さまざまな職種の業務内容や年収、転職のために必要な資格やスキルを解説する『シゴト図鑑』。
今回、紹介するのは『ドライバー』職です。
この仕事を知らない方はほとんどいないでしょう。同時になんとなく「労働時間が長い」「休日が少ない」「給料が安い」など、ネガティブなイメージを持っている方が多いかもしれません。
今回はそういったイメージと実情の違いも含めて、公的機関の資料を参考にしながらドライバー職の実像を探っていきます!
ドライバーのステータス (ジョブリットメディア編集部調べ) | |
転職のしやすさ | ★★★★☆ |
収入面 | ★★★☆☆ |
スキルアップのしやすさ | ★★★☆☆ |
業界/職種の将来性 | ★★★★★ |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
ドライバーってどんな仕事?
皆さんもご存じのとおり、自動車を運転してヒトやモノを運ぶこの仕事。
しかし、ドライバーという職種を細かく見ていくと細分化されていて、必要な資格もそれぞれで異なります。
そんな似ているようで違うドライバーの各職種を、できるだけかんたん且つ正確に紹介していきます。
ちなみに、整備士やガソリンスタンドなど、自動車に関連する周辺産業については、下記記事でご確認ください。
>自動車関連の仕事に転職するには? 自動車サービス業に役立つ資格や年収を紹介!
自動車が好きな方は必見!レンタカーやガソリンスタンドの店舗スタッフ、自動車整備士など、自動車関連の仕事の特徴や業務内容、…
ドライバー職の分類
学歴・経験不問の求人メディア『ジョブリット』で「ドライバー」にカテゴライズされる職種は下記の9つ。
大型ドライバー
中型ドライバー
小型ドライバー
バンドライバー
軽ドライバー
バイクドライバー
タクシードライバー
バスドライバー
送迎ドライバー
運転代行
まずはこれらを1つずつ、かんたんに解説していきます。
大型ドライバー
多数あるドライバー職の中でももっとも大きな自動車を運転するドライバーのこと。
街中でよく見かける大型トラックをはじめ、観光バスや路線バス、タンクローリーにキャリアカーなど、さまざまな“大型車”を運転することになります。
一般的には給与面でもっとも恵まれている職種であるのと同時に、1回の走行距離が長く日をまたいだ運行もしばしば発生します。
中型ドライバー
文字どおり、大型より少し小さい中型トラックなどを運転するドライバーのこと。
トラックの中ではもっとも利用されているサイズということで、求人数が多い傾向にあります。
また日帰り運行が多いことも特徴の1つであり、収入と労働条件のバランスにも優れています。
小型ドライバー
軽トラック(いわゆる“軽トラ”)を含め、小型トラックを運転するドライバーのこと。
最大の魅力は普通免許で運転ができる車が多いこと。また全長が短く運転もしやすいため、ドライバー職を始めるにあたりまずはここからスタートする人も多いかもしれません。
とはいえ、特に都心部など道幅の狭いエリアでは運転スキルを問われるため、小型=かんたんとは一概に言えない点には注意が必要です。
バンドライバー
普通車でありながら豊富な収納スペースを備えた“バン”タイプの自動車を運転してヒトやモノを運ぶドライバー。
宅急便やネット通販の商品の配送などが中心で、このあと紹介する軽ドライバーと合わせて「軽貨物ドライバー」とも呼ばれます。
軽ドライバー
軽自動車でさまざまなモノを運ぶドライバー。
主に運転するのは軽バンと呼ばれる車種で、小回りがききやすいことから市街地や住宅地での配送に向いています。
バイクドライバー
こちらは自動車ではなくバイクでモノを運ぶ仕事。
特に知名度が高いのはいわゆる「バイク便」で、企業間での書類のやり取りなど、主にビジネス街での活動が目立ちます。
また近年はフードデリバリーを担当するバイクドライバーの募集も増加中。
タクシードライバー
モノではなくヒトを運ぶドライバー職の代表例。
一般的には普通車での運行ですが、実際にお客様を乗せるには事業としての運行に必要な「二種免許お客様次第なので、土地勘の有無も重要になってきます。
バスドライバー
こちらもヒトを運ぶドライバー職。
タクシーと同じく事業としての運行となるため、中型二種か大型二種のいずれかが必要となります。
一方でタクシーとは異なりルートが固定化されているため、土地勘のないエリアでも働きやすいことが魅力と言えます。
送迎ドライバー
病院やホテル、企業など特定の施設への送迎を行うドライバー。
タクシーのようにヒトを乗せて走る仕事ですが、こちらは二種免許は必要ありません。ただしお客様には役職者や高齢者、反対に幼児なども多いことから、より丁寧な運転スキルが求められる仕事です。
運転代行
主に酒席からの帰り道、お客様の自動車を代わりに運転する仕事。
特徴としては2人1組で行動することが多く、アルバイトの募集も目立ちます。また客車の運転には二種免許が必要となるほか、客車はMT車の可能性もあるためマニュアル免許を所持していたほうが有利でしょう。
残業は? 年収は? ドライバー職の魅力を解説!
ここからは年収や残業を含めた労働時間、必要な資格・スキルなど、ドライバーをめざす方が気になるポイントを紹介します。
有効求人倍率
まずは厚生労働省が公表している「一般職業紹介状況」から、『自動車運転従事者』の有効求人倍率を確認してみましょう。
こうしてみるとアルバイト・パートを含めた数値のほうが有効求人倍率が低い=アルバイト・パートのほうが就職難易度が高いことがわかります。
ただしこの数値にはバイクドライバーを除いてすべてのドライバー職が含まれていると考えられますので、職業情報提供サイト『job tag』でより細かく見ていきましょう。
各職種ごとの有効求人倍率
まずは下記をご覧ください。
トラック運転手……3.43倍
ダンプカー運転手……3.84倍
トレーラートラック運転手……2.99倍
タンクローリー乗務員……6.11倍
観光バス運転手……9.11倍
ルート配送ドライバー……1.71倍
宅配便配達員……1.3倍
タクシー運転手……15.23倍
(※数値は記事執筆時点のもの)
個別の解説をする前に、トラック運転手やダンプカー、トレーラートラックは大型・中型・小型すべてをまとめた数値のようです。
またタンクローリーは大型免許が必要なケースがほとんどですが、一部、中型免許で運転できる車両もあります。そしてこちらも大型・中型がひとまとめになっています。
そして肝心の求人倍率ですが、全職種が1倍を大きく超えているため、ドライバー業界は比較的、転職しやすい業種と言えるでしょう。
中でも破格の倍率を誇るのが観光バス運転手とタクシー運転手。特にタクシー運転手は求人数自体もかなり多いため、狙い目といえるかもしれません。
賃金
こちらも『job tag』のデータから抜粋。同一データを使用していると思われる職種はまとめて記載いたします。
トラック運転手/ダンプカー運転手/トレーラートラック運転手/タンクローリー乗務員……485.3万円
観光バス運転手……453.2万円
ルート配送ドライバー/宅配便配達員……393.6万円
タクシー運転手……419万円
(※数値は記事執筆時点のもの)
令和5年度の日本人の平均年収は約460万円で、正社員に限定すると約530万円。
その数値と比較すると、大型車を含めた運転手ならほぼ平均並み、それ以外だと平均よりわずかに少なめ、といった感じでしょうか。
労働時間
トラック運転手/ダンプカー運転手/トレーラートラック運転手/タンクローリー乗務員……177時間
観光バス運転手……164時間
ルート配送ドライバー/宅配便配達員……166時間
タクシー運転手……166時間
(※数値は記事執筆時点のもの)
一般的に「残業が多い」「休日が少ない」とイメージされがちなドライバー職。
しかし、少なくとも『job tag』上では、もっというとサイトの基になっている厚生労働省の調査上では、トラック・ダンプカーなどのドライバーを除けばきわめて平均的な労働時間といえそうです。
将来性
ドライバーという職業の将来性は非常に明るいと言えるでしょう。というのも、日本は製造業が非常に盛んな国であり、その製品を物理的に移動させるための物流は絶対に欠かせない職種だからです。
また「2024年問題」と呼ばれたルール改正を経て労働環境も向上傾向にあり、さらにAIや自動運転技術の向上で人間にかかる負荷が減っていくことまで考慮すれば、その将来性には太鼓判を押せそうです。
資格・スキル:職種に応じた免許を取得しよう!
ドライバー職はどの職種であっても必ず運転免許証が必要となります。また職種によっては中型や大型免許、さらにはそのほかの免許・資格が必要となるケースも目立ちます。
とはいえ、近年では入社後に会社の支援を受けながら必要な免許・資格を取得できる「資格取得支援制度」を整えている企業が増えていることも事実。
どんな前提を踏まえ、ドライバー職に必要となる免許・資格・スキルを紹介していきましょう。
何はなくとも必要!ドライバー職をめざす方に必須の免許!
普通自動車運転免許
先述のとおり、どの職種であっても必ず必要となるのが運転免許。近年、成人を迎えた世代だと免許を持っていない方も多いようですが、ドライバー職をめざすなら必ず持っておきたい資格です。
そのほかの中型免許や大型免許、さらには二種免許やけん引免許、フォークリフト免許などは入社後に取得するのが現実的。
独学で取得できる免許もありますが、それよりも資格取得支援制度を整えた企業への入社を考えるべきと言えそうです。
“命”にかかわる仕事だからこそ求められるヒューマンスキル!
この項目ではヒューマンスキルに注目して解説します。
遵法精神
ドライバー職に求められるヒューマンスキルといえば、これをおいて他にありません。
ドライバーをしていると、必ずイレギュラーに遭遇します。事故渋滞や自然渋滞、そして雪や雨などの悪天候。しかしどんな理由であっても、交通ルールを守る必要があります。
近年ではトラックにスピードリミッターを搭載して、そもそもスピード違反はできないケースが増えています。しかし非搭載の自動車もありますし、信号無視や進入禁止道路を使用したショートカットなどはドライバー自身の常識と理性で控えなければいけません。
交通ルールは会社に禁止されているから守るのではありません。あなた自身とお客様・お客様の荷物のために守るのです。
ドライバーにもっとも必要なものは運転技術ではなく、いつ・どんな状況でもルールを守る、という当たり前の気持ちだと言えます。
キャリアパス:車のサイズと収入が比例!
ドライバーのキャリアパスというと、多くの場合、普通免許で運転できる小型や軽貨物ドライバーからスタートし、その後、中型や大型へとステップアップする姿がイメージしやすいでしょう。
これも企業次第ではあるものの、一般的には運転する自動車のサイズと年収は比例する傾向にあります。
運転が好き。ドライバーを極めたい。そういう方は大型免許を取得してトラックやバスなどの大型ドライバーをめざすのがおすすめです。
もう一つ、よくあるキャリアパスが運送会社の事務職へ転身するルート。この場合、保有するトラックと所属するドライバーをマッチングする配車事務として働きながら国家資格・運行管理者を取得し、運行管理職をめざすことになるでしょう。
また、軽貨物を専門とする運送会社を自分で立ち上げて独立するなど、意外(!?)と豊富なキャリアプランが広がっています。
まとめ:努力が給与に直結する仕事です!
いかがでしょうか。ドライバーという職種が詳しくご理解いただけましたでしょうか。
最後にメリットとデメリットが混在した要素を1つ、紹介しようと思います。
会社にもよりますが、ドライバーには残業や休日出勤がつきものです。もちろん、たくさん働けばそれだけ給料は上がります。
これをどう受け止めるかで、ドライバー職への適性が変わります。
ドライバーは座って自動車を運転する仕事なので体力的な負担は大きくありません。また基本的には運転席に1人でいながら仕事をすることになるため、精神的なストレスも少ないでしょう。
お金のために無理やり残業していると捉えるか、それとも好きな運転をしているだけで給料が増えると捉えるか。それによって適性が大きく分かれる職業なのです。
ネット通販が大きく業績を伸ばしている現在、ドライバーという職業の重要性も日に日に高まっています。
運転が好きな方にぜひチャレンジしていただきたい職種です。
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