あなたの人生を決めるかもしれない、大きな選択。それが就職/転職です。大事であるからこそ、「どうやって就職先を決めればいい?」と悩む人は後を絶ちません。
それが社会経験の少ない高校生であれば、なおさらでしょう。
同時に、「高卒だと“学歴フィルター”が…」と不安を持つ方もいるでしょう。
この記事では新卒・既卒(第二新卒)を問わず、高卒での就職におすすめの業界・職種を紹介していきます!
高卒での就職は不利って本当!?
大卒や専門卒と比較して、最終学歴が高卒だと就職活動が不利になる。一般的に、そう感じている方は多いかもしれません。
しかしさまざまな数値を調べていくと、一概にそうだとは言えません。
まずは、高卒での就職の有利・不利を見比べていきましょう。
高卒の就職内定率は極めて高い
文部科学省の調査によると、令和5年3月の高校・大学卒業者の就職率は下記のとおりです。
男子…98.4%
女子…97.3%
TOTAL…98.0%
(引用:文部科学省「令和5年3月高等学校卒業者の就職状況(令和5年3月末現在)に関する調査について」)
男子…97.9%
女子…98.3%
TOTAL…98.1%
国公立大学…98.5%
私立大学…97.9%
短期大学…97.4%
(引用:文部科学省「令和5年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)」)
上記のように、高校卒業者の就職率(就職希望者に対する就職者の割合)は極めて高く、大学卒業者と比べても不利はありません。
むしろ、大差こそないものの、私立大学や短期大学と比較すれば優勢でさえあります。
しかし、一般的には「高卒は大卒と比べて就職に不利」というイメージが浸透しています。それはなぜか。
高校卒業者の就職先を調べると、その答えが分かるかもしれません。
高卒者の就職先は?
実際に就職した企業の内訳は公表されていません。それでも求人件数を調べることで推測は可能です。なぜなら、高卒者を多く採用している業界・職種ほど、求人を多く出すのは当然だからです。
ここではハローワーク求人数を見ていきましょう。
ハローワークの産業別求人状況
使用するのはハローワークの求人を厚生労働省が取りまとめたデータ。それによると、令和5年度3月末の高校生向け求人総数は48万2270件となっています。
対して、令和5年度の高卒・就職希望者は137,843人(引用:文部科学省「令和5年3月高等学校卒業者の就職状況(令和5年3月末現在)に関する調査について」)ですから、有効求人倍率は3.50倍。数字だけみれば、かなりの買い手市場(就職希望者に有利、企業側に不利)です。
そのなかで特に多くの求人を出している業界を紹介します。
高卒者・求人数ランキング
1位 製造業(31.5%)
2位 建設業(18.0%)
3位 卸売業・小売業(12.0%)
4位 医療, 福祉(9.5%)
5位 運輸業, 郵便業(6.9%)
これらの業界に共通する特徴は2つ。
1つは、若手人材を求めていること。
もう1つは、人材不足に悩んでいる業界であること。
このうち、特に重要なのは1つめ。若手人材を積極的に採用する企業は、体力がある、フットワークが軽い、将来性があるなどに期待しているということでしょう。
つまり、それこそが高卒者のアピールポイントだと言えます。
ちなみに、ダントツに多い製造業。その中でどんな業種が多いかも紹介しましょう。
製造業内の高卒者・求人数ランキング
1位 輸送用機械器具(16.3%)
2位 食料品(13.5%)
3位 金属製品(9.1%)
4位 電気機械器具(7.3%)
5位 はん用機械器具(6.8%)
1位は船舶や航空機、鉄道車両なども含みますが、もっとも多いのは自動車とその関連部品の製造でしょう。
2位は文字どおりですが、このなかに飲料品は含まれないことは注記しておきます。
3位は非常に幅広く、ブリキ缶やめっき板、さまざまな加工機械に取り付けられる機械刃物、金づちやハサミ、レンチ、スパナなどの道具、さらにはフォークやナイフなどの食器まで含む、さまざまな金属製品工場を指します。
4位は発電用の電気機械や変圧器、配電盤などのほか家庭用エアコンやアイロン、冷蔵庫などの電気機械器具を製造する事業所のこと。
5位も幅広く、ボイラーやタービン、ポンプなどのほか、エレベーターやエスカレーター、業務用エアコンなどを製造します。
高卒での就職のイメージが悪い理由とは?
ここまでをご覧いただければわかるとおり、高卒者の就職先で多いのはいわゆるブルーカラー。より分かりやすくいえば、肉体労働系が中心だからでしょう。
ただ、これは極めて偏った、時代にそぐわない印象論です。
実際のところ、工場勤務だからといってすべてが肉体労働ではありません。また精密機械や食品の工場を中心にどんどんハイテク化が進み、労働者の肉体的な負担は著しく軽減されています。
また、このあと紹介する「おすすめの業界・職種」には、ブルーカラーとは言えない仕事も多数、登場します。
もっといえば、令和の時代、日本でもっとも勢いのある業界は製造業であり、日本を指して「ものづくり大国」と呼ぶ風潮も根付いています。
にもかかわらず、未だに製造業=ブルーカラー、頭脳労働>肉体労働、という古く偏ったイメージを持ち続けることは、時代錯誤でしかありません。
新卒・既卒を問わず、高卒での就職を考えている方々。このような間違ったイメージにとらわれることなく、現時点の業績や将来性を冷静に見極めて、就職先を決めていただければ幸いです。
高校卒業者におすすめの業界・職種
ここからは高校卒業者に向けたおすすめの就職先を紹介していきます。
ここで紹介する業界・業種は、いずれも高卒人材を積極的に求めているものばかり。
ぜひ、就職先選びの参考にしてください。
高校卒業者におすすめの業界
まずは業界からご紹介。
ハローワーク求人数はもちろん、将来性や収入面も考慮してチョイスいたします。
IT業界
もっともおすすめしたいのがIT業界。
なぜなら今後ますます需要が伸びる業界であるにもかかわらず、現時点でプログラマーやエンジニアが足りていないという事情があります。
そもそも、この業界では学歴はまったく重視されていません。そのため、高卒でも大卒でも、年収に(ほとんど)差がないことも魅力です。
飲食業
サービス業の中でも、特に飲食業はおすすめしたい業界です。
飲食業の特徴といえば、早い段階でマネジメント経験を積めること。入社後すぐに、アルバイト・パートの管理を行うこともめずらしくありません。
そのため、マネジメントに興味を持っている方には最適な業界といえるでしょう。
また接客スタッフならコミュニケーション能力、キッチンスタッフなら調理スキルというように、プライベートにも活かせるスキルを学べることも魅力です。
建設業
業界全体で人手不足に悩んでいる建設業では、学歴よりも若さや体力が重視されます。
また、学歴ではなく資格・スキルが給与に直結することも高卒者にとってはプラスでしょう。
高収入をめざすなら、建設業界で積極的に資格を取得していくことをおすすめします。
製造業
ものづくり大国・日本を代表する製造業もおすすめの業界の1つ。
ロボット化が進んでいる工場勤務では重労働も減りつつあり、残業代や深夜手当、賞与などを含めた収入もかなりの高水準。さらに年に3回、9~10日の大型連休を取得できるなど休日も多い傾向にあります。
交替制勤務や残業の多さなどはネックですが、それに見合うリターンがあることも間違いありません。
医療・福祉
最後に紹介するのは医療・福祉業界。こと日本では、特に将来性の高い業界です。
この仕事も意外と体力が必要になりますが、それも若い高卒者にはプラス材料。介護福祉士などの資格を取得することで、給与面でもアドバンテージを得られます。
受験費用などを会社が負担してくれる資格取得支援制度を導入している企業が特におすすめです。
高校卒業者におすすめの職種
続いては採用にあたり学歴や経験を問われにくい職種を紹介します。
業界紹介と合わせて参考にしてください。
営業職
学歴ではなく、話術などのスキルや結果が重要視される営業職は、高卒者におすすめの職種。
多くの場合、固定給にくわえて歩合制の報酬も支給されるため、モチベーションを維持しながら働くことができるでしょう。
また、さまざまな業界で必要とされる職種なので、転職などのキャリアパスを実現できることも魅力です。
製造スタッフ
工場での組立・加工や検査、機械オペレーターなどを行う製造スタッフ。こちらは作業工程がマニュアル化されているため、経験を問わずすぐに仕事になじめる職種です。
単純作業の繰り返しが多いことが特徴で、それゆえに好き嫌いが別れる仕事。逆に言えば、1つの作業に没頭できるタイプであれば、時間がすぐに過ぎてしまう仕事でもあります。
プログラマー
システムエンジニアからの指示に基づいて、プログラミング作業を行うのがプログラマー。今後も高い需要が見込まれる職業なので、将来性が抜群です。
こちらも学歴よりもスキルが重要視される職種で、200以上あるとも言われるプログラミング言語を地道に学んでいくことで、業務の幅を広げられるでしょう。
プログラマーとして成長していけば、より高給なシステムエンジニアへのキャリアチェンジも視野に入ってきます。
デザイナー
学歴はもちろん、キャリアも関係なく、シンプルに「高いスキルを持っているかどうか」で評価されるクリエイター職。その中でもセンスやスキルが重要で、かつ給与などの条件にも恵まれているデザイナーも、おすすめの職種です。
こちらはクラウドソーシングで仕事を受注する、フリーランスのデザイナーも増加中。できるだけ他人と接することなく働きたい方にはぴったりと言えます。
ほとんどの企業では制作にあたりPhotoshopやIllustratorといったデザインソフトを使用しているので、めざす方はそれらの扱いに慣れておくといいでしょう。
施工管理
工事の工程や安全を管理する、現場のディレクターといえるのが施工管理。自社・他社を問わず数多くの職人を束ねる必要があるため、コミュニケーション能力やリーダーシップに長けた人が活躍できます。
給与面に恵まれた仕事でもあり、施工管理技士などの資格を取得すればさらに収入がアップ。高収入をめざす方はぜひチェックしてください。
事務職
最後に紹介するのは事務職。所属する企業を陰から支える、縁の下の力持ち的な職種です。
就職に当たり必要なのは、学歴ではなく人となり。他人の気持ちに立って考えられる人、地味な作業を丁寧にこなせる人が重宝されます。かんたんなPCスキルを除けば、特殊な免許・資格が必要ないことも、魅力的かもしれません。
唯一の難点は、非常に人気が高い職種ということもあり、就職の難易度が高いことです。
まとめ:高卒ならではのメリットを活かそう!
正直な話、社会に出てしまえば学歴はそれほど役に立ちません。むしろ、高卒で就職すると、下記のようなメリットを得られます。
・早い段階で自立できる
・進学の費用がかからない
・より早く、多くの経験を積める
(新卒の場合)
・学校による就職支援を受けられる
対して、高卒で就職することのデメリットは、いわゆる大手企業への就職がむずかしいことくらい。ただ、このデメリットは転職時にも継続してしまうため、それまでに資格を取得するなど分かりやすいアピールポイントをつくっておくといいでしょう。
最後に、『ジョブリット』に掲載されている求人は、学歴・経験不問の情報ばかり。学歴を気にしている方は、ぜひ一度ご覧になってください!
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