働く理由。その回答は人によってさまざまでしょう。
しかし、内閣府などの公的機関が発表しているデータを見ていると、あるひとつの傾向があります。
それは、時間>お金という価値観への変化。
一生懸命働いて昇進や昇給を果たし、少しでも収入を上げる。そしてそのお金で、自分の好きなことを楽しむ。そんなライフスタイルを求める人は、明確に減少しています。
しかし。
そうはいっても、やっぱり気になるのが収入面。
そこで今回は、日本人の「平均年収」を、さまざまな側面から見ていきます。
・日本人の給与所得は増加傾向にある
・年齢、居住地、業界別の平均年収を紹介
・自身の条件を正しく把握して、転職する/しないを考えよう
日本人の平均年収を調査してみた!
当サイトのコラムでも紹介されていましたが、良いことなのか悪いことなのかは別として、多くの人が「お金のため」に働いています。
同時に、2024年に内閣府が行った世論調査では、こんな結果が出ています。
収入と自由時間についての考え方 | |
自由時間を増やしたい | 40.8% |
収入を増やしたい | 55.3% |
わからない/無回答 | 3.9% |
(引用:内閣府「国民生活に関する世論調査」比較報告書99Pより
これだけを見ると、やっぱりお金を大事にしているように見えるかもしれません。
しかし実は「自由時間を増やしたい」という数値も年々、上昇し続けているんです。
この資料に記載されているうち最古となる30年前、1993(平成5)年の調査での数値は28.9%でした。
そこから多少の上昇・下降ありつつも数値は順調に上がり続け、2022(令和4)年には41.9%と最高値を記録。
30年で約1.45倍になったのですから、お金よりも時間を求める人が増えたことに間違いはないでしょう。
そしてその理由として考えられるのは、そもそもここ数年、日本人の平均年収が上がり続けていることではないでしょうか。
それでも気になる平均年収!
ある程度、収入面に余裕が出てきた。今後も給料は上がっていくかもしれない。だから次は、自由な時間を求める。
そう考えるのは、自然な流れと言えるでしょう。
とはいえ、やはり他人のお給料事情というのは気になるもの。
当サイトの職種紹介ページでも毎回のように記載されていますが、まずは日本人全体の平均年収から見ていきましょう。
日本人の平均年収
日本人の平均年収 | ||
全体 | 459.5万円 | |
正社員 | 男女計 | 530.3万円 |
男性 | 593.6万円 | |
女性 | 412.8万円 | |
正社員 以外 | 男女計 | 201.9万円 |
男性 | 268.5万円 | |
女性 | 169.1万円 |
(引用:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査結果」p17(第8表)より)
皆さん、いかがでしょうか。ぜひ一度、ご自身の収入と比較してみてください。
ただ一点、注意が必要です。
この調査の平均年齢は47.0歳、平均勤続年数は12.5年となっています。
一般的に、年齢や勤続年数に比例して収入も上がります。正しく比較するには、ご自身の状況に合わせて増減させる必要があるでしょう。
このあとは、さまざまなカテゴリ別に数値を見ていきたいと思います。
年齢別・平均年収
年齢階層別の給与額 | |||
年齢 | 男性 | 女性 | 男女計 |
19歳以下 | 132.8万円 | 92.7万円 | 112.4万円 |
20~24歳 | 279.2万円 | 253.2万円 | 266.8万円 |
25~29歳 | 429.2万円 | 352.8万円 | 394.4万円 |
30~34歳 | 492.4万円 | 345.0万円 | 431.3万円 |
35~39歳 | 556.1万円 | 336.3万円 | 466.2万円 |
40~44歳 | 612.2万円 | 343.4万円 | 500.5万円 |
45~49歳 | 653.1万円 | 343.4万円 | 521.4万円 |
50~54歳 | 689.1万円 | 343.2万円 | 539.6万円 |
55~59歳 | 711.8万円 | 329.9万円 | 545.1万円 |
60~64歳 | 572.5万円 | 278.2万円 | 445.1万円 |
65~69歳 | 456.2万円 | 221.7万円 | 353.6万円 |
70歳以上 | 367.6万円 | 196.7万円 | 293.0万円 |
(引用:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査結果」p170(第10表)より)
1つ前の平均給与から、男性と比較して女性の給与が著しく低いと感じた方も多かったと思います。しかし、この表にはその謎の答えが詰まっています。
男性は一般的な定年である60歳まで、常に給与が上がり続けていますが、女性の最大値はなんと25~29歳。つまりこのあたりから結婚などの理由により、退職を含め働き方を変えたケースが多いのでしょう。
収入別分布
自分の収入が本当に平均より低いのか。それを調べるには、平均額だけでは不確実です。
というのも、年収が極めて高いごく一部の人たちの数値に引っ張られ、平均金額が上がってしまうから。
そこで、年収ごとの割合分布を見ていきます。
年収別の比率 | |||
年収 | 男性 | 女性 | 男女計 |
100万円 以下 | 3.6% | 14.1% | 8.1% |
200万円 以下 | 6.0% | 20.5% | 12.3% |
300万円 以下 | 9.7% | 19.6% | 14.0% |
400万円 以下 | 14.9% | 18.1% | 16.3% |
500万円 以下 | 17.5% | 12.7% | 15.4% |
600万円 以下 | 14.0% | 6.7% | 10.8% |
700万円 以下 | 10.0% | 3.4% | 7.1% |
800万円 以下 | 7.2% | 1.9% | 4.9% |
900万円 以下 | 4.9% | 1.0% | 3.2% |
1000万円 以下 | 3.6% | 0.7% | 2.3% |
1500万円 以下 | 6.3% | 1.0% | 4.0% |
2000万円 以下 | 1.4% | 0.2% | 0.9% |
2500万円 以下 | 0.4% | 0.1% | 0.3% |
2500万円 超 | 0.5% | 0.1% | 0.3% |
(引用:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査結果」p167(第9表)より)
※パーセント表示への加工はジョブリットメディア編集部による
この表を見ると、男性でもっとも多いのは年収401~500万円で、そのプラスマイナス100万円も多め。
対して女性は100万円から500万円まで、まんべんなく分布しています。これはやはり、結婚や出産というライフステージの変化に合わせて、勤務スタイルを変えたかどうかで大きな差が現れるということなのでしょう。
この数値を見る限り、特別な地位にいる方を除けば、男性の平均年収は301~599万円の間。そして、女性も働き方を変えなければ、近い数値に落ち着くのではないでしょうか。
業種別・平均年収
最後に紹介するのは業種別の平均年収。表をご覧いただければ一目瞭然ですが、業種によって年収は大きく変わります。
業種別の平均年収 | |
業種 | 年収 |
建設業 | 547.7万円 |
製造業 | 533.2万円 |
卸売業,小売業 | 387.4万円 |
宿泊業,飲食サービス業 | 264.1万円 |
金融業,保険業 | 652.0万円 |
運輸業,郵便業 | 473.0万円 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 774.9万円 |
情報通信業 | 649.2万円 |
学術研究,専門・技術サービス業,教育,学習支援業 | 551.0万円 |
医療,福祉 | 403.6万円 |
複合サービス事業 | 534.8万円 |
サービス業 | 377.8万円 |
農林水産・鉱業 | 333.4万円 |
(引用:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査結果」p180(第8表)より)
ちなみに、業種の分類は「日本標準産業分類」に基づいています。細かく解説するのはスペース上、不可能なので、下記でご確認ください。
「日本標準産業分類」、「日本標準職業分類」、「日本標準商品分類」を始めとした、統計に用いる分類項目・用語の説明を提供して…
業種別・平均年収からわかること
統計上、圧倒的に高収入なのは電気・ガス・熱供給・水道業。ここには各インフラの供給のほか、発電所や変電所、ガス製造工場、上下水道業などが含まれます。
また銀行や信用金庫、クレジットカード業や証券業などが含まれる金融業,保険業、テレビやラジオ、インターネットなどで情報を発信する情報通信業も全体的に高収入となっています。
反面、収入面にアドバンテージがなさそうに見えるのは宿泊業,飲食サービス業。しかし、この数値をもって稼げないと考えるのは早計です。
下記の表をご覧ください。
業種ごとの年収比率 | ||
年収 | 宿泊業 飲食サービス業 | 電気・ガス 熱供給・水道業 |
100万円以下 | 28.1% | 0.25% |
200万円以下 | 20.7% | 1.0% |
300万円以下 | 14.6% | 3.1% |
400万円以下 | 13.8% | 5.4% |
500万円以下 | 9.8% | 10.6% |
600万円以下 | 5.8% | 13.6% |
700万円以下 | 2.6% | 13.9% |
800万円以下 | 2.1% | 10.2% |
900万円以下 | 0.8% | 8.4% |
1000万円以下 | 0.6% | 8.6% |
1500万円以下 | 0.6% | 21.9% |
2000万円以下 | 1.0% | 2.7% |
2500万円以下 | 0.1% | 0.2% |
2500万円超 | 0.1% | 0.2% |
(引用:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査結果」P146(第9表)より)
※パーセント表示への加工はジョブリットメディア編集部による
宿泊業,飲食サービス業と、もっとも平均年収の高い電気・ガス・熱供給・水道業を比較しました。
見比べると、宿泊業,飲食サービス業は100万円以下が最も多く、400万円を超えると各階層のパーセンテージが一桁になっています。
対する電気・ガス・熱供給・水道業はそれとは真反対に、400万円を超えるとようやく比率が二桁になり、最大値はまさかの1001~1500万円層です。
しかし、これはかんたんに言えば、宿泊業,飲食サービス業には非正規社員が多いがインフラ業には少ない、ということでしかありません。1年を通して正社員として勤務したのに、年収が100万円以下というのはありえないからです。
もう一つ、宿泊業,飲食サービス業には平均年収が下がってしまう明確な理由があります。
なぜ宿泊業,飲食サービス業の平均年収は低い?
一般的に、宿泊業,飲食サービス業は離職率が高いと言われています。
先ほども書きましたが、全職種の平均年齢が47.0歳、平均勤続年数は12.5年です。
しかし宿泊業,飲食サービス業では平均年齢は42.4歳、平均勤続年数は8.4年。どちらも大きく平均を下回っています。
このことも、見た目上の平均年収を下げる要因になっていると考えられます。
宿泊業,飲食サービス業は稼げない?
では、宿泊業,飲食サービス業は稼げないのかというと、そんなことはありません。これはこのデータからも、確実に言い切れます。
データ上、勤続年数が10年を超えると年収500万円が、20年を超えると800万円が見込めるようです。
具体的に言うと、勤続10年(大卒なら32歳程度)ほどで店長やホテルの支配人になり、年収500万円超えが現実的になる。
そして20年(同じく42歳程度)程度勤めれば複数店舗を統括するマネージャーに昇格し、年収800万円以上をめざせる。
そう考えれば、著しく高いとは言えずとも、十分な収入が得られる仕事でしょう。
まとめ:いちばん大事なのは「長く続けること」!
ここまでさまざまな角度から、日本人の平均年収を見てきました。
しかし、これらはすべて一般論にすぎません。
業種という大きな括りではなく、その中の職種でも大きく変わるでしょうし、そもそも会社次第という面もあります。
最後に伝えたいのは、一般的に勤続年数が長いほど給与が上がりますよということ。
当然のことではありますが、転職は当たり前という令和の今だからこそ、最後にお伝えしておきます。
結局、ある程度の収入を得ようと思ったら、いちばん大切なのは長く勤めること。
そのためには、平均年収などに囚われず、自分にとってやりがいのある仕事を選ぶこと。
さまざまな角度からデータを見ていたら、当たり前と言える結論に収まった。
しかしこれは、数値を見る価値があったことの証明と言えるのかもしれません。
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