前回、日本人の働き方解説の第一弾として、「終身雇用」を解説しました。
すでに崩壊したとも言われる終身雇用。しかし、現代の若者からも絶大な支持を得る制度でもあります。今回は日本人の働き方解説第…
そのラストで予告したとおり、今回は第2弾として「ジョブホッパー」を解説いたします。
若年層を中心に、現在増えているこの働き方。しかし、インターネット上では比較的、嫌われているのかもしれません。なにせジョブホッパーと検索すると、いちばん上に「末路」とサジェストが出るくらいですから。
本記事ではジョブホッパーという働き方の特徴や定義、メリット・デメリットを分かりやすく解説いたします。
・ジョブホッパーとは、短期間(2~3年程度)での転職を繰り返す人をさす
・職種によっては当然となっている働き方
・年齢に限らず劇的なキャリアアップを実現できる
・うまくいくかどうかは自分次第
海外なら当然!? ジョブホッパーってどんなイメージ!?
近年、よく耳にするようになった「ジョブホッパー」という言葉。
英語で転職を繰り返す「job-hopping」、そしてそんな人をあらわす「job-hopper」が語源です。
現代の日本、特に若年層には転職へのアレルギーはほとんどありません。それでも転職を選ぶ人が少ないのは、前回解説したとおり、終身雇用が日本社会に根付いているからなのでしょう。
では、現代の日本において、どんな人がジョブホッパーになりやすいのか、その特徴を見ていきましょう。
ジョブホッパーの定義
まずはジョブホッパーを正しく知るために、下記をご確認ください。
ジョブホッピング(英語: job – hopping)は、転職(英語: job‐change)という言葉と混同されやすいが、両者は同義語ではなく、転職を「繰り返す」という点が異なる。ジョブホッピングする人のことをジョブホッパーと言う場合がある。
ここにあるとおり、単なる転職ではなく、“繰り返す”というのが重要なポイント。
また、公式な定義こそないものの、一般的には2~3年という短期での転職を繰り返すことをさすとも言われます。
ジョブホッパーはマイナス?
前回、解説した「日本型雇用システム」から見ると、転職回数が増えるほどネガティブに捉えられがち。
それは残念ながら事実ではあるものの、同時に職種によっては日本でも古くからよくあることでもあります。
再び、Wikipediaの記事から引用します。
(前略)一部の専門職(IT、医療、出版、ホテル、外食産業などが代表的)に限れば、日本でも以前からよくおこなわれていた行為であり、それらの職種においては問題視されることは少ない。
本サイトのコラムでも、執筆しているライターがときどき書いていますが、専門職や技術職は「能力を高く買ってくれる企業に転職するのは当然」という認識なのでしょう。
職種によっては、それほど大きなマイナスイメージは持たれないこともあるのかもしれません。
同義語? キャリアビルダーとは?
皆さんは「キャリアビルダー/キャリアビルディング」という言葉をご存じですか?
これはジョブホッパーを解説する際、高確率で登場する言葉で、「明確な目標をもって、計画的に転職を繰り返す人」をさします。
『転職を繰り返す』という意味ではジョブホッパーと同じようにも受け取れますし、『明確な目標をもって』という部分を抜き取れば差異があるとも言えます。
ジョブホッパーの特徴とは?
短期間でジョブホッピングを繰り返すジョブホッパーには、業界や職種を問わず共通する特徴があります。
コミュ力が高い
視野が広い
チャレンジ精神がある
自分に自信がある
いかがでしょうか。どの特徴もネガティブなものではありません。
ではここからは、特徴を1つずつ解説していきましょう。
特徴①コミュ力
転職回数の多い方は、どの職場でも高いコミュ力を活かして適切な人間関係を構築できるからこそ、転職をいとわないのでしょう。
また、企業のカルチャーにもすぐになじむことができます。
逆説的ないい方になりますが、こういった特徴を持っていないとジョブホッパーとして活躍することはむずかしいのかもしれません。
特徴②視野が広い
さまざまな企業を渡り歩く中で、多角的な視点を身に付けていることもジョブホッパーの特徴です。
ある企業が「当たり前」と思っている企業風土に対して、先入観なくよりよい方法を提案できることもあるでしょう。
またジョブホッパー本人も困難に直面した際、「あのときはこうした」と経験を活かして乗り越えることができます。
特徴③チャレンジ精神
Z世代と呼ばれる若者が、「大事だと分かっているけど苦手」としているのがチャレンジ。しかし、ジョブホッパーの多くは積極的にチャレンジをしかけます。
固定観念にとらわれることなく、自分にとって理想的な職場・職種を追い求める姿勢は、転職を考えていない人にも見習うところがあるでしょう。
特徴④自分に自信がある
前章で紹介した、いわゆる「専門職」でジョブホッピングを繰り返す人たちは、総じて自分のスキルに自信を持っています。
ただし、大事なのはスキル・実力に見合った自信を持っているかどうか。
自分を正しく評価できていれば、自身を過小評価しがちな日本において、大きなアドバンテージになりえます。
ネガティブな特徴はないの?
ここまで、ジョブホッパーに共通する特徴のうち、主にポジティブな部分を紹介しました。
しかし、ネガティブな特徴がないわけではありません。
まず、ジョブホッパーの多くは「飽きやすい」というネガティブな特徴を持っています。自分に合っている、合っていないにかかわらず、1つの業務を長く続けることができないため転職を繰り返す人が多いと言われます。
また、「こだわりが強すぎる」のもマイナスポイント。理想を追い求めて積極的にチャレンジするのはいいことですが、追求しすぎるのも考えものです。
最後に紹介するのは、「持っているスキルが部分的になりがち」という特徴。これはジョブホッパー最大の弱点だと言えます。
飽き性にせよ理想を求めるにせよ、短期間での転職を繰り返す彼らは、得意分野に限定したスキルはもっていても、業務全体で見ると知らない/できないことが多い傾向にあります。
若いうちならまだしも、年齢やキャリアを重ねたときに、トータルでの能力に大きな差が出てきてしまうでしょう。
ジョブホッパーのメリットとデメリット、末路を解説!
ここまで、ジョブホッパーの定義や特徴を紹介してきました。
ここからは、肝心のメリットとデメリット、そしてインターネット上でよく言われる「悲惨な末路」の真偽を解説していきます。
ジョブホッパーのメリット
終身雇用が当たり前という日本の社会構造では、マイナスになりがちな転職。
それを繰り返すジョブホッパーが増えているのは、ジョブホッパーならではのメリットがあるからに他なりません。
劇的なキャリアアップが見込める
自分の可能性を広げられる
理想の仕事に出会える
これらのメリットを1つずつ解説していきます。
メリット①劇的なキャリアアップ
終身雇用と年功序列はほぼワンセット。少しずつ変わりつつはあるものの、実力があっても若くして急激なキャリアアップを果たすことはレアケースだと言わざるを得ません。。
しかし転職を挟めば、年齢を問わず実力に見合った評価をもらえることもあります。
またベンチャー企業やスタートアップ企業を渡り歩くことで、急激な企業成長とともに自身の待遇も劇的に向上することもあるかもしれません。
メリット②可能性を広げられる
現状、日本の転職事情は明らかに経験者有利。そのため、入社後に自分のやりたいことが見つかっても、現職とのマッチ率が低ければ不利な転職活動を余儀なくされます。
ここで1つ、例を出しましょう。
現在、飲食店でホールスタッフをやっているA君。彼は接客を通してコミュニケーション能力を磨き、それを活かせて給料も高いIT企業の営業職への転身を考えます。
しかし、現在の日本では【飲食業界 ホールスタッフ】から【IT企業 営業】への転職は、不可能ではないものの難易度が高いのが実情。
しかしA君がジョブホッパーであれば、彼はこういう選択をするでしょう。
【飲食業界 ホールスタッフ】
↓
【飲食業界 営業】
↓
【IT企業 営業】
お分かりでしょうか。【飲食業界 営業】を挟むことで、志望するIT業界への転職が一気に現実のものとなります。
転職をいとわない姿勢があるからこそ、自分の可能性を広げることができるのも現実です。
メリット③理想の仕事に出会える
現在、日本人が最初の就職先を「理想の職場」だと思っているのは半数以下だと言われます。同時に、年齢にもよるものの、理想の職場ではないと理解をしつつも転職しない方が大多数にのぼります。
これも終身雇用が根付いている弊害なのでしょうか。
しかし、ジョブホッパーであればそんな悩みとは無縁です。自分の理想を追求した結果、やりがいを感じられる仕事に出会えるかもしれません。
ジョブホッパーのデメリット
もちろん、ジョブホッパーならではのデメリットもあります。
まずは下記をご覧ください。
転職回数が増えるたびに採用されにくくなる
年齢やキャリアに見合うスキルを得られない
今度はデメリットを1つずつ解説していきましょう。
デメリット①採用されにくくなる
ジョブホッパーのデメリットは、ほぼここに集約されます。
終身雇用が根付く日本では、転職回数が増えるほど採用されにくくなります。もちろん、よほどのスキルや実績があれば別ですし、すでに解説した専門職という例外もあるものの、基本的には転職回数が3回を超えると採用担当者は不安を感じるそうです。
ではスキルや実績があれば安心かというと、そうではありません。短期間での転職を繰り返していると、担当者は「どうせウチもすぐ辞めるだろう。それなら現在のスキルが劣っていても、他の人を採ろう」となっても仕方ありません。
また理想を追求しすぎると、周囲からは「わがまま」と思われ忌避される傾向も。
契約社員や業務委託という雇用形態であれば話は変わりますが、少なくとも正社員採用のハードルは転職回数と年齢に応じてどんどん高くなっていくでしょう。
デメリット②限定的なスキル
先ほども解説したとおり、スキル面に対する不安もジョブホッパーにはつきもの。
というのも、日本企業の多くは年齢に応じてマネジメントの役割を担ってもらうことを想定しているからです。
業種・職種にかかわらず、「いつまでもプレイヤーでいたい」という方にとっては迷惑な話ではありますが、こういった現実と向き合いながらキャリアプランを考えることも必要かもしれません。
ジョブホッパーの末路は悲惨? それとも明るい?
何度も書いているとおり、インターネット上ではジョブホッパーに否定的な意見が多いようです。しかしそれは、少し卑怯な論法を取っていることが多いのも事実です。
先ほど紹介した「キャリアビルダー」。こちらにネガティブなイメージはありません。というよりも、持たせていないのです。
つまり、転職を重ねた結果、人生を成功させれば「キャリアビルダー」になり、失敗させれば「ジョブホッパー」と蔑まれる。言葉本来の意味を飛び越えて、成功例には別の言葉を当てはめて、ジョブホッパーをダメな例に仕立て上げています。
要するに、終身雇用と同じく、本人次第でいい方にも悪い方にも転がる。ジョブホッパーも、そんな当たり前と何一つ変わりません。
まとめ:キャリアプランを明確にしておこう!
近年、着実に増えているジョブホッパー。その特徴やメリット、デメリットがお分かりいただけたでしょうか。
ジョブホッパーは働き方の1つとして、今後ますます広がっていくでしょう。
そして、それを成功させられるかは、本人次第です。
では、成功するためにどんなことに気を付ければいいのか。その答えは極めてシンプルです。
長期的なキャリアプランを描き、それに基づいた企業選択を行うこと。
「芯」を持った企業選択を行っていれば、必要なスキルをしっかりと身に付けることができるでしょう。
もう1つ、アドバイスをするならば、転職を繰り返すにしても1つの企業に3~5年は在籍してください。そして、その期間中に目に見える実績を残してください。
そうすれば転職時のダメージは最小限に抑えられるはずです。
終身雇用自体はまったく悪いものではありません。だからこそ、長く日本社会に根付いたはずです。
ただ、ジョブホッパーという働き方も同じです。悪いと言い切るものでもなければ、末路を心配されるものでもありません。
結局のところ、どんな働き方であっても、最後はあなた次第です。
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