年齢やキャリアを問わず、社会人にとってもっとも大切で、もっとも求められるもの。それがビジネスマナーではないでしょうか。
シーンによりさまざまなマナーが存在しますが、今回はその中から、多くの人が悩んだ経験を持っていると思われるものを紹介します。
それが、「席次のビジネスマナー」です。
上座、下座という言葉を知らない人はほぼいないでしょう。また、偉い人が上座に座るということも、なんとなく把握していると思います。
ですが、レイアウトもケースもさまざまなビジネスシーンにおいて、誰をどの席に座らせるのか、自分はどこに座るべきなのか、すべてを把握している方は少ないでしょう。
今回はイラストを豊富に使用して、できるだけ分かりやすく解説していきます!
上座・下座とは
席次の具体例を紹介する前に、上座・下座を正しく理解しましょう。
上座・下座の読み方は?
まず、読み方は「かみざ」、「しもざ」です。「じょうざ」や「げざ」と呼ぶこともありますが、「かみ/しも」で呼び分けるほうが圧倒的にマジョリティです。
どこが上座でどこが下座?
もっともシンプルな回答としては、入り口(ドア)から遠い席が上座で、反対に近い席が下座となります。
ただし、座席のレイアウトによってはこの限りではありませんので、例外パターンは後半のイラストでご確認ください。
上座に座るのは誰?
基本的に、座る位置は下記の順番で決定されます。
①役職
②社歴
③年齢
これを基にすると、このイラストのような順番になります。
同じ役職なら社歴の長い人が優先され、社歴も同じなら年齢で決まるということです。
例外①:他社のお客様の場合
上記の座る順番は、あくまでも自社メンバーだけの例。
他社のお客様が打ち合わせや契約で訪問した際は、下記のように座ることになります。
①他社のお客様を招く場合/計4名
②他社のお客様を招く場合/計6名
③他社のお客様を招く場合/計8名①
③他社のお客様を招く場合/計8名②
ここでの注意点は下記のとおり。
・入口から遠い方の列にお客様を案内する
・自社メンバーの座る順番はお客様の順番に合わせる
・2名がけの場合は奥が上座になる
・3名がけの場合は中央が上座になり、入り口から遠い席が2番めになる
・4名がけの場合は中央が上座、その左側が2番め、右側が3番め…になる
こういったルールに基づくため、8人のパターンでは入り口の位置により座る位置が変わるのです。
ちなみに、なぜ中央ではなく上座の左側が2番めになるかは、日本の伝統礼法「左上右下」がかかわってきます。
「左上右下」とは?
日本では伝統的に“左が上位で右が下位”とする「左上右下(さじょううげ)」というマナーがあります。
この基本があるため、上座の左側が2番め、右側が3番め…となるのです。
ただし、ヨーロッパをはじめとする諸外国では正反対に「右が上位」という概念があるため、海外のお客様を招く際は注意してください。
例外②:窓からの景色や調度品、モニターがある場合
もうひとつの例外は、ビルの高層階にオフィスがあり窓から見える景色がキレイだったり、入り口と反対側に調度品が置かれていたり、モニターやスクリーンを使用する場合。
このケースでは、入り口の位置にかかわらず、それらを見やすい席が上座になります。
図のように2人ずつ座る場合は、見やすい範囲で入り口から遠い方が上座として扱われます。
上座・下座のまとめ
ここまでをまとめます。
・読み方は「かみざ」・「しもざ」
・基本的には偉い人から上座に近い席に座る
・順番は役職→社歴→年齢で決まる
・他社のお客様は入り口から遠い列に案内する
・同じ条件の席がある場合は「左上右下」にのっとり位置を決める
・窓や調度品、モニターやスクリーンなどがある場合は、見やすい位置が上座になる
ケース別に座る位置を解説!
ここからは、さまざまなケース別の座る位置をイラストとともに解説していきます。
皆さんもぜひご参考になさってください。
ケース①和室の場合
和室の場合、床の間の手前が上座となることを覚えておきましょう。
ケース②ロの字型の場合
通常の机やカタカナの“ロ”の字のような机の場合は、極めてシンプル。入口からもっとも遠い場所が上座となります。
またイラストのように1人がけのソファと3人がけのような大きなソファがある場合、大きなソファのうち入口から遠い場所が上座です。
ケース③コの字型の場合
コの字型の場合/議長なし
コの字型の場合/議長あり
カタカナの“コ”の字のようなレイアウトでは、上記のように座ります。
注意するべきは、議長がいる場合。本来であればもっとも役職の高い人が上座(中央)に座りますが、議長がいれば上座は議長席になります。
その先は、議長以外で役職の高い人が議長の左隣→右隣…という順番で座ってください。
ケース⑤円卓の場合
会議など以外にも、食事の席でも席次のマナーは必要です。その際、円卓を囲むこともあるでしょう。
この場合、入り口からもっとも遠い場所が上座となり、そこを起点に左隣が2番め、右隣が3番め…となります。
ケース⑥自動車の場合
タクシーの場合
社用車/レンタカーの場合
自動車に乗る場合、タクシー(第三者の運転)なのか、社用車(自社メンバーの運転)なのかで上座が変わります。
タクシーでは上座は運転手の後ろの席。ちなみに下座となる助手席にはもっとも下のメンバーが座り、運転手に指示を出したり、料金を払う役も担うことになります。
反対に、社用車やレンタカーなど自社メンバーが運転する場合は、助手席が上座。運転手を含めて3人しか乗らない場合、立場の低い人がもっとも広い席に座ることになりますが、その際に「後部座席でよろしいでしょうか」と一声かけると印象がさらにアップするでしょう。
ケース⑦電車の場合
1列シートの場合
ボックスシートの場合
電車で移動する場合は、一列シートとボックス席で上座が変わります。
一列シートの場合、窓側が上座で通路側が2番めとなります。一方、ボックス席の場合は進行方向の窓側が上座で、その隣が2番め。さらに反対側の窓側→通路側の順番となるので覚えておきましょう。
ケース⑧エレベーターの場合
厳密には“席”次ではありませんが、エレベーターの乗る位置も実はマナーで決まっています。
この場合、上座は操作盤に近い方の後部。
ちなみに下座は操作盤の前となり、もっとも立場が下のメンバーが目的階のボタンを押したり、到着時にドアを開けておく役目を担います。
操作盤を操作する際も上司にお尻を向けないよう、壁を背にして立ち、半身の体勢で操作するとより好印象となります。
ケース⑨Web会議の場合
今回、唯一の例外。Web会議の場合は、ほとんどのアプリで「入室した順番に表示される」という仕様になっているため、表示位置を気にする必要はありません。
ただ、上司や先輩が入室したら「お疲れ様です」、退室の際は「お疲れ様でした」と挨拶は忘れないようにしましょう。
まとめ:臨機応変に対応しよう!
今回、イラストを多く使用してケース別の座る(立つ)位置を紹介しました。
しかし、これらはマナーであってルールではありません。またご覧いただいたようにかなり複雑なものも多く、企業次第で多少変わることもあります。
特に、「左上右下」の項でも解説したとおり、海外と日本ではマナーの根本が違うということもあります。そのため海外資本の企業では、議長や上座の右隣が2番めになることもあるでしょう。
紹介したものは一般的なマナーではあります。覚えておいて損はしません。
ただ、会社で独自の(暗黙だとしても)ルールがある場合は素直に従うなど、臨機応変に対応してください。
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