皆さん、「無能な働き者」というワードを聞いたことはありますか?
これは組織で働く人間を4種に分類した「ゼークトの組織論」というのが元ネタです。
かんたんに言うと、性格を働き者・怠け者、能力を有能・無能に分けて、それぞれをかけ合わせればだいたいの人が該当する。じゃあ、それぞれどうやって扱うのが最善か。
そんな感じで組織を作り上げていく考え方ですね。
THE無能と言ってもいい“ぼく”ごときが、これを考えるのも変な話です。下手したら、自分で自分の首を絞めるかもしれません。
でも当事者だからこそ、読んでくださる“あなた”のお役に立てるかもしれない。
そうポジティブに捉えて、ネットでよく見かける「無能な働き者」、そしてその対になる「有能な怠け者」について考えてみます。
どっちがいいかは一目瞭然!
はい。大タイトルに書いたとおり、コラムを書き切る前からぼくの中での答えは出ています。頭で考えたものではなく過去の経験から、ぼくには圧倒的な差とともに答えが導き出されています。
とはいえ、そんなことはとりあえず置いておいて。
まずはいつもどおり、定義づけからしていきましょう。なんたってぼくは、“定義大好きおじさん”ですからね。
そもそもゼークトって誰?
まずは、この言葉を産んだのは誰? というところからスタート。
なんとなく言葉の響きからも想像できるかもしれませんが、ゼークトさんはドイツ人です。
これまたいつもどおり、Wikipedia先生の記事を引用しますね。
ヨハネス・フリードリヒ・レオポルト・フォン・ゼークト(Johannes Friedrich Leopold von Seeckt、1866年4月22日 – 1936年12月27日)は、ドイツの陸軍軍人、政治家。ヴァイマル共和国軍最大の実力者。最終階級は上級大将。通称はハンス・フォン・ゼークト(Hans von Seeckt)。
てっきり哲学者とか政治学者かと思いましたが、軍人を経験後、政治的な活動を行うようになった人みたいですね。
ちなみに、上級大将と言われてピンとくる人は少ないと思うので解説すると、めっちゃすごい階級です。元帥に次いで、事実上、上から2番めですから。
第一次世界大戦で相当な活躍をされたんでしょうね。
そして大事なこと。
「無能な働き者」という分類が、政治家や学者ではなく軍人から生まれた。ということは、頭でひねり出したものではないのでしょう。
きっと、生死のはざまにある極限的な環境での経験から生み出された、極めて実践的な考え方だと言えそうです。
必見!ゼークトの組織論ってなに?
さて、ここで大問題が起きました。
ぼくはコラムを書くにあたって、調べきってから書き始めるわけではありません。書きながら調べ、またそれに対する考えを書いて、必要になればまた調べる。そんな感じなんです。
ひとことにするなら、行き当たりばったりですね。
だってさ、結論ありきのコラムなんて、読んでて面白くないでしょう? ぼく自身も、書いていて面白くないです。
あ! すごくいい例えが浮かびました。音楽でいえば、スタジオ録音ではなくライブ盤みたいなイメージです。
さあ、そんなぼくに訪れた大問題とは? 下記をご覧ください。
軍人を4つのタイプに分類する「ゼークトの組織論」と呼ばれる軍事ジョークがあり、ゼークトが以下のように語ったとされる(後略)
え、これ、ジョークなの? 都市伝説なの?
真剣に考えるの、馬鹿らしくなっちゃいました(笑)。
ま、でも仕方ないですね。このまま進めましょう。
だって、こんなジョークが現代まで残ったってことは、内容はなんとなく正しいのでしょうから。
ゼークトの組織論(というジョーク)での分類
表を見ていただければ分かるように、この軍事ジョークでは人間を4種に分類しています。
そして、軍人の名前を借りたものだけあって、軍隊でどんな役割を任せるべきかを論じています。
まず、有能な怠け者。これは判断力や行動力はある。だけど、本人はサボるかもしれない。そんなところから、指揮官に向いているとされています。
次は、有能な働き者。判断力も行動力もあり、サボったりはしない。ただ勤勉だからこそ、他人に仕事を任せるのは苦手。その結果、部下の成長を鈍化させてしまう。そのため、リーダーではなくそのサポート役、つまり参謀が適しているそうです。
そして、無能な怠け者。自分で考えて動くことはないけど、指示されたことはやる。そんなタイプは兵士として理想的なのだとか。
現実的に、もっとも多いタイプがここな気もしますね。ええ、もちろんぼくもこれです。
無能な働き者とは?
主題なので、ここだけ章を分けましょう。
最後は無能な働き者。これがいちばん辛辣です。とにかく酷い書かれ方です。なにせ、「もっとも害のある存在」と書かれていますから。
正しい判断力や行動力を備えていない。そのくせ、自身の判断で行動してしまう。つまり、余計なことばっかりする奴ということでしょうか。
「ゼークトの組織論」なんてデマを流布した一人、戦争漫画家の小林源文氏の著作では、
「最後に勤勉で 頭の悪い奴 そういうやつはさっさと 軍隊から追い出すか 銃殺にすべきだ(後略)」
とまで書かれているようです。
気持ちは分かるよ。分かるけど、それでも酷すぎませんか(笑)。
ところで、現代の社会に置き換えると、どんな人がここに当てはまるのでしょうか。
会社員における無能な働き者とは?
無能な働き者を現代の会社員に置き換えると、おおよそこんな感じだと思います。
・自分の判断で仕事を進める
・同じミスをくりかえす
・一人で仕事を抱え込む
・そのくせ時間どおりに終わらせられない
・「報連相」「チンゲン菜」「こまつな」ができない
・自己評価が高い
・そのせいで組織や周囲の評価に不満を持ちやすい
どれも社会人として、組織人として問題ですねぇ。
ここからはぼくの経験上、特にイヤなものを紹介していきます。
一人で仕事を抱え込む/時間どおりに終わらない
まずはこの2つ。ぼくが部下にやられていちばんイヤなことです。
正直、仕事なんて、できなくてもいいんですよ。早めに言ってくれたら、いくらでもサポートするし、最悪、仕事を引き取ることもできますから。
問題は、仕事ができないことではありません。他人を使えない、頼れない。そっちのほうが大問題です。
ただね、ぼくと同じように、後輩や部下を抱えるおじさん連中にも言いたいことがあります。
これをやるのが圧倒的少数であるならば別だけど、頻出するようなら、問題はこちらにありますよ。人に言えない、頼れない空気を作っているってことですから。
お互い、それだけは忘れないようにしましょうね。
自分の判断で仕事を進める
これも、まあ問題ですよね。分からなければ、聞いてくれればいいのにね。
ただ、こう書くととってもおじさんぽいけど、今の若い子って本当にこれができない印象です。それが若い子の問題なのか、質問できない空気をつくったぼくらの責任なのか、難しいところですが。
なんにせよ、分からないことは遠慮なく聞いてください。普通、そんなことで怒ったりしませんから。
むしろ、分からないことを聞きに来る=やる気がある=かわいい。そんなロジックが完成したりします。
ぼく的に、若い子に伝えたいことがあります。
上司や先輩ってね、皆さんが思っている以上にちょろいですよ
自己評価が高い
逆に、あんまり問題じゃないなと思うのがこちら。これはぼくがライターという特殊な仕事をしているからかもしれません。
でもね、ぼくらの世界だと自分に自信を持っているって、すごく大事なんですよ。
同時に、分かっておかなきゃいけないこともあります。自己評価と他人の評価は「完全に別物」だってこと。
別物なんだから、他人の評価を気にする必要はありません。特にぼくのような“THE無能”は、「俺の文章の良さが分からない奴のことなんて気にしない!」と割り切らなきゃやってられませんから。
でね、気にしないってことは、他人の評価に不満を持たないってことでもあるはずです。
だって、本当に気にしてなければ、不満なんか持つわけないでしょう?
こんなときに覚えておくべき言葉を、ぼくは知っています。皆さんにも紹介しますね。
無能な働き者と有能な怠け者、どっちがいい?
ぼくの後輩や部下として、どっちがいいか。最初に書いたとおり、答えはもう決まっています。
答えは、無能な働き者。
だって、性格を変えるのは大変だけど、能力は成長させられるもん。
分かりやすく言うなら、やる気のない人間にやる気を植え付けることはできません。少なくともぼくは、できたことがありません。
でも、仕事ができないと言われた人間が数年後に急成長した。そんなケースは山ほど見てきました。
過去に何度も書いたけど、ぼく自身もそうです。出版社に入社して文字周りの仕事を始めたころのぼくは、本当にポンコツでした。でも続けていたら、なんとかぎりぎり人並にはできるようになりましたし。
上司が部下の能力を引き上げられないのであれば、それは上司の力不足だと思います。
まとめ:現代でも都市伝説がこんなに広まるのか!
いやあ、今回は本当にびっくりしました。
それほどネットミームに明るくないぼくですら、「無能な働き者」なんてワードは何度も聞いてました。「ゼークトの組織論」という名前だって、なんとなく覚えてました。
でも、まさか単なる都市伝説、ただのデマだったなんてね。世の中って、調べてみないと分からないことばっかりだなあ。
ところで。
敢えてこの分類を用いるなら、“あなた”はどれでしたか?
日本だと、多くの方が自分を「無能な怠け者」に分類させると思います。よく言えば謙虚、悪く言えば過小評価。それが日本人の国民性だと感じています。
でもね、ここは過大評価してもいい。そのくらいの心構えで、いうなれば「本寸法」で測って分類してください。
そうすれば、自分はどこへ向かうべきか。どんなことに気を付けるべきか。少し分かるかもしれません。
そしてそれが、あなたの未来に役立つかもしれませんから。
そして、その未来を実現させるために。ぜひ『ジョブリット』を上手にご活用ください!
\学歴・経験不問の求人は/ \『ジョブリット』で検索/ |