AIの発展に伴い、さまざまな仕事がなくなるかも? と言われている現代。しかし、匠の技術を要する職業は、まだまだしばらくは安泰ではないでしょうか。
その代表例と言えるのが、今回紹介する建築・土木作業職。
私たちの暮らしを支える欠かせないこの仕事の特徴や仕事内容、気になる年収などを詳しく紹介いたします。
建築・土木作業職のステータス (ジョブリットメディア編集部調べ) | |
転職のしやすさ | ★★★★☆ |
収入面 | ★★☆☆☆ |
スキルアップのしやすさ | ★★★★★ |
業界/職種の将来性 | ★★★★☆ |
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
建築・土木作業職ってどんな仕事?
工事現場での木材の組み合わせや足場の組立、道路などの舗装など。建築・土木作業職は身体を動かす業務を中心に、さまざまな職種を含みます。
ちなみに、現場は建物とは限りません。道路や河川、ダムのほか、ガス・水道・電気・通信設備といった、公共関連の工事も多くあります。
では、このカテゴリーに分類される各職種の仕事内容を、細かく見ていきましょう。
建築・土木作業職の仕事内容
学歴・経験不問の求人メディア『ジョブリット』がこの職種にカテゴライズしているのは、下記の9つ。
大工
鳶工
外装工・内装工
解体工
設備工事
電気工事
土木工事・基礎工事
外構工事
重機オペレーター
まずは、これらの職種をかんたんに解説していきます。
大工
建築に携わる仕事といって、真っ先にイメージするのは、この仕事かもしれません。
新築、増改築を問わず、木材住宅の施工の中核的な作業を担います。またベテランになると、他職種の技能者を組織して工事が計画通りに進むよう、工程管理を行う場面も増えていきます。
近年は多くの建物が鉄骨造や鉄筋コンクリート造ですが、その内部には木材を使用するケースがほとんど。新たな建築物の誕生に欠かせない職種と言えるでしょう。
鳶工
いわゆる「とび職」のこと。大工と並んで、こちらも建築・土木作業職を代表する職種です。住宅や橋梁、高速道路、ダムなどの工事に伴い、足場など仮説構造物の建て方・解体や重量物の運搬を行います。
現代では鳶工の業務範囲はかなり広がっています。そのため、建築に伴う棟上げ足場の組立や解体に従事する「建築とび」、鉄骨や橋梁の組立てを行う「鉄骨とび」、建設機械を用いる「機械とび」など細分化されています。
外装工・内装工
その名のとおり、建物内外の壁を仕上げる職種。内装工は床や天井、内壁の仕上げ作業がメイン。反対に外装工は外側の壁の塗装や仕上げ、防水工事を行います。
専門的な技術が必要な建築・土木作業職の中でも特殊な技能を必要とします。その分、スキルが身に付けば若くして独立することも可能です。
解体工
建物や家屋を取り壊す工事に従事するのが解体工。一般的には重機やダイナマイトで一気に取り壊すイメージかもしれません。しかし実際にはさまざまな種類があるほか、建設リサイクル法の制定に伴い、資材を分別して収集できるような工事方法が中心になりつつあります。
今後、法律はどんどん強化される傾向にあるため、技術はもちろん、最新知識を入手するように気を付ける必要があるでしょう。
設備工事
文字通り、建物内に設備を取り付ける仕事のこと。ここでいう設備とは空調や電気、水道など、生活に欠かせないものばかり。そのため、専門的な技術を要する職種です。
その分、建築・土木作業職の中でも、給与面に恵まれている職種でもあります。
土木工事・基礎工事
土木工事とは道路の建設や河川の治水、土地造成などインフラに関わる仕事がメイン。そして基礎工事は、その中でも建築物の基盤づくりを担います。
また基礎工事では、家屋などの建築物の土台を作ることも。建築の根幹にかかわる仕事で重要性が高い分、専門的な知識が必要とされる職種です。
外構工事
こちらは塗装や排水、造園など、建物以外の「もの」を作ります。
「より快適な空間を作る」ことを目的に、建物の完成後に行われることがほとんど。建物と調和した美観の構築や機能性の工場、セキュリティの確保など、外観と機能性を向上させる役割を担います。
重機オペレーター
建設用の重機を操縦するのがこちらの仕事。重機の種類はさまざまですが、代表的なものは下記のとおり。
フォークリフト
油圧ショベル
ブルドーザー
ホイールローダー
キャリアダンプ
これらの運転には、専用の資格・免許が必要。そのため、未経験者の場合は、まず資格のいらない業務だけを行いながら、資格取得をめざすことになります。その場合は、資格取得支援制度のある企業への入社がおすすめです。
ちなみに、他の仕事と比べると身体を動かす場面が少ないため、高齢になっても続けやすい職種と言えます。
年収は?未経験でも大丈夫?建築・土木作業職の魅力を紹介!
ここまで見てきたとおり、建築・土木作業職はすべて、社会になくてはならない仕事。そういった意味で、安定性が高い職種揃いと言えるでしょう。
同時に、どれも専門的な知識や技術を必要とする仕事ばかりなので、未経験者には狭き門と感じる方もいるかもしれません。
そこで今回も厚生労働省が毎月、発表する「一般職業紹介状況」や職業情報提供サイト『job tag』などのデータを参考に、建築・土木作業職の転職難易度や収入面をチェックしてみましょう。
有効求人倍率
まずは、有効な求人数を希望者で割る、有効求人倍率からチェックしていきます。
使用する2024年6月の「一般職業紹介状況」のうち、建築・土木作業職に該当しそうな分類の倍率は下記のとおりです。
建設躯体工事……8.86倍
建設(建設躯体工事を除く)……4.89倍
電気工事……3.46倍
土木作業……5.90倍
(出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年6月)」より)
倍率は、1を超えるほど希望者より求人数が多いことになります。この数値を見る限り、建築・土木作業職はかなり採用されやすい職種と言えるでしょう。
ちなみに「建設躯体工事」とは、主に鳶工をイメージしていただければOKです。
賃金
ここからは『job tag』のデータを元にお伝えします。
『job tag』の分類のうち、今回のテーマに合いそうな職種をピックアップしてご紹介いたします。
大工……457.1万円
とび……460.1万円
内装工……452.6万円
電気工事士…550.9万円
建設・土木作業員……411.1万円
建設機械オペレーター……474.7万円
令和4年度の日本人の平均年収は約458万円。正社員に限定すると約523万円です。
それと比較すると、電気工事士を除いて、少し寂しい結果と言えるかもしれません。特に体力的な負担が大きい分、余計に少なく感じてしまう方もいるでしょう。
しかし、特に大工や鳶工は、給与格差が大きい職種でもあります。実力のある人は大きく稼ぐ代わりに、始めたての人は日給制ということも少なくありません。
逆に言えば、スキルを身に付ければ、高収入の可能性を秘めている職種でもあります。自分の技術一本で勝負したい。そんな方にはおすすめの職種です。
もう一つ、建設機械オペレーターも同じくおすすめ。資格は必要ですが、身体への負担が少ないからです。未経験者の場合、資格取得支援制度を整えている会社に入社し、働きながら免許・資格を取得するのがおすすめです。
労働時間
上記で紹介した業種の平均労働時間は167~175時間/月。全業種の平均が164時間程度と言われますので、少し長い程度と言えるでしょう。
というのも、基本的に工事現場は日没までに作業を終わらせる必要があります。そのため、残業が発生しにくいのです。
ただし、天候に左右される仕事でもあるため、天候次第で仕事量が変化する側面も持っています。
将来性
建築・土木作業職は建築全体に欠かせない仕事であり、今後も安定した需要が見込めます。またインフラ整備は一度完成すれば終わり、というものではありません。補修も含め継続的に作業が発生するため、仕事量は高いレベルで安定するでしょう。
なにより建設業界は長期にわたり、人材不足に苦しんでいます。そのため、スキルを身に付ければ仕事量を確保しやすいとも言えそうです。
もうひとつ、AIが発達しても参入しにくい仕事ばかりということもメリット。工事の補佐などにAIの力を借りることはあっても、作業員自体は必ず必要になるため、負担は減っても仕事はなくならない、というある意味理想的な職種と言えるかもしれません。
専門の免許がたくさん!建築・土木作業職に必要なスキル・資格!
有効求人倍率から見るに、未経験者もチャレンジしやすそうな建築・土木作業職。しかし、実際の業務では専門的な知識と技術を必要とします。
そういう職種なので、それぞれに専門の資格・免許があります。しかし、それらの多くは実務経験がないと取得できません。
そこで今回は、異業種からの転職者が事前に取得できる資格・免許を紹介いたします。
これがないと始まらない!?未経験者におすすめの資格!
普通自動車免許
建築CAD検定試験
まず、なんといっても外せないのが普通自動車免許。天候に左右されることなく現場に向かうためにも、必須と言えるくらいです。
また油圧ショベルなど業務に欠かせない車両の資格を取得する際に、運転免許を持っていると優遇されるケースもあります。
近年、重要性が高まっているのがCADのスキル。CADにはさまざまな資格・検定がありますが、建築・土木作業職に就く場合は、建築CAD検定試験がおすすめです。
名前のとおり建築業界に特化した資格なので、転職に有利になることはもちろん、入社後の昇進・昇格やキャリアチェンジにも役立つ強い味方です。
なによりも“安全”が最優先!必要なヒューマンスキル!
危機管理能力
コミュニケーション能力
体力・腕力
建築でも土木作業でも、もっとも大切なことは「安全」を守ること。自分はもちろん、一緒に働いている仲間も含め、ケガや事故を防ぐための危機管理能力は必須スキルと言えます。
また、さまざまな職人や技能工が集まる現場では、コミュニケーション能力も欠かせません。各方面と緊密に連絡を取れれば、よりスムーズに業務を進められることでしょう。
最後は、やはり必要となるフィジカル面。機械化がどんどん進んでいるとはいえ、まだまだ腕力が必要になる場面も多くあります。
また夏の暑さや冬の寒さに耐える体力も欠かせないスキルといえるでしょう。
建築・土木作業職からキャリアチェンジは可能!?
建築・土木作業職からのキャリアチェンジは、大きく分けて2パターンあります。
1つめはスキルを身に付けて、独立するパターン。会社を興すだけではなく、いわゆる「1人親方」として請負業者と契約し、作業員を続けることもできるため、独立のハードルは比較的低い業界と言えます。
もう1つは、現場での経験を活かして技術職や施工管理へ転身するパターン。建築・土木関係の仕事は専門の資格・免許が多いため、将来のキャリアチェンジ見据えて取得する資格を選びましょう。”
まとめ:スキルがあれば将来安泰!?社会に欠かせない仕事です!
体力・腕力ばかりがクローズアップされがちな建築・土木作業職。しかし実際は、専門的な知識や技術を必要とする場面が多くあります。
だからこそ、スキルを身に付ければ、将来にわたって長く働き続けることができます。
また先述のとおり、独立をめざす人にもおすすめ。実際、建設業界で20代で独立を果たした人は、少なくはありません。
一生モノのスキルを身に付けたい人、独立して自分の力で稼ぎたい人は、ぜひ就職・転職を考えてはいかがでしょうか。
ちなみに、『ジョブリット』にはさまざまなジャンルの建築・土木作業職の求人が掲載中。気になる方は、そちらもご確認ください!
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