就職・転職活動をするうえで、絶対に避けたいのがブラック企業。大変な時間と労力をかけたのに、入社したのがブラック企業では報われません。
では「ブラック企業」とは、どんな企業が該当するのでしょうか。定義や特徴、そして見抜くコツを解説します!
定義はない!?ブラック企業を見抜くために特徴を知ろう!
日本で経済の発展や働く環境の整備を担うのは、厚生労働省。その厚生労働省は、ブラック企業について定義をしていませんが、「一般的な特徴」として下記を挙げています。原文は長いので、簡略化してお伝えします。
極端な長時間労働やノルマを課す
サービス残業やパワハラの横行など、コンプライアンス意識が低い
採用時の合意以上のシフトを入れる
「ノルマ」や「罰金」を理由に退職させない
一方で、“決まった定義はなく曖昧なイメージで叩かれている場合”もあるとして、下記を理由に安易に決めつけるのは危険とも書いています。
単に労働時間が長い
休日出勤がある
希望とは異なる部署に配属された
上司が厳しい
仕事の密度が濃い
福利厚生が未整備
この2つを見比べながら、ブラック企業の特徴を定義づけていきましょう。
【労働時間】ブラックの目安は平均残業〇時間!
ブラック企業=「労働時間が長い」。そんなイメージを持っている方も多いのでは。では具体的に、1日何時間くらい働くのがブラック企業と言えそうなのでしょうか。
繰り返しますが、明確な定義はありません。また感じ方には個人差もあることでしょう。
それでも、目安をつくるなら1日3時間の残業ではないでしょうか。たとえば9時出社の企業で、21時を超える残業が頻繁に発生する場合は、ブラックと認定してもいいと思います。
そもそも、労働基準法が定める1日の労働時間の上限は8時間。これは上限です。基本や平均ではありません。その上限を大幅に超えることが常態化しているのなら、大きな問題です。
ただし、繁忙期など明確な理由がある時期“だけ”、残業が発生する場合。これはブラックとは断定できないかもしれません。
そのときどきの事情も踏まえたうえで、冷静に判断しましょう。
【休日数】完全週休2日制が“当たり前”って本当!?
労働時間と同じく、ブラック企業の一般的な特徴が休日の少なさでしょう。一般的には「年間休日120日」がホワイト企業かどうかの境目になっていると感じます。
では、日本企業の平均休日数はどのくらいか。皆さん、ご存じでしょうか。
令和5年平均…115.6日
週休制の形態
完全週休2日制…53.3%
週休2日制…32.1%
週休1日制or週休1.5日制…6.9%
週休2日制より多い…7.5%
完全週休2日制と週休2日制の違いは、前者が毎週必ず2日以上、休めることに対して、後者は隔週など毎週ではない点にあります。
この結果を見ると年間休日数は、120日以上でホワイト、119~110日が平均的、109日以下だと少なめ。そしてブラックの目安は……やはり100日未満ということになるのではないでしょうか。
こちらでも注意したいのが、法定休日が少ないのか、それとも休日出勤が多く結果的に休日が少ないのか、という点。前者なら給料は増えませんが、後者なら支給額は大幅にUPします。
ブラック企業を判断する場合、あくまでも法定休日が99日以下が目安となるでしょう。
取れて当たり前の権利!【有給休暇】について
現実的な休日数を考えるうえで、欠かせないのが有給休暇。多くの企業では入社半年後に10日、付与されます。
ということは、法定休日が110日でも、有給休暇をすべて自由に取得できれば、実際の休日は120日。この場合、休みたい日に必ず休める付加価値もあり、労働者の不満は溜まりにくいと考えられます。
年間休日数を正確に把握したい方は、有給休暇の取りやすさにも注目しましょう。
ちなみに本来、有給休暇は理由を問わず取得可能な権利。企業側が断れるのは、同じ日に多くの従業員が申請して、業務に支障が出る場合だけです。
有給休暇を自由に取得できないという話もよく聞きますが、その時点でルールに違反しているブラック企業と認定してOKでしょう。
【給与】平均賃金はあまり当てにならない!
何年勤めても、給料が上がらない。それではたとえ休日が多く労働時間が短くても、ブラックと思われてしまいがちです。
では、いわゆる「ブラック企業」の月給はどの程度なのか。
この部分も定義づけるのが難しいと感じます。なぜなら、収入の満足度は個人差が大きいからです。
それでも収入面からブラック企業を見抜く方法はあります。それは基本給や支給額にかかわらず、残業代や深夜・休日手当などの「手当」がきちんともらえるかどうか。
これらの手当も、労働者が「もらって当然」の権利。たとえ一部でも支払われないのであれば、その時点でブラック認定してもいいほどです。
こちらも例外!【ボーナス】の平均ってどのくらい?
収入面を考えるうえで、外せないのがボーナス。細かい条件は企業により異なりますが、多くの場合は夏と冬に2回、支給されます。
一流企業と呼ばれる会社なら、1回のボーナスが基本給3カ月分を超えるケースもあります。一方で、中小企業では1カ月分程度ということも少なくありません。
ちなみに、ボーナスの有無や支給額でブラック企業かどうかを判断するのも困難です。こちらは個人の感覚ではなく、企業ごとで考え方が異なることが理由です。
それを踏まえたうえで、令和5年の平均賞与額を掲載します。あくまで参考としてご覧ください。
令和5年・夏…397,129円
令和5年・冬…395,647円
(出典:令和5年・夏厚生労働省『毎月勤労統計調査(令和5年9月速報)』)
(出典:令和5年・冬厚生労働省『毎月勤労統計調査(令和6年2月速報)』)
こちらは、大手も中小もひとくくりにしたデータなので、ご注意を。そもそも、月給を高めに設定する代わりにボーナスは少ないという会社もあれば、その逆もあります。年俸制でボーナスという概念がない会社も増えています。
ご自身の希望に沿う範囲で、他の要素と合わせて判断してください。
【ブラック認定まとめ】
ここまでさまざまな要素を紹介してきました。ではどんな会社をブラックと認定するのか。ジョブリットメディア編集部の答えはシンプルです。
それは、ルールや法律を守らない会社です。
残業が多すぎるのは労働基準法から逸脱するルール違反ですし、残業や休日出勤の手当を支給しない場合は完全に法律違反です。また入社前の説明と実際の給与が異なることも、れっきとした法律違反です。
ルールを守れない会社はブラック企業。どんなに魅力的なポイントがあっても、避けるべきでしょう。
しかし、これらのルール違反が入社後に分かったのでは、あまり意味がないのも事実。
求職中にブラック企業を見抜くには、どうすればいいのでしょうか。
頼りになるのは“ナマの声”!口コミサイトを確認しよう!
今となっては転職サイトと並ぶほどに当たり前のツール。それが口コミサイトです。
現役、退職者を問わず、会社の実情を知っている人の声が載っているため、転職先を探すにはありがたいサイトです。
では、口コミサイトのどんなところに注意すれば、ブラック企業を事前に見抜けるのでしょうか。
ここではジョブリットメディア流「口コミサイトのチェックポイント」をご紹介します!
一目でわかる!<トータル評価>
多くの口コミサイトは企業のTOPページで、収入や職場の雰囲気、労働環境など各部門をまとめた総合評価を確認できます。
その評価が中間以下であれば、その時点で候補から外してもいいでしょう。というのも、ほとんどの会社にはそれぞれ“いいところ”があるはずです。そうでなければ、とっくに潰れているでしょう。
にもかかわらず、全項目の評価が悪い。これではブラックであろうがなかろうが、入社する価値がないと判断できます。
コメントの中身を要チェック!<収入部門>
ここから先は、部門を個別に見ていきましょう。まずは皆さんがまず気になるであろう収入部門。前述のとおり評価基準に個人差がありすぎるため、判断が難しい部門でもあります。
そのため、この部門の評価が低くても、もしくは高くても。数値だけで判断するのは早計と言えます。コメントの内容をしっかりチェックして、ご自身の希望に沿うかどうかを判断しましょう。
ポイントとしては、コメントを残した人のプロフィールも確認すること。年齢や勤続年数、職種に役職の有無など。それらの情報と自身が思い描くキャリアプランを照らし合わせて、評価することをおすすめします。
書き手の職種に注目!<労働条件部門>
次は休日数や労働時間など、「ブラック企業」に直結する項目を合わせた労働条件。
ここで重要なのは、書いている人の職種です。というのも、休日数や残業時間は職種によって大きく異なるものですから。
たとえば事務系の人たちからは高評価でも、営業系の人が少人数、低評価をしている。そしてあなたは営業職に就こうとしている。
この場合、総合評価が高くても、あなたは満足できないでしょう。
トータル評価に惑わされず、自身が転職を考えている職種の口コミに絞ってチェックしましょう。
口コミサイトは本当に有能…だけど、気を付けてほしいポイント
最後に、ひとつだけ注意を。最初にも書いたとおり、口コミサイトは求職者にとって本当に便利なサイトです。
ですが、コメントの多くは退職者が書いている、というポイントには注意してください。例外もありますが、不満があったから退職した人がほとんどです。逆に言えば、会社に不満がなく転職活動を考えていない現役社員は、口コミサイトにあまり投稿しません。
そのため、どうしても会社に否定的なコメントが集まりやすいのも事実なのです。
また、コメント主がいつ働いていたのか、も重要なポイントです。良くも悪くも、変化している可能性は十分にあります。
辞めた理由がその人にとって「合う・合わない」の問題だったのか。それとも、「法律やルール、マナーから逸脱」していたのか。
そこは冷静に判断してくださいね。
まとめ:ブラック企業を事前に見抜こう!
ここまでブラック企業の特徴や見抜き方を解説しましたが、少しは参考になったでしょうか。
人間は環境に適応してしまうので、入社当初は少し「おかしいな?」と思っても、次第に慣れていきます。しかし、正当な報酬が得られなかったり、知らないうちに心身を酷使してしまったりと、知らないうちに損をしてしまいます。
そんな悲しいことにならないよう、ブラックかどうかのチェックは念入りに行ってください。
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