世の中に不必要な仕事など存在しません。もしあったとしても、そういった職種は自然と淘汰されていきます。
そんななかでも、特に「必要」とされがちな職種。それが学校の教員や塾・予備校の講師に代表される、教育関係の仕事ではないでしょうか。
その国の未来とも言える子どもたちに知識や技術を伝える、重要な役割を担うこれらの仕事。皆さんの中にも、きっと志している方がいらっしゃることでしょう。
同時に、教育関係の仕事に就きたいと思うものの、資格がないなどの理由で、チャレンジする前からあきらめてしまった方もいるかと思います。
そこで今回は、教育関係の仕事の特徴や転職方法、さらには気になる年収などを解説していきます!
教育関連職のステータス (ジョブリットメディア編集部調べ) | |
転職のしやすさ | ★★☆☆☆ |
収入面 | ★★★☆☆ |
スキルアップのしやすさ | ★★★★☆ |
業界/職種の将来性 | ★★★★★ |
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
教育関係にはどんな仕事がある?
教育関係の仕事といって真っ先に思い浮かぶのは、学校の教員や塾・予備校の講師、幼稚園や保育園で働く保育士や幼稚園教諭あたりでしょうか。
しかし、他業種と同じく、かなり広範囲に細分化されている業界でもあります。
ここではまず、さまざまある教育関係の職種を紹介していきます。
教育関係職の分類
学歴・経験不問の求人メディア『ジョブリット』で「教育・講師職」のカテゴリに含まれる職種は、実に9つも存在します。
塾・予備校講師
学校教員
保育士
児童館スタッフ
ベビーシッター
音楽講師
IT・クリエイティブ講師
外国語講師
教育その他
まずは、これらの職種をかんたんに解説していきます。
塾・予備校講師
教育関係職のなかでもかなりメジャーな職種がこちら。このあと紹介する学校教員とのもっとも大きな違いは、進学をめざす小学生から資格取得を目的とする社会人まで、所属する組織次第で生徒の年齢が大きく変わることでしょう。
講師をめざすにあたり必要となるのは、担当する教科やツールに対する専門知識と、それを分かりやすくアウトプットする言語能力。
また近年は1人ないし少人数を相手にするマンツーマンに近い指導が人気のため、勉学以外のコミュニケーション能力もより必要性が増しています。
学校教員
『ジョブリット』での順番は2番めとなっていますが、教育関係職の代表例といえばこちら。職種名は教員ですが、一般的には教師と呼ばれることが多いかもしれません。
子どもたちが勉学に励む学校にて、教育と指導の役割を担う本職。教師次第で教え子たちの人間形成が大きく変化するため、非常に大きなやりがいと責任を伴う仕事だと言えるでしょう。
ちなみに小学校~高等学校の教壇に立つには教員免許が必要。ただし、放課後学習支援員や学校事務など、資格なしで学校教育に携わる方法も存在します。
保育士
こちらも特定の資格が必要となる職種。保育園で児童と接するためには保育士資格が、幼稚園で勉学を教えるには幼稚園教諭免許がそれぞれ必須となります。
学校教員や塾講師と大きく異なるのは、受け持つ子どもの年齢。保育園なら0歳から、幼稚園でも3歳からとなっているため、言葉でコミュニケーションが取れない相手と良好な関係を保つ必要があります。
また、勉学や生活上の教育だけではなく、児童の安全を見守ることも大切な仕事です。
児童館スタッフ
0歳から18歳未満までの子どもが利用する児童館で働くスタッフのこと。職員になるには基本的に保育士資格が必要となるほか、公営施設で働くなら公務員試験に合格する必要もあります。
児童館とは子どもの遊び場として健康の向上と心を豊かになることを目的とした児童福祉施設。
保育園とは異なり利用者の年齢に幅があるため、相手に合わせてフレキシブルな対応が求められる仕事です。
ベビーシッター
仕事や外出など、さまざまな事情で保護者が子どもを保育できない際に、保護者の代わりに子どもをケアするのがベビーシッター。資格が必須ではない職種ということもあり、人気の高い仕事です。
依頼次第ではあるものの、一般的に相手にするのは0歳~12歳くらいまでが中心。ベビーシッターという名称から「赤ちゃんの世話」と思われがちですが、実際はもう少し幅広い年齢が対象となることを覚えておいてください。
音楽講師
楽器の演奏や歌唱、さらには歴史まで、音楽にまつわる知識・技術を専門的に教える仕事。中学校や高等学校の教員としての道もありますが、ここでは音楽教室の講師を想定して紹介します。
日本の場合、音楽講師が教えることの多い楽器はピアノやバイオリン、ギターなど。これらについて、音楽大学卒業程度の技術・知識が求められるでしょう。また、子どもから大人まで、幅広い年代を教える可能性があることも特徴です。
学校の教員でなければ資格がなくとも就職できるものの、それなりにハードルの高い仕事だとも言えます。
IT・クリエイティブ講師
こちらも学校や塾以外の場で、プログラミングやデザインなどの技術・知識を教える仕事。
音楽講師と比較すると、生徒の年齢がある程度限定されやすいという特徴を持っています。しかし、必須といえる資格はなくても担当する分野の高い専門知識が必要という共通点があるとも言えます。
最後にひとつ注意を。ITにせよクリエイティブにせよ、時代の変化が激しい業界です。時代のニーズに対する高いアンテナも必要でしょう。
外国語講師
英語を筆頭に、ドイツ語やフランス語、イタリア語といった外国の語学を専門的に教える仕事。こちらも学校の教員ではなく英会話教室などの講師を想定して紹介します。
音楽やIT・クリエイティブの講師と同じく資格は必須ではないものの、やはり自分の語学力をアピールする何かが必要。特に語学の場合は言語ごとに検定試験があるため、そこで相当のランク/得点を取得しておくべきでしょう。
また生徒の年齢が幅広いうえに、語学塾に通う理由も人それぞれで大きく異なるため、より相手に寄り添った対応を心がける必要があります。
教育その他
ここまで紹介してきた仕事以外にも、スポーツのインストラクターやスクール/キャリアカウンセラーなど、さまざまな仕事が存在します。
どの職種も生徒の将来を担うという責任感とやりがいを感じられるものばかりなので、妥協することなく本当になりたい職種をめざしてください。
年収や特徴は?教育関係の仕事に就くとどんな魅力がある?
ここまで見てきたように、実に多彩な職種が存在する教育関係。その多くが、資格もしくは高い専門知識を求められます。
となると気になるのは、転職難易度や年収ではないでしょうか。
今回も職業情報提供サイト『job tag』のデータを参考に、教育に関する職業の特徴をチェックしていきましょう。
有効求人倍率
いつもどおり、まずは有効求人倍率から見ていきましょう。
学習塾講師……1.92倍
小学校教員……2.07倍
中学校教員……0.84倍
高等学校教員……0.95倍
大学・短期大学教員……0.1倍
専門学校教員……1.4倍
保育士……2.92倍
幼稚園教員……2.75倍
児童指導員……4.1倍
ベビーシッター……1.31倍
音楽教室講師……1.75倍
英会話教師……1.92倍
有効求人倍率とは、希望者1人につき求人が何件あるかを示す数値。つまり倍率が大きいほど、希望者よりも求人数が多く、転職しやすいことになります。
そのうえで上記の数値を見ていくと、大学教員を除けばおおむね1程度かそれ以上。単純に数字だけで言えば、極端に転職難易度が高い業界ではなさそうです。
ただ、何度も説明しているとおり、これらの職種は資格か高い専門知識を求められるケースがほとんど。それを満たした人の中での数値と捉えると、倍率が高いとは言えないかもしれません。
賃金
続いては収入面の紹介。こちらも『job tag』のデータを参照いたします。
数値を紹介する前に、注意を。学習塾や音楽、英会話教室の各種講師は職業分類表上、同じ「学習・語学指導教師」に該当。そのためか、平均年収は同一の値となっています。
こちらの数値のみ、まとめてご紹介いたしますので、あらかじめご承知おきください。
講師……414.8万円
小学校教員……660.6万円
中学校教員……660.6万円
高等学校教員……699.2万円
大学・短期大学教員……1074.7万円
専門学校教員……483.5万円
保育士……396.9万円
幼稚園教員……407.6万円
児童指導員……425.8万円
ベビーシッター……394.3万円
このデータだけを見ると、学校のような公的機関で働く場合、収入面に恵まれているように見えることでしょう。
特に大学・短期大学の教員は、過去に12回、さまざまな職種を紹介してきた中でも初となる、1000万円オーバーとなりました。
しかし当然ながら、ここには『job tag』という統計上の理由があります。
階層を問わず、各種学校の就業形態は正社員が圧倒的に多いのに対しいわゆる民間が経営する塾などはアルバイトやパートタイマ―、フリーランスなど、非正規雇用の割合が高いのです。
労働時間
1月あたりの平均労働時間がもっとも短いのは児童指導員の165時間。一方、もっとも長いのは小・中学校教員の174時間となっています。
ちなみに、厚生労働省が毎月発表する「毎月勤労統計調査」令和6年9月分速報によると、一般労働者の平均労働時間は159.1時間。そこからすると、教育関係の仕事は勤務時間がわずかに長い程度と言えるでしょう。
ただ、学校の教員や保育士は一般的に「激務」というイメージがあります。実際、2023年5月には読売新聞に『「教員1年目「覚悟していた以上」の激務に退職…「隠れ残業」当たり前、休みは月2日」』という記事が掲載されたこともあります。
【読売新聞】教員の長時間労働の是正が課題となっている。文部科学省が先月末に公表した2022年度の教員勤務実態調査からも、…
一方で、英会話教室や音楽教室など、社会人を対象に授業を行う講師を激務と言う人は少ない印象。
教育関係職の労働時間は、教え子の年齢によって大きく変化するのかもしれません。
将来性
正直、この欄に関しては説明の必要もないかもしれません。
各世代の教員の必要性は、いつの時代でも下がることはありえません。むしろ、少子化が進むほど重要性は増していくとも言えます。
また専門学校や各種教室の講師についても、職業の細分化や趣味の多様化に伴い、その重要性はどんどん高まっています。
AIが進歩して理論的に正しいカリキュラムや教え方を実践できるようになったとしても、人間の心の機微まで解析することは不可能。
結局、人を育てる職業に人の力は欠かせない以上、将来性についてもまったく心配する必要はないでしょう。
どちらも超大事!教育関係職で役立つスキル・資格とは?
ここまでに何度か書いてきたとおり、教育関係職に免許や資格は事実上、必須。民間企業による募集で要項に必須条件がなかったとしても、自らの能力を資格や検定でアピールする必要があるからです。
同時に、人と深く関わり、人を育てる仕事ですから、ヒューマンスキルも同じく必須です。
つまり教育関係職をめざすなら、必要な免許や資格、検定を所持すると同時に、人間的な能力も磨いておく必要があるでしょう。
職種に必要な専門資格を取得しよう!
保育士
……保育士資格
幼稚園~高等学校教員
……各種教諭免許状
これらはあくまでも、学校・施設で正規の職員となるために必要なもの。基本的には大学か専門学校で取得する必要があります。
これ以外の各種講師などをめざす場合は、それぞれの担当領域における資格や検定を取得しておきましょう。必須となるものはありませんが、英会話教室ならTOEICや英検、ピアノならピアノ教師資格認定試験のほかヤマハグレードやカワイグレードといったように、メジャーなものを選びましょう。
人と関わる職業に欠かせないヒューマンスキル4選!
コミュニケーション能力
プレゼンテーション力
コーチング力
リーダーシップ
先ほども書いたとおり、人と深く関わる仕事である以上、コミュニケーション能力は欠かせません。特徴としては生徒の希望や志向を引き出す傾聴力だけではなく、こちらの意見を正しく伝えるための伝達力も強く求められることでしょうか。当然、それを補佐するプレゼンテーション力も必須となります。
また目標達成に向かって生徒の意欲・関心を引き出すコーチとしての能力も重要。ちなみに教師や先生とコーチの違いは、前者が相手に知識・スキルを教えるのに対し、後者は相手の能力や可能性を引き出すことが主目的という点です。
最後に紹介するのは、もっとも重要とも言えるリーダーシップ。言葉や指導方法を問わず、生徒が自主的に「この人についていきたい」と思えれば、関係性もより強固なものになるでしょう。
勤務先で激変!教育関係職のキャリアプランを紹介!
教育関係職は独立性の高い職種ばかり。職場を変えることはあっても、職種的には同じことを一生続けていくことが多いでしょう。
ただ学校の教員であれば話は別です。もっともメジャーなキャリアパスとしては教師としての実績を重ね学年主任や教頭などを歴任し、ゆくゆくは校長をめざすルート。ただし、公立校の教員は公務員であり在籍する学校の専属というわけではないため、昇進に伴い意図しない転勤が発生する可能性があることは留意してください。
その他の場合、大手や有名校など、より規模の大きい組織で講師などを続けることが多いでしょうか。
もちろん、実績を残し教え子が増えれば独立も可能。その場合でも経営が軌道に乗るまでは、自身が先生としての立ち場を兼任することになると思います。
まとめ:最大級のやりがいを感じられる仕事!
本サイトではこれまで、12もの職種を紹介してきました。当然、どの職種にもその職種ならではの魅力とやりがいが詰まっていたことは、過去記事を読んでくださった方にはお分かりのことと思います。
しかし、世の中に数多くあるどの職種よりも、やりがいを感じられる仕事。それが教育関係かもしれません。なにせ、未来を担う若者を育てるのですから。
それは各種の講師も同じこと。英会話、楽器、パソコン、クリエイティブ、さらにはスポーツなどなど。相手の人生を豊かにしたり彩ったりできる仕事は、多く存在するものではありません。
いずれの職種を選ぶにしても、ぜひ金銭面や将来性ではなく、やりがいを求める方、教え子の成長を喜べる方にめざしていただきたいと思います。
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