

しかし。これだけの差がついてしまう要因の1つには、「派遣社員は給料が上がりにくい」という点が挙げられます。これを逆に捉えれば、派遣社員は勤務開始直後から平均年収に近い収入を得られるということです。

一方、正社員として入社した場合は、よほど前歴がしっかりしている方を除いて、初任給はそれほど高くありません。勤続年数に応じて、だんだんと収入が上がっていくのが一般的です。

つまり、在職期間が長くなるほど正社員との差は広がります。しかし、転職直後は大きな差がないどころか、契約社員のほうが高収入ということもよくあるのです。

「契約社員の収入は低い」という言い方が“ある意味で不正解”といった理由が、お分かりいただけたでしょうか。

デメリット

メリットにも書いたとおり、正社員ほど昇給が見込めないことがデメリットの筆頭。また賞与がもらえないことも多く、もらえても金額が低い(5~10万円)ということもあります。

もう一つ、安定感の低さもデメリットと言えます。特に一般派遣だと、契約終了後、新しい職場を見つけるまでは収入はありません。また無期雇用派遣でも、就労と就労の間は休職扱いとなり給与が大きく減額されることもあります。

派遣社員をめざす場合は、このあたりに注意が必要です。

業務内容のメリット/デメリット

何度か書いてきたとおり、派遣社員の就労先は、派遣先の企業です。そして派遣先企業は労働者に対して指揮命令権を持っています。

しかし、自社の正社員と同じように扱えるわけではありません。

では、派遣社員と正社員、実際の業務内容にどのような違いがあるのでしょうか。

メリット

派遣先企業の指揮命令者は派遣労働者に対して、以下の業務指示を出すことができません。

派遣先企業が派遣労働者に出せない指示
労働派遣法によって禁じられている業務
サービス残業
契約範囲外の業務
接待・飲み会への参加
部署異動
二重派遣/偽装請負

この中から特に注意が必要なものを解説します。

労働派遣法によって禁じられている業務

安全面への配慮や仕事内容の専門性の高さにより、労働派遣法は下記の業務に派遣労働者を活用することを禁じています。

港湾運送業務
建設業務
警備業務
医療関連業務
弁護士・社会保険労務士などの「士」業

もし、これらの業務を行っても、労働者が罰せられることはありませんが、注意しておきましょう。

契約範囲外の業務

派遣社員は派遣契約書に記載された業務にのみ従事します。たとえば一般事務として契約していた場合、手が空いているからといって経理の手伝いを強制することはできません。

もちろん、本人の好意で引き受けることは可能です。ただし、範囲外の業務を頻繁に頼まれる場合は、派遣元企業の担当者に相談しましょう。

部署異動

派遣契約書には業務内容だけでなく、配属先の支店名や部署名も記載されます。そのため、派遣社員に部署異動を指示することはできません

ただし、派遣元・派遣先・労働者の全員が合意していれば、派遣期間満了後、新規契約を締結する際に別部署での業務を打診することは可能です。

これらの定めにより、派遣社員は特定の業務に集中できます。また残業や飲み会などへの参加も正社員以上に強制されないため、ライフワークバランスを保ちやすいこともメリットでしょう。

デメリット

契約社員の解説と重複しますが、業務範囲が限られることは、そのままデメリットにも繋がります。

なぜかというと、得意な業務ばかりを任されて、弱点克服や新たなスキルの獲得が難しくなるから。このことは別会社への転職活動で、希望する企業から不安視される要因になってしまう可能性があります。

正社員になれる!?めざすべきキャリアパスは?

正社員をめざす4つの方法
派遣社員で働く方の中には、あくまでも「正社員への過程」と捉えている方も多いのでは。

では派遣社員から正社員へのステップアップは、現実的に可能なのでしょうか。また、キャリアパスにはどのようなものがあるのでしょうか。

そのあたりをケース別に解説します。

ケース①:紹介予定派遣

前述のとおり、紹介予定派遣は労働者も派遣先企業も、直接雇用を見据えた契約です。逆に言えば、よほどのミスマッチがない限り直接雇用に結びつきます。

では、紹介予定派遣された労働者のうち直接雇用に繋がるのはどのくらいでしょう。先ほども紹介した厚生労働省の「労働者派遣事業報告書の集計結果」のデータによると、2019年から2022年のトータルでなんと73.7%。つまり紹介予定派遣を受けた4人に3人が直接雇用を結んでいます。

ちなみに、この数値には正社員の形態も含みます。それでも中心は正社員契約でしょうから、少なくとも6割は正社員登用を勝ち取っているのではないでしょうか。

さらに言うと、雇用されなかった26.3%の中には、労働者の方から断ったケースもあると思われます。そしてそれは、決してネガティブなことではありません。なぜなら、正式な入社前に職場の雰囲気や業務内容を直接確認し、「自分に合わない」と判断したのですから。

労働者にとっても企業にとっても、ミスマッチは不幸しか産みません。それを避ける意味でも、紹介予定派遣はとても有効です。

ケース②:派遣先企業で正社員に昇格

一般派遣/無期雇用派遣を問わず、派遣先企業が正社員登用制度を整えている場合もあります。この場合、普段の就業姿勢や能力・スキルによっては正社員登用をめざすことも可能です。

紹介予定派遣とは異なり直接雇用を見据えた契約ではないため、その成功率は高いとは言えません。これも企業によって幅がありますが、難易度の高いテストを受ける必要があるケースもあります。

それでも、特に職種・業界未経験者からすれば、実力をアピールする場が用意されているだけでも、かなり有利と言えるでしょう。

注意点:知っておきたい「3年ルール」

派遣社員に詳しい方ならご存じだと思いますが、ここに触れないわけにはいきません。

それが、賛否両論ある、通称「3年ルール」です。

これをかんたんに解説すると「派遣社員として同じ企業で働けるのは最長3年で、それ以降も継続させたいなら直接雇用しましょう」というルールです。

本来は派遣社員の正社員登用を促進するためのルールでした。しかし現実的には、半強制的に3年間で雇い止めという運用が多く、賛否を読んでいます。

派遣先での正社員登用をめざす方は、3年のうちに自分をアピールできるよう、がんばってください。

「3年ルール」の例外

ちなみに。3年ルールにはいくつか例外があります。代表的なものは、「無期雇用派遣」と「部署異動」です。

まず、無期雇用派遣の労働者について。こちらは業種を問わず、現実的に用いられる方法で、雇用の安定という意味では正社員となにも変わりません

また業務内容や残業、飲み会の強制などができないなど、派遣社員ならではのメリットはそのまま。ちなみに、賞与や福利厚生については派遣元企業によります。

もう一つの部署異動。先述のとおり、派遣労働契約には部署名まで記載されます。そのため、異動の際には新たに契約書を作成することに。その際、契約期間もリセットという扱いになり、また新たに3年間、その企業で働くことができるようになります。

ケース③:別の企業で正社員採用をめざす

契約社員と同じく、就業先以外の企業への転職活動ももちろん可能です。ただし、残念ながらこちらの難易度は高いと言わざるを得ません。

その理由も、契約社員のときと同じ。この記事でも少し触れましたが、業務範囲が限られているため、総合力が低いと思い込まれるケースが多いからです。

このパターンをめざすなら、働きながら業務に関連する資格を取得するか、紹介予定派遣を探すのがおすすめです。

ケース④:派遣元企業で営業や人材コーディネーターをめざす

個人差はあるものの、現実的なキャリアアップの1つとして紹介したいのがこちら。派遣元企業は登録者を提携会社に派遣するだけではありません。当然、提携先を探す営業職や、労働者を管理する人材コーディネーター職が必要です。

どちらも「派遣社員として働いた経験」をダイレクトに活かせるため、元派遣社員からの転身が意外と多い職種。職業柄、普通自動車免許が必須となるほか、派遣中の労働姿勢などが厳しく見られますが、まったく縁のない会社よりは自分をアピールしやすいでしょう。

コミュニケーション能力に自信のある方は、ぜひ覚えておいてください。

まとめ:正社員へのステップとして優秀な形態!

派遣社員をステップに正社員をめざそう
長くなりましたので、最後にメリットとデメリットをまとめておきます。

メリット
・(特に入社直後は)正社員と変わらない収入が見込める
さまざまな仕事にチャレンジしやすい
形態によっては正社員と同じく安定感がある

デメリット
仕事がなくなるリスクがある
スキルアップや自己成長をしにくい
一般派遣だと休業時の保障がない

これらから、いろいろな仕事にチャレンジしたい方や、残業や転勤のない仕事を探している方には、派遣社員は決して悪い選択肢ではありません

また、経験のない業界・業種に飛び込むにあたっても、採用ハードルの低い派遣社員は十分ありと言えるでしょう。

ただ、派遣社員を長期間続けることはおすすめできません。収入の段落でも書いたとおり、長く働くほど正社員との格差が広がってしまうからです。

新たな業種にチャレンジしたい方は一般派遣無期雇用派遣を、正社員をめざす方は紹介予定派遣を、それぞれステップの1つとして考えるなら、派遣社員は有効な手段です。

最後に。『ジョブリット』には派遣社員の求人はありません。ただ、未経験歓迎・学歴不問の求人が揃っています。新たなチャレンジ場所を探している方は、ぜひチェックしてください!

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