前回、紹介した「製造スタッフ」。イメージの良し悪しはともかく、ものづくり大国と呼ばれる日本では広く認知されている仕事です。
では皆さん、「製造技術職」と聞いてどんな仕事か想像できますか?
今回は製造技術職の特徴や仕事内容、気になる収入面などをくわしく解説します!
製造技術職のステータス (ジョブリットメディア編集部調べ) | |
転職のしやすさ | ★★☆☆☆ |
収入面 | ★★★★☆ |
スキルアップのしやすさ | ★★★★☆ |
業界/職種の将来性 | ★★★★★ |
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
製造技術ってどんな仕事?
その名のとおり製造業の技術部分を担う職種が製造技術職。常に新しい技術や方法論を用いて、製品価値や生産効率の向上をめざす仕事です。
自動車メーカーや機械系にくわえ、食品系に化学系と、ジャンルを問わず工場で活躍する職種です。
製造技術職の仕事内容
学歴・経験不問の求人メディア『ジョブリット』では、業種や担当する作業によって下記の5つに分類しています。
機械・光学設計
電気・回路設計
金型設計
品質管理・生産技術
CADオペレーター(機械)
まずは、これらの職種をかんたんに解説していきます。
機械・光学設計
その名のとおり、機械が機械として動作するためのメカニズムを設計するのが機械設計。そしてコピー機やデジタルカメラ、さらには眼鏡など、光の作用を利用した製品の設計を行うのが光学設計です。
どちらも高度な知識と技術を要する、経験者が採用されやすい職種と言えます。
電気・回路設計
こちらも機械・光学設計と同じく、専門的な知識と技術が必要な業務。家電やスマートフォンなど、身の回りの電化製品をはじめ、さまざまな電子機器の設計を行います。
近年は需要の高まりにニーズが追い付かず未経験者採用も増えていますが、大学で理工学を専攻していた経歴か、CADや機械設計技術者の資格を求められるケースが多いようです。
金型設計
製品を生産するための「金型」を設計する仕事。こちらも専門性の高い業種ですが、上記2つよりは未経験者にとって入りやすい職種かもしれません。
近年は図面作成に3DCADを使用することが多いため、CADの知識を持っていると有利になるでしょう。
品質管理・生産技術
さまざまな方法で製品の品質をチェックする品質管理と、生産現場の管理や生産効率を高める生産技術。どちらも製造業には欠かせない職種です。
どちらも経験者が優遇される傾向にありますが、生産に関わった経験や大学時代に理工学を専攻した経験があれば、未経験者も十分に採用される可能性があります。
CADオペレーター
CAD(Computer Aided Design=コンピュータ支援設計)と呼ばれるソフトを操作し、機械や電気製品などの設計図を作成する仕事。
設計士とは異なるポイントは自分で設計するか否か。オペレーターの場合は、設計士が作った仕様をコンピュータ上で図面におこすのがメインとなります。
近年、需要が大幅に高まっている職種の1つで、働き方の多様化も進行中。正社員はもちろん契約社員や派遣社員、フリーランスなどバリエーションが多様です。近年はCADスクールも増え、ソフトの知識があれば未経験者も採用されやすい職種です。
年収は?未経験ではじめるには?製造技術職の魅力を紹介!
慢性的な不況に苦しみ続ける日本にあって、製造業は成長要因を多く持つ数少ない業種です。
その製造業を支えるのは工場。そしてその工場を支える仕事が、今回紹介している製造技術職です。
ここまで見てきたとおり、どの職種も専門的な知識や技術が求められるものばかり。となれば、収入面には期待ができそうです。反面、未経験者がいきなり飛び込むことは難しいと思われるかもしれません。
今回も厚生労働省が毎月、発表する「一般職業紹介状況」や職業情報提供サイト『job tag』などのデータから、製造技術職の労働環境や転職難易度をチェックしています。
職業分類について
厚生労働省の「一般職業紹介状況」を見るまえに、職業分類について解説します。
ここでは、製造技術職は「開発」と「開発を除く」の2種類に分類しています。そしてこれらの違いは総務省が下記のように公表しています。
製造技術者(開発)
・製品の製造に関する技術者のうち、研究者の行った研究の成果を応用して、設計等具体的な製品の開発を行うもの。ここで開発とは、当該製品の理念型を最終的に確定することをいい、実際に生産を開始する以前の段階をいう。製造技術者(開発を除く)
・ 製品の製造に関する技術者のうち、製品を効率的に製造するため、工程設計及び工程管理・品質管理などを行うほか、必要に応じて、現場の指導を行う。
(出典:総務省『大分類「B-専門的・技術的職業従事者」の 改定の考え方及び主な改定点について』より)
つまり、上記のうち各種設計とCADオペレーターが前者、品質管理・生産技術が後者に該当すると考えられます。
有効求人倍率
上記を踏まえたうえで、2024年5月時点での有効求人倍率をみていきましょう。
製造技術者(開発)……2.29倍
製造技術者(開発を除く)……0.86倍
(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年5月)」より)
この数字は、求職者1人に対して何件の求人があるかを示すもの。数字上は、2倍を超える設計・開発職は品質管理・生産技術よりも採用されやすいと言えます。
ただし、これは注意が必要です。何度も書いているとおり、前者は経験者や専門知識を持っている人を優遇する職種。そのため、人員確保がうまくいかず、結果として求人倍率“のみ”高くなっている可能性があります。
とはいえ、人手が足りていないことは事実。新たなチャレンジを考えている人にとっては、今がチャンスと言えるかもしれません。
賃金
ここからは『job tag』のデータを元にお伝えします。
『job tag』の分類のうち、今回のテーマに合いそうな職種をピックアップしてご紹介いたします。
精密機器技術者……612.4万円
機械設計技術者……612.4万円
電子機器技術者……688.2万円
鉄鋼製造オペレーター…552.1万円
CADオペレーター……452.0万円
今回に限らず、『job tag』のデータは年収が高く表示される傾向にあります。その理由はいくつかあるでしょうが、ベースにしている「賃金構造基本統計調査」の職業分類が細分化されていないことも理由の1つでしょう。
たとえば、上のデータでは精密機器技術者と機械設計技術者が同じ金額になっています。その理由は「賃金構造基本統計調査」ではどちらも『機械技術者』に含まれるからです。
今回紹介している業種は、専門的な知識や技術を要するものばかり。そのため年収も高い傾向にあります。ただし、転職直後に上記の金額が期待できるわけではありません。その点だけは覚えておいてください。
労働時間
上記で紹介した業種の平均労働時間は160~165時間/月。全業種の平均が164時間程度と言われますので、長くも短くもありません。
ただし、設計にかかわる仕事の特性上、納品日近くは残業を避けられない場面も出てくるかもしれません。
将来性
これらの職業の将来性は非常に高いと言えます。長期間の不況に苦しむ日本にあって、製造業の業績が右肩上がりで上昇していること。需要に対して人手が足りていない傾向にあることなどが、その理由です。
同時に転職難易度の高い職種が多く、未経験者が気軽に飛び込める業界ではないことも事実。
具体的に、これらの職種に就くための方法やおすすめの資格などは、次の項目で解説します。
狙い目の職種・業界も!?製造技術職に必要なスキル・資格を解説!
転職難易度が高めの製造技術職。くわえて「技術」職ということもあり、スキルがあれば高収入を得ることも可能な職種ばかりです。
では、どんな資格やスキルがあれば、少しでも転職活動を有利に運べるのか。まずは資格から解説していきます。
王道資格から意外(!?)なものまで!おすすめの資格5選!
機械設計技術者
国際光技術者検定
デジタル技術検定
CAD利用技術者試験
TOEIC
一口に製造技術職といっても、内容はさまざま。そしてそれぞれが独自の専門性を有しています。
そのため、基本的にはその業種に合った資格を取得することがおすすめとなります。
例外として挙げたいのがTOEIC。これはどの業務でも通用する重要な資格です。なぜなら製造技術職は多くの関係者とチームで動くうえに、海外の工場で働くことも多い職種だから。
実務未経験者であれば、なにかしらでアドバンテージを得たいところ。そんな方におすすめしたい資格です。
大事なのは分析力!必要なヒューマンスキル!
分析力
発想力
コミュニケーション能力
職種に限らず、製造技術職では分析力と対応力が必要。現状の課題を見つけ分析し、それをどう解決していくかが求められるためです。
また先述のとおり、コミュニケーション能力も重要です。技術職というと1人でコツコツ進めると思いがちですが、関わる関係者が意外と多いもの。特に相手の要望を忖度させずに引き出すヒアリング能力が高い人に向いている仕事です。
製造スタッフからキャリアチェンジは可能!?
今回は転職難易度が少し高めということで、製造技術職へのキャリアパスをいくつか紹介します。
まず王道と言えるのは、大学で理工学を専攻しそのままメーカーに就職するパターン。専門的な知識を持った状態で実務を経験し技術力を磨けば、将来的にはより好条件の企業への転職も現実的に可能でしょう。
次に多いのが、製造スタッフとして現場全体を把握したのち技術職にキャリアチェンジを図るパターン。意外かもしれませんが、社内公募制など、自分のキャリアプランを自分で希望できる企業が増加しているため、かなり現実的な方法の1つです。
もう一つ、製造系以外の企業でエンジニアとして力を付けてから製造技術職に転職するパターンもあります。SEは未経験者採用に積極的な業種の1つ。製造技術職に就くためのステップとして、IT企業などのSEを経験するのも悪い選択ではありません。
例外的に業界と業種、双方の経験がなくても採用される可能性が高いのがCADオペレーター。特にフリーランス(業務委託)や契約/派遣社員などの形態は狙い目といえます。CADは製造業に限らず、広い業種で歓迎される汎用性の高いソフト。近年は通学・通信教育を問わず、CADを学べるスクールが増加中なので、興味のある方はぜひ調べてみてください。
まとめ:手に職をつければキャリアの選択肢が広がる!
前回、紹介した製造スタッフと同じく製造業内の職種である製造技術。とはいえ、その難易度、そして稼ぎやすさには大きな差があります。
たびたび書いてきたとおり、転職難易度が高いのは事実。しかし、「技術」職である以上、ある程度は仕方ないことでもあります。
転職でこれらの職種をめざすなら、下記のようなルートがおすすめです。
②IT企業などでSEとして勤務後、キャリアチェンジを図る
③スクールなどでCADを学び、CADオペレーターをめざす
どの職務も、業務を通じてスキルに磨きをかければ、その後のキャリアプランは多彩になること間違いなし。
最初のハードルこそ少し高いですが、乗り越えた先には十分すぎるメリットがあなたを待っていますよ!
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