国際化が進み、ますます増加している「カタカナ語」。ビジネスシーンはもちろん、日常の場面でもつい使ってしまう人も多いのでは?
友だち同士の場合、分からない言葉があっても聞けば済む話。しかしそれが会社内や打ち合わせだと「知らない」とは言えず、分かったふりをしてしまうかもしれません。
そこで今回から4回にわたり、ビジネスで使うカタカナ語をご紹介。
会話についていけない、なんてことのないよう、ぜひチェックしてください!
第一回目は「ア行」のカタカナビジネス用語を解説!
多くの場合、英語を元にしているカタカナのビジネス用語。しかし、中には日本独自の和製英語も多く存在します。
IT/Web業界はもちろん、他の職種でも多く使われるカタカナのビジネス用語に困ったときは、ぜひ本記事を参考にしてください!
アグリー
語源は英語の「agree」で、“同意する”、“賛成する”などの意味。
上司・同僚の意見に賛同する際に使用します。
【例文】
部長の意見にアグリーします。
アサイン
語源は英語の「asign」で、“任命する”、“割り当てる”などの意味。
担当者を決める際に、頻繁に使われます。
【例文】
この案件を誰にアサインするか決まりましたか?
ASAP(アサップ)
語源は英語表現の「as soon as possible」で、“できるだけ早く”という意味。
最近は同じ意味を持つ日本語の省略表現「なるはや(なるべく早く)」がよく使われる印象です。
【例文】
締め切りが迫っているから、アサップでお願いします。
アジェンダ
ラテン語で“するべきこと”という意味の「agenda」が語源。
転じて計画や日程、予定表などを指すようになりました。
【例文】
会議前にアジェンダを共有しておいて。
アジャイル
フランス語の「agile」が語源で、もともとはラテン語から派生した単語。
“動きが早く”、“身軽な”、“活発な”などの意味を持ち、IT/Web系の業界では変化に対して柔軟かつ対応できよう、小さな単位で動くソフトウエア開発を指すことが多い。
【例文】
アジャイルな開発手法を取り入れよう。
アセット
語源は英語の「asset」で、“貴重品”や“価値のあるもの”という意味。
そのほか、ビジネスシーンでは強みというニュアンスでも使われる。
【例文】
この商品のアセットはどこだろう?
アテンド
語源は英語の「attend」。会議やパーティーへの“出席・参列”のほか、“世話をする”、“付き添う”などさまざまな意味を持つ。
ビジネスシーンで使われるのは主に後者で、社外の人に対する案内や接待を指す。
【例文】
A社の部長をアテンドするのは誰ですか?
アポ
取り決めや約束、予約を意味する英語「appointment」を省略したもの。
ビジネスシーン以外でも頻繁に使われるので、ご存じの方も多いのでは。
【例文】
早くアポを取っておいて。
アライアンス
同盟や提携、連合を意味する英語「alliance」が語源。ビジネスでは主に“提携”を指す場合が多い。
またアライアンス契約を結んだ企業同士が共同で行う事業を「アライアンス事業」と呼ぶ。
【例文】
A社とB社がアライアンスに乗り出しました。
アンバサダー
語源は英語の「Ambassador」で、日本語では“大使”や“使節”などと訳される。
本来の意味では役割は固定化されていないが、ビジネスでは主に宣伝・広報を行う人を指す。
【例文】
タレントのAさんをアンバサダーに任命しましょう。
イシュー
語源である英語の「issue」にはさまざまな意味があるが、その中でも“問題点”や“論点”、“(問題の)核心”などの意味で使われる。
その中でも特に重要な部分については「ビッグイシュー」と呼ばれることが多い。
【例文】
成功するにはイシューの洗い出しが欠かせない。
イニシアティブ
語源は英語の「initiative」で、主導権や発議権などの意味。
ビジネスでも、中心となる人物を指すことが多い。
【例文】
この案件は誰がイニシアティブを握っているの?
インサイト
語源は英語の「insight」。“sight”は視野や視力などの意味だが、内側の意味を持つ接頭辞“in”が付いているとおり、心の中の視野、つまり“洞察力”を指す。
しかし、ビジネスシーンで用いられる場合は、目に見えない顧客の潜在欲求を表す場合が多い。
【例文】
ユーザーのインサイトに沿った商品は必ず売れるはずだ。
インセンティブ
奨励金や報奨金の意味を持つ英語「incentive」が語源。もともとはラテン語で、「(歌で)励ます」という意味だった。
ボーナスと混同されがちですが、個人、または所属組織が達成条件を満たしたときのみに支払われるという違いがあります。
また歩合制とも似ていますが、インセンティブは目標を達成して初めて支給されるのに対し、歩合制は実績ごとに一定の割合で支給されるという違いがあります。
【例文】
A社はインセンティブ重視の契約形態だよ。
インバウンド
海外からの旅行客を指す言葉として一般化されたが、英語「inbound」の本来の意味は“本国に帰る”、“市内に向かう”などの意味。外から中へ向かうイメージから、訪日客を指すようになったと思われる。
ビジネスシーンでは2パターンの使い方をされており、1つは訪日観光客をターゲットにすること。
もう1つは本来の意味から派生した使い方で、顧客からの問い合わせを指します。また顧客が求めるコンテンツや製品の創出に重点を置いたマーケティングを行うことを、インバウンドマーケティングと呼ぶ。
【例文①】
これからは海外からのインバウンド需要を取り込もう。
【例文②】
インバウンドマーケティングを実践すれば費用対効果が高まる。
エスカレーション
語源は英語の「escalation」で、“段階的な拡大”を意味する言葉。
本来は平社員→主任→課長→部長のように段階的な報告を意味するが、日本では単に上位者への報告を指すことが多い。
【例文】
A社からの返答は部長にエスカレーションしてありますか?
N
数学では整数をあらわす「N」。しかし、ビジネスシーンではアンケート調査の母数のこと。
たとえば学生1000人のうち、100人を対象にアンケートを取った場合、N=100となる。
【例文】
もうちょっとサンプルを増やしたいからN数を500にして。
NR
こちらは英語の「No Return」の略で、直帰を意味する言葉。
ただし、本来の英語では“もう戻れない場所”というニュアンスの言葉であり、直帰という意味はない。それどころか、「亡くなった人」を指すこともあるため、外国人の同僚や国外出張では使わないほうが無難。
【例文】
A社との打ち合わせが終わったら、今日はNRです。
MTG
こちらは英語の「meeting」をなんとなく見た目で通じるように省略した言葉。
上で紹介した「NR」同様、口に出すことは少ないものの、スケジュール表への記載など文字ベースで頻繁に使われる。
【例文】
(カレンダーにて)10:00~12:00 MTG
OEM
「Original Equipment Manufacturing」の頭文字を取ったもので、日本語では“相手先ブランド名製造”や“納入先商標による受託製造”などと訳される。
分かりやすくするために具体例を出すと、ダイハツの自動車をトヨタの工場で製造すること。
ちなみに、OEMでは製造のみを他社に委託しますが、設計やデザインまでを他社が請け負うODM(Original Design Manufacturing)も増加しています。
【例文】
A社の新商品はB社でOEM製造されたものです。
OJT
こちらは「On the Job Training」の頭文字をとったもので、“実際に業務を行いながら指導する教育制度”を指す。
反対に、座学や新入社員同士のロールプレイングなど、業務から離れて教育を行う場合は「Off the Job Training」、略してOFFJTと呼ばれる。
【例文】
当社の研修はOJTにて行います。
オリエンテーション
英語の「Orientation」が語源で、本来は“ものごとの方向性を定めること”や“環境に順応すること”という意味。
ビジネスでは一般的には新人向けの講習会を指すことが多いが、業者などへの説明会に使うこともある。
【例文】
入社式のあと、新入社員向けのオリエンテーションを行います。
オルタナティブ
英語で“別の”などを意味する「alternative」が語源。
その意味どおりビジネスシーンでは“代替案”を指すほか、“新しい発想”を要求するときにも使われる。
【例文】
より成果を上げるためにも、オルタナティブなアイディアを考えてみよう。
オンスケ
英語で“予定通りに”という意味の「on schedule」を省略した言葉。
ビジネスシーンでもほぼ同じ意味で、特に進捗状況を確認する際に頻繁に耳にする。
【例文】
あの案件はオンスケで進んでる?
オーソライズ
英語の「authorize」が語源で、“認可する”、“権限を与える”などの意味。
ビジネスシーンでは実際に認可するときよりも、その考えが上司が認めたものであるかを確認する際に使われる。
【例文】
あなたの発言は上司にオーソライズされたものですか?
まとめ:使いすぎると逆効果になることも!
ビジネス用語紹介の第一弾として、まずは「ア行」を紹介しました。
知らなかった言葉や、意味を取り違えていた言葉もあったのではないでしょうか。
ということは、あなたの周りの人たちにも知らない・間違えている言葉があるかもしれません。
それならば、頻繁に使うことはあまり好ましくないと言えるでしょう。
誰かに使われても理解はできる、でも自分はできるだけ日本語で話して伝達ミスを防ぐ。それがビジネスマンのあるべき姿かもしれません。
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