突然ですが、皆様。「レジャー白書」ってご存じですか?
これを書いている“ぼく”は仕事柄、15年くらい前から気にするようにしています。ただ、一般的な知名度ってどのくらいなんでしょうかね。
とりあえず、毎年1回、必ず発行される「レジャー白書」。前年度の“余暇活動”に対する意識・関心・参加実態などをまとめています。
そして、ちょうど1カ月前ですね。7月22日に2024年度版の速報が発表されました。それを読んで、“ぼく”は聞きたくなったのです。
ねえ、皆さん。「仕事が生きがい」って、もう過去の遺物なんですか?
「新型コロナ」が“変えたもの”と“変えなかったもの”
本題に入る前に、改めてレジャー白書について少しだけ解説しておきます。
これは、公益財団法人 日本生産性本部が毎年10~11月に発行する書籍。スポーツ、趣味・創作、娯楽、観光など、余暇活動108種目の動向を全国規模で調査・発表する、貴重なデータ集です。
先ほども書きましたが、ぼくは仕事柄、必ず気にするようにしています。しかし、ここ数年は、いつも以上に気にかけていました。
そして予想通り、興味深い結果になりました。
コロナ前後で大きく変わった項目
なぜ、ここ数年、いつも以上にレジャー白書に注目しているのか。それは当然、新型コロナが原因です。皆さんもコロナ禍に入り、日々の過ごし方が大きく変わったのではないでしょうか。もちろん、ぼくも変わりました。
その中でも、「余暇活動」は特に大きな影響があったと思います。
最新版である2023年の速報PDFには、最終ページに上位10種目の5年間の推移が掲載されていますので、そこから意識の変化を見ていきましょう。
国内旅行
コロナでいちばんダメージを受けた業界。それはきっと「国内旅行」でしょう。あの頃って、スーパーに買い物に行くことすら、はばかられる雰囲気でしたもんね。ましてや、旅行なんてもってのほか。そんな雰囲気が世界中にありました。
データを見ていくと、2019年の国内旅行の参加率は54.3%でトップ。それが2020年は34.3%で4位、2021年には32.8%で6位まで落ち込んでいます。
しかし、2022年には一気に42.8%まで回復し首位を奪回。さらに最新データでは48.7%まで戻しました。
ここから見ると、コロナの影響が小さくなったのは2022年である。そう言えるのではないでしょうか。
“ぼく”自身、旅行先でその土地の名物を食べながらおいしいお酒を飲む、ということが大好きですから、ほぼほぼコロナ前に戻ったことは大歓迎です。
外食
この項目には“(日常的なものは除く)”との但し書きがあります。ということは、友だちや恋人、家族とのちょっと特別な外食を指すのでしょうかね。
これもコロナの影響を大きく受けました。
2019年には43.7%で2位だったのに、2020年は33.7%(6位)、2021年も33.4%(4位)と10%ダウン。そして旅行需要が回復した2022年も35.8%で4位のままでした。
しかし、こちらも昨年にはかなり回復して、39.2%で2位。旅行よりも回復が遅かったのは、潜在的に「まだ完全解禁は早いから、旅行を優先しよう」となった人が多かったのかもしれませんね。
ちなみに、“ぼく”はあまり外食しません。その理由はとてもシンプルで、家族がいないことと、料理が趣味だから。それでも、ときどきは外食する機会もあるので、飲食店が潤うのもやはり大歓迎です。
ドライブ
ちょっと面白かったのがこの種目。2019年は参加率39.8%で4位でした。
しかし、コロナ禍になってから33.8%(5位)→28.9%(7位)→34.6%(5位)→32.7%(6位)と、若干ではあるものの2023年まで低調傾向が続いているんですよね。
本来なら、ドライブってコロナ禍でも楽しみやすいレジャーじゃないですか。基本的に車内で過ごすし、人の少ないところに行けばマスクなしで見晴らしのいい景色を楽しめるし。
それでも低調なのは、一時期、「他県ナンバーの車が来て迷惑だ!」みたいなニュースがあったせいなのでしょうか。
ただ、その後、回復トレンドになっていないのは、コロナとはあまり関係ないと思います。多分ですけど、ガソリン代の高騰がドライブから遠ざからせているのかもしれません。
動画鑑賞
“ぼく”的に、もっとも意外だったのがこの項目。2019年から順番に見ていくと35.3%(8位)→39.4%(1位)→37.4%(2位)→38.4%(2位)→37.0%(3位)です。
多くの方の予想どおり、きちんと順位は上がっています。それ自体は、ぼくも予想どおりです。
でも……思ったより、参加人数は増えていないんですね。
ぼく自身、“おうち時間”が増えたことで、それまでなんとなく避けていたYouTuberの動画を見る習慣ができたんです。だから、もっと参加率自体が上がるのかなと思っていました。
ただ、この項目に限りませんが、これはあくまで「参加率」であって、「費やした時間」ではありません。もともと多少YouTubeなどを見ていた人が、たくさん見るようになった。そんな変化だったのかもしれませんね。
その他
他に印象的な種目を挙げると、まず「園芸・庭いじり」ですね。これは2021年の10位なのですが、それ以前はトップ10に入ってなかったんですよ。パーソナルスペースでできることを追い求めた結果、ガーデニングに行き着いたのかな。
あと、表にはないけど「カラオケ」も印象的です。2019年には11位(2980万人)だったんですが、2020年は20位(1750万人)までランクダウンし、2021年には21位以下で順位不明となりました。トップ10にいないため最新データでの参加者数は不明ですが、参加率は20.2%となっているため、2500万人程度までは回復したのかもしれません。
逆に、安定しているのが「読書(仕事、勉強などを除く娯楽としての)」と「ウォーキング」。どちらも、自宅またはその周辺で1人で気軽にできるものですから、当然かもしれませんね。
「仕事と余暇のどちらを重視するか」
最新版・レジャー白書の速報版PDFにはこんな項目があります。そして今回のテーマは、まさしくここ。つまりこれまでは長すぎる「まえがき」でした。
ざっくり言えば、仕事と余暇、どっちに重要視していますか、という質問ですね。
この回答は5つの中から答える形式です。皆さんはどれを選ぶか、少し考えてみてください。
①仕事よりも余暇の中に生きがいを求める
②仕事は要領よくかたづけて、できるだけ余暇を楽しむ
③仕事にも余暇にも同じくらい力を入れる
④余暇も時には楽しむが、仕事の方に力を注ぐ
⑤仕事に生きがいを求めて全力を傾ける
さあ、皆さんの答えはどれでしょう?
“ぼく”の場合、多分③を選ぶと思います。仕事も本気、遊びも本気。それを自然にできるのが、“好き”を仕事にした人間の特権ですから。
ただ、そうではない方も多いですよね。そうなると、トータルでは②を選ぶ人が多いのかな。能天気な“ぼく”は、そう思っていました。
20年間の変化
でも、世の中の動きは違いました。ちょっと、この画像を見てください。
皆さん、どう思いますか? 多分ですけど「予想どおり」って感想が多い思うんですよ。①と②が増えて、③以降が減っているように見えるから。
でもね、それは間違いです。よく見てください。実はこれ、①だけが増えてるんですよ。
個人的にね、③以降が減るのはまあ分かるんです。いくらおじさんとはいえ、“ぼく”も令和を生きている人間ですから。仕事と趣味を比べたときに、趣味に重心を置く人が増えているのは、体感として理解しています。
でもね、いくらなんでも趣味に偏りすぎじゃないですかね……。
“ぼく”はこれを見て、本当に残念でした。悲しかったです。
みんなに伝えたいこと
前にも書いたけど、“ぼく”は「好き」を仕事にしている人間です。できることなら、この仕事に死の直前まで関わっていたいとさえ思っています。
だから、毎日を楽しく過ごしています。
もちろん、休日も楽しいですよ。大好きなことを大好きな仲間とやることは、仕事とは違うよろこびがあります。
でも、ぼくは平日“も”楽しんでいます。うまくいかない日もあります。書きたいことがあっても、それがまとまらず、悩んでいたら1日が終わっていた。そんなこともありますよ。だってぼくは無能だから。でも、そんなもどかしさも含めて、楽しいんですよ。
だからね。
みんな、仕事をもっと楽しみませんか?
ほら、仕事なんてゲームみたいなものですよ。会社や上司、先輩から与えられたミッションをいかにクリアするか。それだけですから。
難易度の高いミッションだって、ゲームにもあるでしょう? でも失敗して、工夫して、クリアしたら楽しいじゃないですか。まったく同じですよ。
しかも、仕事の場合、成功すればゲーム内通貨じゃなく、リアル通貨が増えるんですよ! 最高じゃないですか!!
あれ、だめ? やっぱり?
まとめ:個人の趣味はあまり変わらない。でも趣味の価値は大きく変わった!
長すぎるまえがきで見たとおり、コロナ禍を経過しても実際に遊ぶ趣味はあまり変わっていませんでした。みんな旅行を中心に、動画鑑賞や読書、外食、音楽鑑賞を楽しんでいます。
でも、やることは変わらなくても、その意味は大きく変わったようです。仕事ではなく、趣味だけが生きがいだと感じる方が急増した。そういう結果が出ています。
もしかすると、これもコロナ禍の影響なのかもしれません。
2~3年の間、好きなことを思い切り楽しむことが許されない時代を過ごして、その大切さに気づいた方もいるでしょう。
逆に、おうち時間が増えて趣味に没頭した結果、「これ、楽しい! うひょー!!」ってなった人もいるかもしれません。
とにかく、余暇活動こそが生きがいだという人が増えた。これはデータから見た現実です。
でもね。
やり方や考え方次第で、仕事にだって生きがいを感じられると思うんですよ。
そして、年を取っている“ぼく”としては、そっちのほうがおすすめなんですよ。
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