年老いた“ぼく”から、未来ある“あなた”にメッセージを送っているこのコラム。
今回は、ぜひとも覚えておいてほしい、仕事にとても役立つと思うことを書きます。
タイトルが若干「釣り」っぽくなっていますが、がっかりはさせないと思います。多分。
テーマは「仕事の頼み方」と、その裏にあるべき「フォロー」についてです。
これが“仕事の頼み方”と“フォローのしかた”の理想形!
最初に、皆さんにご紹介したい文章があります。これから書く文章は、このnoteからの引用がメインです。
このnoteが公開されたのは2023年の12月1日。そして多分“ぼく”は、その3日後くらいに、SNSでの拡散によって読んだと記憶しています。
今回は、個人的に思い入れがとても強いことを書きます。そのため、いつも以上に丁寧に説明を挟みながら書いていきます。長くなりますが、お付き合いくださいませ。
“メロウデュかおり”さんとは
この記事を書いてくださったかおりさんは、札幌市在住の音楽家さんです。ドラムやパーカッションを担当するYagi-changさんと2人で、「メロウデュ」というバンドで活動されています。ちなみに、かおりさんはピアノと作曲担当です。
お2人は北海道のFM局「FM North Wave」で『Brand New Express』というラジオ番組を担当されていますので、北海道にお住まいの方はご存じかもしれませんね。
ちなみに、メロウデュさんがやられている音楽は、ジャンルでいうとジャズやフュージョンになるのでしょうかね。
とにかく、ハイセンスでオシャレな曲ばかりです。個人的には、バーでお酒を飲むときに聞きたい、そんな風に受け止めています。
記事・noteのタイトル“KAN”さんとは
若い方はあまりご存じないかもしれません。KANさんとは、1962年に福岡県で生まれ、2023年に亡くなられた音楽家さんです。代表曲は1990年にリリースされ、翌年にかけて大ヒットした『愛は勝つ』ということになると思います。
そんなKANさんは“イメージ出身地”を札幌だと言い張るくらい、北海道が大好きでした。そして30年以上、北海道を拠点とするラジオ局「STV」で番組を担当されていました。
愛する札幌でご活躍されている音楽家ということで、メロウデュさんと縁が繋がったのだと思います。
“ぼく”があらためてすごいと思ったこと
ここからが本題です。
“ぼく”がこのnoteを読んで、すごいと思った部分があります。皆さんに伝えたいと思った部分があります。
そちらを引用します。
(KANさんが病気のためラジオ番組の収録ができなくなり、代打のパーソナリティをいろいろな方にお願いしていた頃、かおりさんに送ったメール)
「ボンソワも収録できなくなって、代打パーソナリティを、
昨日は玄太くん、次は英祐一くん、
その次はSE-NO兄弟にお願いしました。
当然メロウデュの2人にもお願いしたかったんだけど、
メロウデュは他局でレギュラーを持ってる関係でお願いできないのです。
ご理解ください。
復活して、またお会いできることを楽しみにしてます。では、股。」
そして、このメールについて、かおりさんはこう書いています。
KANさんは、お願いする人に連絡するだけじゃなくって、
お願いできない人へもこうしてケアを忘れず、気遣ってくださるんです。
どうでしょう。
ぼく自身、何度読み返しても、「すごい」という言葉しか浮かびません。
この発想は頭の片隅にもありませんでした
過去に何度も書いていますが、“ぼく”はもう立派なおじさんです。社会人としての時間も長いです。
当然、その中で何度も仕事のお願いをしてきましたし、されてきました。
でも、お恥ずかしながら、“ぼく”はこんな連絡はしたことがありません。発想すら、浮かびませんでした。
逆に言うと、それは“ぼく”もほかの誰からもこんな連絡を受けたことがない、ということでもあります。
読んでくださっている“あなた”は、こういう連絡を受けたことがありますか。もしあるなら、その方を大切にしてください。その方は、愛に溢れていると思います。
そして、ぜひパクってください。
気づいてしまえば「やる」のは難しくない!
このメールのどこが素敵かというと、「やる」だけなら難しくないんです。
仕事を誰かに頼むとき、候補者が10人いたとします。そしてその中から3人、選んだとします。
そしたら、3人にはお願いするメールを送って、同時に7人にお願いできない理由を書いたメールを送ればいいんですから。
気づいてさえしまえば、簡単なんです。ただ気づかないだけでね。普通はそこまで思いが及ばないんです。
でも、かおりさんのおかげで“ぼく”は気づきました。そしてこのコラムにたどり着いた皆さんも、気づきました。
あとはやるだけです。
特に、皆さんがいつか年を取って、部下や後輩ができた頃に、ぜひ実践してあげてください。
KANさんのすごいところ
ぼくはもう28年くらい、KANさんの大ファンです。だから「すごい」と思うことはたくさんありました。
KANさんを見て気づいたことが、どれだけライターという仕事に役立ったでしょうか。
ちなみに、“ぼく”がここでの名前を「ぼく」にした理由。それは、KANさんがひらがなの「ぼく」を歌詞中の一人称にしているからです。そして、“ぼく”も記名原稿での一人称をずっと「ぼく」にしてきたからです。そのくらい、ぼくはKANさんが大好きなんです。
あ、過去形ではありませんよ。これからもずっと、現在形のままです。
そんなぼくが、何もかもを含めて「KANさんのいちばんすごいこと」を問われたら、“愛情の深さ”を挙げると思います。
そんな個人的な思いを解説するために、ここからは“ぼく”が特に大好きな歌詞を紹介していきます。
ちなみに、リンク先は登録者が多そうな「Apple Music」に設定しました。ただ、AmazonとかLINEとかSpotfyとか、主要なサブスクメディアならどこでも聴けるはずです。
ぜひ、ご自身が契約されているメディアで探してみてください。
ライターが思う『愛は勝つ』の歌詞のすごさ
代表曲の『愛は勝つ』には、こんな歌詞があります。
夜空に流星を見つけるたびに 願いをたくし ぼくらはやってきた
なんとなくご存じの方もいると思いますが、この歌はうまくいかない恋愛に落ち込む「君」を励ます歌です。だから、何度となく「君」と「ぼく」が登場します。
でも、「ぼくら」という表現はここだけ。そしてこの一人称に、KANさんの愛が詰まっていると思うのです。
恋愛って中々うまくいかないじゃないですか。やりきれない思いをすることも、しょっちゅうじゃないですか。
そんなとき、流れ星なんか見つけたら、願い事をしちゃうじゃないですか。
その主語を「ぼくら」にすることで、「君だけじゃないよ。ぼくも、ほかのみんなも同じだよ」と伝えているんです。
そしてもう一つ。「ぼく」が「君」を励ますだけなら、違う立場から話しているようになってしまう。でも、そうじゃない。「君」も「ぼく」も同じ悩みや苦しみを味わってきた、一緒の立場なんだ。
そんな気持ちも込めているんだと、ぼくは勝手に思っています。
ライターが思う『世界でいちばん好きな人』の歌詞のすごさ
もう3曲、KANさんの歌詞を紹介して、その深い愛情を感じていただければと思います。
まず2006年にリリースされた『世界でいちばん好きな人』から。
ぼくは誰とも争わないし
誰を憎む根拠もない
今って、SNSでもなんでもあって、誰もが自分の意見を世界中に発信できてしまうじゃないですか。
そのおかげで、ぼくらは遠くに住んでいる知らない人とも繋がることができて、楽しいことをより楽しめるようになりました。
でも同時に、嫌いなことを「嫌いだ!」と言えてしまう時代でもあるんですよね。その言葉が誰かを深く傷つけてしまうかもしれないのに、一時の感情に任せて、世界に「嫌い」を発信してしまう。なんて哀しい時代でしょう。
“ぼく”の心にも、ときどき誰かへの愚痴や不満が生まれるときがあります。そんなとき、必ずこの歌詞を思い出すように意識しています。
ライターが思う『よければ一緒に』の歌詞のすごさ
こちらは2010年にリリースされた楽曲で、KANさんの後期の代表曲と言えそうな一曲です。
ぼくがひとりでできることなんてなにもない
君とふたりでできることならいくつもある
厄介なこと面倒なことぜんぶふくめて
よければ一緒に そのほうが楽しい
“やれ”でも、“やる”でも、“やろうよ”でもなく、「よければ一緒に」。だって「そのほうが楽しい」から。
あくまで自分の意思として、楽しむためには「君とふたり」がいい。でも押し付けたいわけじゃないから、「よければ一緒に」。
もし、“ぼく”も“あなた”もこんなスタンスで恋人や家族、友だちと接することができたら、世界はもっと幸せになるかもしれない。ぼくは意外と真剣に、そう思っています。
ライターがぜひとも紹介したい『猿と犬のサルサ』
最後は2000年に出たアルバム「Gleam & Squeeze」に収録されている楽曲を。
タイトルからダジャレ感満載ですね。でもね、そこに騙されて「単なるネタ曲だ」と思ったら負けですよ。誰の何に負けたのかは分かりませんけど。
しょっちゅう喧嘩ばっかのオレタチャ犬と猿さ
でもリズムに乗っちゃえば仲良しミンナSALSA
子丑寅卯辰巳午未戌と申さ
だから国境なんて超えちゃって踊ろよミンナ
ミンナSALSA
いや……なんて言うんでしょう。ちょっともう、すごすぎます。とてもじゃないけど、ぼくごときに解説はできません。
こういう人を天才と呼ぶんだと思います。それしか、言うことはありません。
ただね、コラムという性質上、歌詞しか紹介していませんが、KANさんは作曲と編曲もすばらしいんです。というか、むしろ音楽業界ではそちらの方が評価されているんです。
なので、ぜひ聴いてみてください。先ほども書いたとおり、主要なサブスクメディアにはほぼ全楽曲、解禁されていますのでね。
KANさん風に言うならば、ヨロシク・サブシュクです。
まとめ:情けは人の為ならず。愛は人の為ならず。
今回は、かなりプライベートな感情をさらけ出しました。でも、「今、何をいちばん伝えたいのか」と考えたらこれしか浮かばなかったので、書き切りました。
最後に。
KANさんは2023年11月12日に亡くなりました。
でも、X(旧Twitter)は、ときどき更新されています。KANさんが病床で投稿予約していてくれたようです。
この項は、2024年1月1日、天国から送られたポストで締めくくります。
新年おけましてあめでとうございます✨
せっかくの人生、泣いて後悔して傷を大事にするより、もっと大事にするものがあるよ。寂しさや混乱は勇気を持って追い出して、外に出て大きく息吸って笑っていきたいですね。
今年もよろしけ。
(KAN Official @_kimuraKAN·1月1日)
“ぼく”にとってKANさんの訃報は、人生でいちばん悲しいニュースでした。きっと、ほかにもそういう方が、たくさんいたと思います。
そしてKANさんは、新しい年を迎えてもまだ落ち込んでいるファンのために、メッセージを遺してくれていたんです。
ぼくはこんなに愛情深い人を、KANさん以外に知りません。
そんなKANさんが教えてくれた、気遣いの仕方、フォローの仕方。この2つを少しでも意識していただけたらうれしいです。きっと、みんなに愛情が届くと思います。そうしたら、コラムタイトルも「釣り」ではなくなりますし。
でも、それより何より。「外に出て大きく息吸って笑って」いきましょうね。
だってきっと、『そのほうが楽しい』よ。
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