就職先/転職先を探すとき、絶対に譲れないポイントはどこですか?
給与。業務内容。勤務時間。福利厚生。いろいろな答えが返ってきそうですね。
そして、もうひとつ。多くの方が注目するであろうポイント。それは「休日・休暇」ではないでしょうか。
では、質問を変えましょう。
皆さん、年間休日の最低ラインってご存じですか?
ご存じですか?年間休日には最低ラインが決まっています!
ひとくちに休日と言っても、実は2種類あります。
それが「法定休日」と「法定外休日」。
法定休日は労働基準法の第35条で定められた休日を指します。
しかし同時に、企業は同法の第32条を守る必要もあります。第32条に抵触しないように追加される休日を、法定外休日と呼びます。
そしてこれら2つを合わせたものが「年間休日」となります。
法定休日の日数
まずは法定休日の最低ラインを見ていきましょう。
先ほども書いた労働基準法の第35条とは、下記のとおりです。
第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
②前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
つまり、週に1日、もしくは4週間に4日以上の休みを取得させる必要があるということです。
1年は52週あるので、法定休日は52日となります。
法定外休日の最低ライン
続いて、もうひとつ守らなければならない、労働基準法の第32条を見てみましょう。
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
②使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
つまり、労働時間の上限は1日8時間、かつ1週間で40時間ということ。
これを守るために、何日必要か。計算してみましょう。
(365日÷7日)×40時間=2085時間
※小数点未満は切り捨て
【年間の労働日数】
2085時間÷8時間=260日
※小数点未満は切り捨て
【必要な休日数】
365日-260日=105日
【法定外休日の最低ライン】
105日-52日=53日
ということで、法定外休日の最低ラインは53日となります。
法定外休日の例外パターン
ちなみに、上記は1日8時間労働の場合。所定労働時間が8時間未満の場合は、法定外休日の最低ラインも変化します。
では所定労働時間が7時間の場合は、どうなるか計算してみましょう。
(365日÷7日)×40時間=2085時間
※小数点未満は切り捨て
【年間の労働日数】
2085時間÷7時間=297日
※小数点未満は切り捨て
【必要な休日数】
365日-297日=68日
【法定外休日の最低ライン】
68日-52日=16日
このように、労働時間によって休日の最低ラインは変化します。
振替休日や代休の扱いは?
法定休日に出勤した場合、企業は下記の休日を付与することができます。
◇振替休日
◇代休
両者の違いは、振替休日が“事前に与える休日”なのに対し、代休は“事後に与える休日”だということ。
多くの場合、あらかじめ振替休日を指定されていた場合は、休日出勤扱いとはならず割増賃金の対象外です。
しかし、事前の通告がない代休の場合は休日出勤扱いとなり、割増賃金を得ることができます。
有給休暇は年間休日に含まれる?
もともとは、有給休暇は年間休日に含まれませんでした。これは「休暇」と「休日」の違いによるものです。
しかし、2019年の労働基準法改正に伴い、特定の条件を満たせば、有給休暇を年間休日に含めることが可能となりました。
・(いわゆる)計画有給
労働基準法の改正により、フルタイム勤務の社員で有給日数を10日以上付与される場合、5日分の取得が義務付けられました。一般的に「計画有給」と呼ぶことが多いシステムです。
この5日分に限り、年間休日に含めることができます。
年間休日が105日以下になる例外パターン
上で見てきたとおり、年間休日の最低ラインは105日。しかし、105日を下回っても罰則を受けない例外パターンも存在します。
【例外①】36協定を結んでいる場合
労働基準法の第36条に基づく、通称「36(サブロク)協定」を結んでいる場合は、罰則対象になりません。
この場合、時間外労働の上限を月45時間・年360時間と定めており、この範囲内であれば年間休日日数が少なくなっても違法とはなりません。
【例外②】特殊な労働形態を採用している場合
企業が変則労働制を採用している場合も、年間休日日数が105日を下回っても即罰則対象とはなりません。
たとえば変形労働時間制やフレックスタイム制、裁量労働制などの労働形態がこれにあたります。
【対象外】業務委託契約
上の2つとは違い、そもそも労働基準法が適用されない労働形態があります。
それが業務委託契約。なぜなら、この契約は労働契約ではないからです。
ただし、業務委託契約でも、その内容から労働基準法上の使用者と労働者にあたると認められれば、その限りではありません。
年間休日日数の平均はどのくらい?
ここからは、厚生労働省の調査をもとに、年間休日日数の平均値をご紹介いたします。
皆さんが応募企業を決める際の参考にするためにも、平均値を知っておきましょう。
年間休日日数の平均値
厚生労働省が毎年発表している就労条件総合調査によると、令和5年の平均休日日数は「110.7日」。これが休日の平均値だと言えるでしょう。
しかし、休日日数は企業の規模によっても大きく異なるようです。
1000人以上…116.3日
300~999人…115.7日
100~299人…111.6日
30~99人…109.8日
(出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」)
ちなみに、上記の数字には有給休暇は含まれていないため、実際の休日は5日程度増えることになります。
ホワイト企業の年間休日日数は?
せっかく働くならブラック企業よりもホワイト企業のほうがいい。それが全労働者の本音でしょう。
では、一般的にホワイトと呼ばれる企業の年間休日日数はどのくらいなのでしょうか。
ホワイト企業という言葉に公的な定義はありません。そのため、ホワイト企業だけを抜き出した統計データも存在しません。
しかし、インターネットなどで調べてみると、「年間休日120日以上」がひとつのラインになっているようです。
企業規模が大きいほど休日が多い
ちなみに、年間休日120日以上の会社は、下記の割合です。
1000人以上…53.6%
300~999人…52.0%
100~299人…37.2%
30~99人…30.9%
TOTAL…34.1%
(出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」)
やはり規模の大きい企業ほど割合が高くなるようです。
130日以上休みたいならベンチャー企業!
しかし、休日のためだけに大手を狙うのは間違いと言えるかもしれません。
というのも、年間休日日数が130日を超える企業となると、真逆の結果になるからです。
1000人以上…0.6%
300~999人…1.1%
100~299人…1.0%
30~99人…2.0%
TOTAL…1.7%
(出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」)
なんと、事業規模が小さいほど、130日以上休める会社が増える結果となりました。
ここから先は推測になりますが、企業したてのベンチャー企業はワークライフバランスを重視する傾向があるからだと考えられます。
年間休日の多い業界は?
最後に、年間休日数の多い業界を紹介します。
厚生労働省の同データでは近年、業界別の数値を公表しなくなってしまったので、2018(平成30)年のデータで見ていきましょう。
1位(118.8日) 情報通信業
学術研究,専門・技術サービス業
3位(118.4日) 不動産業,物品賃貸業
4位(116.8日) 電気・ガス・熱供給・水道業
5位(112.7日) 教育,学習支援業
ちなみに、情報通信業とはインターネットや新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、映画のような、情報の処理、伝達、提供などのサービスを行う業種のこと。
学術研究,専門・技術サービス業には学術的な研究や試験を行う事業所のほか、法律や財務、会計などに関する事務や相談、経営コンサルタントなどが該当します。
3位と4位は、なんとなく理解できるのではないでしょうか。文字どおりの業界です。
教育,学習支援業は学校や学習塾、技能・技術を教授する事業所にくわえ、図書館や博物館、植物園なども含まれます。
業界、職種選びの参考になさってください。
まとめ:年間休日日数だけでは分からないことも!
ここまで、年間休日日数の最低ラインや平均日数を見てきました。
しかし、1つ注意があります。年間休日日数だけで就職先/転職先を決めるのは危険です。
というのも、年間休日日数以外にも、休日・休暇にかかわる要素は多数あります。
どんなに休日が多くても、残業も多ければプライベートの時間は減ります。
有給休暇も、取得日数だけではなく、取得日を自由に選べるかどうかで、プライベートの充実度は大きく変わるでしょう。
さらに、リフレッシュ休暇やバースデー休暇などの特別休暇の制度の有無は、実際の休日日数に直結します。
求人ページを見るときは休日・休暇欄だけではなく、給与や勤務時間(残業が書いてあることが多い)や福利厚生(特別休暇の情報は主にここ)も忘れずにチェックしてくださいね。
最後に、学歴・経験不問の求人サイト『ジョブリット』では、「年間休日120日以上」のタグをご用意しています。こちらもぜひご活用ください!
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