初春のお慶びを申し上げます。
旧年半ばに始まった本コラム。おかげさまで2025年も継続することとなりました。
「誰も見てくれないからこっそり逃亡しよう」とか、逆にジョブリットメディア編集部から「お前のコラム、つまんないから終わり」とか、そんな未来を現実的に想像していたので、とてもうれしく思っています。
文字を書くことを生業としている“ぼく”にとっては悲しい事実ですが、今ってあんまり文字を読まない時代じゃないですか。
そんな時代にもかかわらず文字だらけのコラムを読んでくださる皆様へ、心より御礼を申し上げます。
なんで1月なのに「初“春”」なの?
ということで、新年最初のコラム。何を書こうかなと悩んでおりました。
でもね、挨拶を書いていて、気づいちゃったんですよ。
「初春」とか「迎春」とか、正月の挨拶に「春」って言葉を使うのはなぜなんでしょうか?
まあ、はっきり言ってしまえば、これに関する答えは調べるまでもなく分かっています。少なくとも、分かっているつもりにはなっています。
でも、それをきちんと調べて深堀りしていけば、新しい発見があるかもしれない。そんな気になったんですね。
春っていつからいつまで?
春は3月から5月まで。お恥ずかしながらきちんと調べたことはありませんが、感覚的にはこう即答できます。
区切りとしては4~6月のほうが良さそうですが、そうなると夏は7~9月、そして秋は10~12月になっちゃうんですよ。
いくらなんでも12月を秋と呼ぶのは違和感ありありなので、3~5月を春、6~8月を夏、9~11月を秋、12~2月を冬とするのが(あくまで3カ月ずつに区切るなら)ベストだと思います。
でも。
いつも書いていますが、ぼくの感覚ほどあてにならないものはありません。
ということで、今年も頼る気満々のWikipedia先生で調べてみましょう。
春(はる)は、四季の1つ。冬の次、夏の前である。
引用:Wikipedia『春』より
…………。
違う、そうじゃない。
いろいろある「春」の定義!
Wikipedia先生によると、ひと口に「春」と言ってもその分類方法はさまざまなようです。
それらをかんたんにまとめてみました。
暦月区切り…2月頃から5月頃まで
節月区切り…立春(2/3頃)から立夏(5/5頃)まで
気象学的季節…3月から5月まで
天文学的季節…春分(3/20頃)から夏至(6/21頃)まで
こうしてみると、いろんな考え方があるものですね。
ちなみに、ぼくの勝手な感覚も「気象学的季節」に合致しているので、大外れではなかったようです。よかった。
あと、こんな考えもあるみたいです。
・日本の年度での四半期ごとの区分では4月・5月・6月。
・社会通念・気象学では3月・4月・5月。
・天文学上は春分から夏至まで。ここでの「春分」「夏至」は、「春分の日」「夏至の日」ではなく太陽黄経が0°、90°になった瞬間。
・二十四節気に基づく節切りでは立春から立夏の前日まで。
・旧暦による月切りでは1月・2月・3月。上に近いが、最大半月ずれる。
・JRグループの臨時列車運行上の区切りは、3 – 6月の4ヶ月間としている。
年度での分け方は4~6月。でも社会通念(つまり一般的な感覚)では3~5月とのこと。
ということは、ぼくも一般的な感覚の持ち主だと言っていいですよね。
こいつは春から縁起がいいわい!
なぜ正月なのに「春」なのか
これに関しての答えは、間違いなく旧暦(明治初期まで使われていた暦)が影響しているはずです。
ちなみに、日本をはじめ多くの国・地域で使われているのはグレゴリオ暦と呼ばれるもの。
対して、今の日本が「旧暦」と呼んでいるのは「太陰太陽暦(たいいんたいようれき)」のことです。
詳細な説明は長くなるわりに無意味なのですっごくかんたんに言うと、旧暦だとグレゴリオ暦と比べて、短くても20日程度、長いと50日程度、後ろ倒しするイメージなんです。
つまり、現代のお正月(1月1日)は旧暦だと1月20日ごろ~2月20日ごろにあたるんですね。
要するに昔は現代より平均1カ月以上、お正月が来るのが遅かった。だからお正月を「“春”の起点」とする『新春』、もしくは「春を迎える」ということで『迎春』という言葉を使っていた。そういうことですね。
「言葉」は時代によって変化する
前にどこかのコラムで書きましたが、言葉は時代によって意味がどんどん変化するものです。それは「日本語の乱れ」が頻繁に指摘される“現代”に限った話ではありません。
有名どころだと、大嫌いな相手を呼ぶときに使う「貴様」。
これ、漢字を見れば分かると思うんですけど、本来は相手を敬うときに使っていたんですよ。
だってそうでしょう。“貴”も“様”も、どっちも明らかに敬称ですもん。
あと、「お前」も同じです。これも本来は敬称なんですよね。ちなみにこれを漢字になおすと「御前」。こうするとなんとなく分かってもらえる気がします。
そんな感じで意味が変わった言葉ってたくさんあります。
その中から今回は、意味ではなく呼び方自体が変わってしまった“正月らしい言葉”を紹介したいと思います。
凧(たこ)
大きな四角形の紙にひらひらを付けた「凧」。そして走って引っ張ってそれを空に浮かせる「凧あげ」。
ひと昔前まではまさに「正月の風物詩」という感じの遊びなんですが、若い皆さん、やったことってありますか?
ぼくは子どもの頃、ドを何個つけてもいいくらいの田舎にある実家に帰ったときに、よくやりました。でももう数十年単位でやってないし、なんなら見た記憶もないですね。
知らない人もいるかもだし、このあとの話にも繋がるので、イラストをご用意しました。
どうですかね。若い皆さん、見たことくらいはありますか?
でもね、むしろ、「初見だ!」っていう人に聞きたいことがあるんです。
ねえ、これ、タコに見えますか?
はっきり言って、見えませんよね。
これを「凧(たこ)」と呼ぶようになった理由。そこには、個人的にめっちゃ面白く、かつ「このくらい気軽に生きていけばいいんだよな」と思えるエピソードが隠れているんです。
たこと呼ばれるようになった理由は“逆ギレ”
凧あげという遊び自体は平安時代からあったみたいですが、流行ったのは江戸時代。そして、当初、この紙細工は「イカ」という名前だったんです。
うん、どう見ても、タコよりはイカのほうが近いよね。
それがなぜ・いつ、タコになったのか。
実はあまりに人気が出すぎてそこらじゅうに「イカ」が飛んだ結果、大名行列に落っこちたり、どっちが高く上がったかで喧嘩がおきて亡くなる方も出たりして、社会問題になったようなんです。
その結果、江戸幕府は江戸の町に対して1649年(諸説あり)に「イカノボリ禁止令」を出すんですね。うーん、なんともばかばかしい話だ。
しかし、そこはあまのじゃくで有名な江戸っ子。素直に「はい、わかりました」なんて言うはずありません。
そんな彼らが考えたのが、以下のような方法です。
まったく同じようなもので遊んでいるにもかかわらず、いざ役人に怒られたら……
「おう! 去年まで使ってたイカは全部捨てたよ。今、これは“タコ”って言うんでえ。ルールなんて破っちゃいねえからな、べらぼうめ!」
てな感じのことを言い張ったんだとか。
これ、うそみたいですよね。でも本当の話……かどうかは分からないものの、かなり有力な説ではあるようです。
ただ、そんな屁理屈がいつまでも通るはずはなく、1659年には「たこ」を商品として販売してはならないという新たな禁止令が出されましたとさ。
うん、まあ、そりゃあねえ。当たり前だよね(笑)。
まとめ:2025年、気楽に生きていきましょう♪
今回、ぼくが何を伝えたかったかと言うと、最後のエピソードくらい、いい加減に生きていきましょうってことでした。
前にも書いた気がしますけど、ぼくは以前、顔出しで記事を書いたりDVDやメディアにちょっとだけ出演したりしていました。
そしてそのころ、Twitter(当時。現「X」)のアカウントに何度か「○ね!」って書かれたことがあるんですよねえ。
ぼくはこういう性格ですから、そのたびに「やだ! 生きる!」って返信してました。
でも、それができない人もいるじゃないですか。ぼくなんかより優しくてまじめな方だと、素直に受け止めちゃうんですよね。
実際、そういった心無い声に落ち込んで、病んでしまった後輩を何人も見てきましたし。
そんなとき、大昔の江戸っ子の(ふざけた)エピソードを思い出していただきたいなあ、と思います。そして少しでも元気をだしていただけたら、何よりうれしいです。
2025年が皆様にとって明るく楽しく気楽な一年になりますこと、陰ながらお祈りしております。
改めまして、本年も『ジョブリット』ならびに『ジョブリットメディア』をよろしくお願い申し上げます。
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