就職・転職活動をしている中で、一度は耳にしたことがあるであろう「ベンチャー企業」。
しかし、これまでに紹介してきた大企業や中小企業とどう違うのか。また、最近よく聞くスタートアップ企業との差はどこにあるのか。それをはっきりと答えられる方は少ないのではないでしょうか。
この記事ではベンチャー企業の定義や魅力、特徴をかんたんに解説します。
ベンチャー企業のステータス (ジョブリットメディア編集部調べ) | |
転職の難しさ | ★★★★☆ |
収入の高さ | ★★★☆☆ |
福利厚生 | ★★☆☆☆ |
働きやすさ | ★★★★★ |
将来性 | ????? |
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
ベンチャー企業ってどんな企業?
ベンチャー企業に明確な基準や定義はありません。ですが、経済産業省は下記のような定義をしています。
ベンチャーとは、起業にとどまらず、既存大企業の改革も含めた企業としての新しい取組への挑戦である。
つまり、経済産業省では会社の新旧を問わず、新たな事業に積極的に挑戦する会社をベンチャー企業と定義しています。
一般的なベンチャー企業の定義
「ベンチャー企業」の一般的なイメージは、経済産業省の定義と少し異なるかもしれません。
皆さんも、ベンチャー企業と聞くと下記のような会社を思い浮かべるのではないでしょうか。
・新設したばかりの企業
・新たなビジネスに挑戦している
・成長過程にある
・社員数が少なく、若手が中心
前述のとおり、明確な定義はありません。なので、こういったイメージも間違いとは言えません。
ただ、経済産業省の定義と合わせて考えると、「若手を中心に、新たなビジネスに挑戦している成長中の企業」がベンチャー企業と呼べるのかもしれません。
スタートアップ企業との違いは?
ベンチャー企業と同じような意味を持つのがスタートアップ企業。こちらは革新的なビジネスモデルを用いて社会にイノベーションを生み出し、起業から短期間で急成長を遂げる企業を指します。
もともとはアメリカのシリコンバレーで誕生した言葉ですが、日本でもIT系の新設企業をこう呼ぶことが増えています。しかし、実際にはIT企業に限った言葉ではありません。
また語感から勘違いされがちですが、「新設企業」を指すわけでもありません。
ちなみに、スタートアップ企業(start-up company)は海外でも通じますが、ベンチャー企業(Venture business)は和製英語で海外では通じないことも違いと言えます。
中小企業との違いは?
前回紹介したとおり、中小企業とは中小企業基本法により定義された企業を指します。
創設から間もないベンチャー企業が多いため、結果として中小企業に当てはまることが多いのは事実。ですが、必ずしもここに含まれるとは限りません。
大企業との違いは?
前々回の記事で紹介した大企業。こちらはかんたんに言うと、「中小企業に“当てはまらない”企業」を指します。
当然、ベンチャー企業でも資本金や従業員数が中小企業基本法の基準を超えれば、大企業となります。一般的にはこういった企業を「メガベンチャー」と呼んでいます。
成長ステージについて
一般的に、ベンチャー企業は事業の進行段階に応じて、4段階の成長ステージで分類されます。
1 シード(seed)
2 アーリー(early)
3 ミドル(middle)
4 レイター(later)
ベンチャー企業への転職を考えている方は、その企業のステージにどこなのか。さらには今後、成長を見込めるのか。
そのあたりを考慮して、志望企業を絞りましょう。
シードステージの特徴
seedとは「種」のこと。つまり、起業前の段階を指します。
このステージでは事業のアイデアやコンセプトの選定、市場調査やプロトタイプの開発が主な業務。まだ収入が得られる段階ではないため、3~5人程度の少人数で運営されていることがほとんどです。
アーリーステージの特徴
主に創業~発展段階を指すステージで、スタートアップ期とも呼ばれます。
最大の特徴は、事業リスクが高いこと。まだ認知度が低く売上が少ないのに、設備投資などで多額の資金を必要とする時期です。
このステージにある企業に応募する際は、資金調達の方法やバックアップしている企業のチェックなどが必要かもしれません。
同時に、この時期に立ち上げメンバーとして入社し、その後、経営が順調に進展すれば、大きなリターンを得られる可能性を秘めています。
ちなみに、この段階で従業員数が二桁(10~20人程度)になる企業が多いでしょう。
ミドルステージの特徴
創業期を抜けて、事業が拡大し軌道に乗り始めた時期にあたります。そのためエクスパンション(拡張)ステージとも呼ばれます。
この時期になれば製品やサービスがユーザーに認知されはじめ、売上が固定費を上回り、利益が出始めるタイミングかもしれません。
ただし、まだまだ設備投資や人材確保は必要。また企業の組織化や業務マニュアルの作成など、さまざまな施策が必要な時期とも言えるでしょう。
レイターステージの特徴
ビジネスモデルも組織も確立され、経営が安定する時期のこと。ここまでくれば、ベンチャー企業は成功と言えるでしょう。
そしてIPO(新規上場)をはじめ、さらなる拡張を考え始めるタイミングかもしれません。
同時に、事業の核としていた業務が、ひと段落ついてしまう時期でもあります。新事業のために目を向けて融資を受けるなど、次のチャレンジの成否を気にする必要があるでしょう。
ちなみに、求人への応募社が急増する時期でもあります。ただし、このあと紹介するベンチャーならではの恩恵を受けにくい時期でもあるかもしれません。
ベンチャー企業で働くメリットとデメリット
新たな技術や方法論で成長を遂げようとするベンチャー企業。
そこで働くと、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
ベンチャー企業で働くメリット
大きく分けると、下記がメリットとして挙げられます。
大きく成長できる環境がある
年齢やキャリアを問わず評価される
多様な働き方ができる
経営者との距離が近い
では1つずつ解説していきます。
大きく成長できる環境がある
多くのベンチャー企業にはマニュアルがありません。まだ、教育体制が整っていないケースが多いからです。ということは自分自身で最適な仕事方法を探す必要があります。
また、人手が足りていないことも多く、職種にかかわらずさまざまな仕事を任されることも特徴です。
そしてそれらは、大変ではあるものの、成長できる環境とも言えます。
課題への対応力・解決力やマルチタスク能力が身につきやすいので、短期間で大きく成長できるかもしれません。
また人数が少ないということは、管理職へ昇進をしやすいということ。早い段階でマネジメント力を身に付けられることも、ベンチャー企業ならではの特徴です。
年齢やキャリアを問わず評価される
多くの場合、ベンチャー企業では「成果」が最重要視されます。
年齢やキャリアにかかわらず、結果を残せば給与や人事に反映してもらえるため、やりがいを実感しやすいでしょう。
同時に、どれだけ過去の実績があっても、結果が残せなければ評価はされにくいことも事実。
給与に関しても固定給は低めに設定される代わりに、インセンティブが充実している傾向にあるなど、実力のある人や実力を試したい人に向いていると言えます。
多様な働き方ができる
起業から間もないベンチャー企業では、柔軟な発想でルールを作れることもメリット。そのため、固定観念に捕らわれない働き方を実現しやすくなります。
たとえば新型コロナウイルス騒動でも、大企業や歴史の長い企業ではリモートワークへの反対意見が根強かったのに対し、ベンチャー企業は素早く対応していたことも記憶に新しいところ。
新しいルールをつくり、試し、失敗すればまた違う方法を探す。
柔軟性をもってよりよい環境づくりを模索できるのも、ベンチャー企業ならではと言えるでしょう。
経営者との距離が近い
大企業や老舗企業と比べて、従業員と敬遠者の距離が近いこともベンチャー企業の特徴。経営者に自分の意見を伝えやすいだけではなく、経営方針の決定や事業展開にも関わることができます。
自分の成長に繋がるうえに、将来、転職をする際にも役に立つ大きなメリットです。
ベンチャー企業で働くデメリット
歴史や実績を持たないがゆえに、多くのメリットを持つベンチャー企業。しかし当然、デメリットも存在します。
まずは主なデメリットを4つ、紹介します。
給与や福利厚生に不満を持ちやすい
人手不足により仕事量が増えやすい
教育体制が整っていない
経営が安定していない
こちらも1つずつ解説していきます。
給与や福利厚生に不満を持ちやすい
知名度が低く、商品やサービスが浸透していない段階では、企業は大きな利益を生み出せません。つまり、給与や福利厚生に回す原資が少ないことになります。
特に大企業での勤務経験がある方にとっては、不満を感じることもあるでしょう。
人手不足により仕事量が増えやすい
同じ理由により、ベンチャー企業は人手不足のことがほとんど。そのため、1人ひとりの業務量が多くなりやすい傾向にあります。
マルチタスクを求められることも多いので、それに対応できない人はツラいと感じる場面が多いかもしれません。
教育体制が整っていない
設立間もないベンチャー企業では、マニュアルなどが未成熟なケースが目立ちます。
そもそも経営者が即戦力を求める傾向も強く、若手を育てる環境という意味では、大手や老舗の企業に劣ると言わざるを得ません。
経営が安定していない
こちらはデメリットというよりもリスクと呼ぶ方が正確でしょう。
ベンチャー企業は成長過程にあるため、会社として安定しているとは言えません。将来、大きく成長する可能性を秘めている一方、事業が継続できなくなるリスクも背負っています。
将来性を予測するのは難しいものの、展開するビジネスに勝算があるかどうか、慎重に見極める必要があるでしょう。
まとめ:無限の可能性を秘めている分、リスクも無限大!
ここまで、特徴やメリット、デメリットを解説してきました。
そして、お気づきになった方もいるでしょうが、メリットとデメリットのほとんどは表裏一体です。
たとえば、給与面。ベンチャー企業では固定給は低くてもインセンティブが高めに設定されていることが多く、結果を出せば十分な収入が得られます。またそうでなくても、成果が給与にすぐ反映されることも特徴です。
また福利厚生についても、経営が安定するまでは不足を感じることが多いものの、その後は経営者との距離の近さもあって希望を実現しやすい環境と言えます。
つまり、あなたや周囲のがんばり次第で環境を大きく変えられるということ。それを「やりがい」と捉えるか「リスク」と捉えるかで、判断は大きく変わるでしょう。
はっきり言えば、安定を求める人には向きません。逆に、自分の力に自信がある人や実力を試したい人には最適な環境でもあります。
まずは自分がベンチャー企業に向いているかを考え、そのうえで選択肢に入れるかどうかを検討してください。
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