今回は人によってはちょっと気分が悪くなるかもしれません。
というのも、1年半くらい前でしたかね。世間を騒がせた大事件があったじゃないですか。
そう、『頂き女子りりちゃん』と名乗る女性による巨額詐欺事件です。
先に書いておきます。犯罪者や犯罪行為を肯定する気はありません。当然、褒めるつもりもありません。ただ、素直にすごいと思った部分もあったわけで。
そんなことを急に思い出したので、今回は久しぶりの『真剣』シリーズ。
この事件について、そしてこの女性が作成していた『みんなを稼がせるマニュアル』について、きちんと考えてみたいと思います。
被害者の方には申し訳ないし、いわば“犯罪指南書”とも呼ぶべきものをどんな形であれ認めるのは“ぼく”としても本意ではないけれど、それでもこれ、ビジネスの参考になることが多いんですよ。
フラットな気持ちで読むことができない方、ご自身や周囲に被害を受けたという方がいる場合は、ぜひブラウザバックいただければ幸いです。
あ、今回は扱うものがものだけに、ネタもイラストも少なめでいきますことをご了承ください。
今さらだけど『頂き女子りりちゃん』事件について
あらためて、犯罪行為を褒めるつもりはありません。そもそも裁判が結審して実刑が確定した犯罪者を“ちゃん付け”で呼ぶことすら、本当はとても気分が悪いです。
ただ、世間的には『頂き女子りりちゃん』って名称で一般化されているじゃないですか。
ぼく自身の気分なんて、お読みいただく“あなた”には関係のないこと。ここはぐっとこらえて事件名だけ敬称ありでいきます。
概要をかんたんに解説
さて、『りりちゃん事件』を知らない方は少ないと思いますが、一応ざっくりと紹介しておきます。
・SNSで『頂き女子りりちゃん』と名乗る女性が、男性に対して好意があるように見せかけて1億5,000万円余りをだまし取った
・“りりちゃん”はその手口をマニュアル化してSNSで販売し、1,000部以上を売り上げた
要するに、彼女の“パパ活”にだまされた人がたくさんいたってことであり、同時にマニュアルを販売することでその手口を広めて被害者と犯罪者を増やしたってことですね。
控えめにいって、酷い奴です。
認めたくないけどマニュアルから学べることがある
ぼくはそのマニュアルを全文読みました。まずは、その感想をかんたんに書いていきますね。
最初に伝えたいのは、ボリューム感。実はね、なんと全71ページもあるんですよ。
多分、スマートフォンで書いたんでしょうね。誤字脱字ありまくりだし、顔文字とか絵文字も頻繁に出てきます。はっきり言えば、ぼくにはとても読みにくい文章でした。
ただ、中身の話をするとすごいというかやばいというか、そう感じたポイントがいくつかあります。
・“頂き”という行為を正当化させるために理論武装している
・好かれるためのキャラ設定を徹底してる
・だます相手の見極めを徹底している
・信頼関係の構築に力を入れている
・だましたあとのことまでフォローしている
このあたりですかね。とにかく“徹底”がキーワードだと個人的には感じました。
このあと、これらについて書いていきますが、基本的には手口については触れませんよ。事実上の“犯罪指南書”なんですから。
そこもあらかじめご了承くださいね。
印象に残ったこと①正当化
犯罪者って犯罪を正当化するものだと思うんです。知らんけど。
そしてこの女性のマニュアルを読むと、そこの理論武装がそれなりにしっかりしている印象でした。
彼女的には“パパ活”と自身が提唱する“頂き”をはっきり区別しているんですね。
それによると、“頂き”とは定期的に食事やデートを行う契約を結ぶのではなく、相手が『自発的に』助けたいと思った結果、金銭の授受に繋がるものなのだとか。
詐欺が積極的にだましにいくのに対して、“頂き”は相手がそうしたくなるように誘導するとでも言えばいいのかな。
このあとも何度も書くでしょうが、まったく褒められる行為ではありませんよ。
ただ、この理屈をマニュアルの初期で明確にしていることが、犯罪行為へのハードルを下げるという意味で効果的だったんでしょうね。
印象に残ったこと②自分のキャラ設定
続いて、具体的な準備の解説がスタートします。
そこで真っ先に説明されるのが、“「助けてあげたくなる女の子」キャラ設定”。
どんな女の子を演じれば、男性が自発的に好きになり、助けたくなるのか。ここも、それなりに具体的に解説していますね。
まあ正直、おじさんであるぼくから見れば稚拙だなと思うし、舐められてるとも感じました。
ただこれって、“頂き”を商売に置き換えて考えれば「どんな商品/サービスなら“売れる”のか」というマーケティング調査みたいなもの。
ビジネスの方法論としては、間違っていないという気もしました。
印象に残ったこと③相手の見極め
続いては、だます相手の見極め。ここは男性を3パターンに分類して解説しています。
3パターンってビジネスだと少ないですよね。でも、このマニュアルだといちばん多いであろうパターンは最初から相手にしていないので、これで充分だったんでしょう。
それと恐ろしいなと思ったのが、だませる相手をさらに2パターンに分類して、そのうちの1つを「そんなに“頂けない”」と規定しているだけではなく、だますタイミングを間違えるといなくなると警鐘まで鳴らしているんですよね。
人を見極めるだけじゃなく、ある程度の節制まで求めるわけですから、“徹底”していると言っていいのではないでしょうか。
印象に残ったこと④信頼関係の構築
さて、なにより恐ろしいのがこちら。
この女性のマニュアルでいちばん大事な要素であろう単語が、『信頼関係構築コミット』なんですよね。正直、意味はよく分かりませんが。
ただ、ここを読む限り、この女性にとって“頂き”は多分、詐欺ではなくて商売だったんでしょう。
詐欺は相手をだます“だけ”じゃないですか。でもこのマニュアルだと“だます”という感覚よりも、商品(サービスのほうが近いかな?)を提供する代金としての“頂き”というイメージだったように感じました。
だから表現を変えつつ、何度も“相手が求めていることを把握し、実践しよう”と訴えてます。
相手に特別な気持ちを与える。当然、相手はうれしいと感じる。そういった気持ちが“頂き”という形で返ってくる。
すべてがこういうロジックの下に成り立っているんです。
“頂き”行為を商売と認識していた証拠
具体的な手法じゃないから、これくらいは書いてもいいかな。
ぼくがなぜこの女性のマニュアルをすげえと思ってしまったかというと、こんな一文があったからです。
おぢが幸せ感じてあげるまでが私たちのお仕事
“おぢ”ってのはターゲットの男性のこと。
そして、日本語が崩壊してますけど、相手に“幸せを感じてもらわないといけない”という認識はしっかり持っていること、そしてそれを“お仕事”と認識していることが、はっきりわかります。
ここも詐欺とは違うポイントで、少なくとも「満足」という対価は与えているんですよね。まあ、その過程で嘘をたくさんついているわけで、褒める要素は皆無ですけど。
ただ、言葉は悪いけど、こういうのにだまされた男性の多くはその瞬間、きっと本当に満足しちゃってたと思うんですよね。
繰り返しますが、犯罪行為なんで褒める気はありません。
でも、『商品やサービスを買ってもらうだけじゃなく、お客様に満足してもらって初めて“仕事”が完結する』と常日頃から意識して実践している社会人は多くないよね……。
正直、ここにかんしては「負けた」と思いました。
同時に、これがあるから1億5,000万円以上もだまし取ることができたんだなと妙に納得もしました。
印象に残ったこと⑤アフターフォロー
さて、もうひとつ恐ろしいなと思ったことがあります。それが、お金の“頂き”に成功したあとのフォローにもしっかり気を回していること。
ここはとても具体的には書けません。
ただ、ぼくには持論があります。物事はなんであれ、終わらせ方がいちばん大事だと。
そしてね、この女性も終わらせ方には相当、気を遣っていました。
ぼくの記憶ですが、逮捕されたあと、だまし取られていた側の一部が女性を擁護していたという信じられないニュースを見た気がします。
1億5,000万円以上もだますだけあって、無駄に洗練されてんですよね。
マニュアルを読んで思ったこと
当然ながらぼくはパパ活をやる側にもやってもらう側にもなったことはありません。
でも、このマニュアルを読んで素直に思いました。
「これができたら、相当稼げるだろうな」
同時に、こうも思いました。
「でも、これをやりきれる奴は、ほとんどいないだろうな」
一瞬ならできるでしょう。でも、継続させるのは普通の人には無理、だろうなあ。
それを彼女はある程度の期間、継続していた。その徹底ぶりというか執念というか……鬼気迫るものを感じました。
『りりちゃん』から何を学ぶか
犯罪者から学ぶことなんてない。SNSを見ているとそう思う方が多そうですが、そんなことはないです。
『人の振り見て我が振り直せ』
という言葉があるように、成功だけじゃなく他人の失敗からも学ぶことはあるはずです。
最初にも書きましたが、このマニュアルはビジネスの方法論として正しい部分もある気がします。
自分のキャラ設定はマーケティング調査だし、相手を分類してその中から対象者を限定するなんてペルソナ設定そのものだし。
それに、根幹にある「相手がよろこぶ⇒お金がもらえる」という発想は、ビジネスの鉄則です。
ちなみにね、この女性がマニュアルを販売していたのも半分は金儲けだったと思いますが、もう半分は自分と同じ境遇にいる女の子への優しさだったような気がします。
というのもね、読売新聞の記事でこんなのを見つけたんです。
「担当のために、女の子みんな頑張ろうねって。稼ぐのがどれだけ苦しくても担当のためだから、と励まし続けていた。それが正義だと思い込んでいた」
この女性の気持ちなんてわからないし、わかりたくもありません。
ただ、71Pもあるマニュアルで手口をほぼ出し切っていることを考えると、嘘じゃない気がしますね。
金をだまし取るパパ活相手も、マニュアルを買う女の子も、この女性にとっては大切なお客様。そのどちらに対しても、必要なものを売るという気持ちは持っていたんじゃないかな。
そしてその気持ち自体は、仕事をするうえで必要不可欠なものではないかと思うのです。
最後に彼女の気持ちを理解しようとがんばってみる
マニュアルの最終盤にこんなコメントがあります。
おぢにとって1万でも稼ぐのが大変な金額です。それを少しずつ少しずつ積み重ねてじじいになりながらも貯めてきたお金。なかには私のために人生捨てて消費者金融にいったり、親の遺産から全財産だしてくれるおぢもいます。そのお金を受け取って自分がちゃんと意味のあることに使える覚悟が必要です。
ラッキーなんて気持ちで軽くお金を受け取ってる人は高額の頂きはしちゃだめだと思うし、まず成功しないおもいます。おぢが勇気を出して大金をだしてくれるその不安感とかを自分がちゃんと背負わないとダメだと思っています。
自分にお金を渡したことを後悔させないように力いっぱいの信頼関係構築コミットをしてあげて幸せを与えてあげてwin-winになるようにしましょう。お金がなくなっておぢが生活くるしくなってでもこの子と出会えたことのがよかったな、と思ってもらうことが私のモットーです。
なんかね、この部分を読んでいたら“りりちゃん”という女性がどんどんわからなくなりました。
まず、お金の価値は正しく理解しているように感じました。
また、やっぱり彼女の中で「詐欺」と「頂き」がはっきりと区別されていると再確認したし、同時に「頂く以上、きちんと対価(=精神的、肉体的な満足感)を与える」という高い“プロ意識”も感じられます。
でも、そうやって得たお金はホストクラブで散財され消えていくわけですから……それが「ちゃんと意味のあることに使える覚悟」と繋がりません。少なくとも、ぼくの価値観では。
なんとなく、マニュアルを書いている最中も彼女の心は揺れていたのかなとも思うんですよ。
71Pもの超大作を1日で書いたとは思えないので、日ごとの精神状態の“ムラ”みたいなのが影響しているのかもしれません。
いちばん意味深で悩まされたポイント
本文の最終章を見ていると、もっと悩まされます。
わたしはじじいが貯めているお金が無駄だと思っています。使い道もないまま貯めるなんてお金の意味がない。お金は自分の経験や成長のために投資していくべき。だから金を溜め込んでないで私に渡して、私がもっと意味のあるお金の使い方をしてやろう。
繰り返しますが、ホストクラブでの異常な散財が“意味のある使い方”とは、ぼくの価値観では思えません。だって彼女のためじゃなくて“ホストのため”にしかなってないんだから。
彼女自身、続いてこんなことを書いています。
わたしは今まではおぢ側の人間でした、好きになった男の人からお金を要求されては払って、捨てられて、を繰り返してました。
これ、過去形で書かれていますけど、違いますよね。多分、現在進行形です。まあ「捨てられて」のところは知りませんが。
ちなみに。本文の最後は、こんな言葉で締めくくられます。
お金なんてだれにも必要ないです
妙に意味深です。深読みしようと思えば、どうとでも受け止められます。
この部分、ぼくは「じじいにとっても、私にとっても、ホストにとっても、お金なんて無駄なんだ」と受け止めました。
なんていうんでしょう……すごく空虚ですよね。
そして、そうとわかっていながらホスト狂いを止められない彼女。そんな彼女も虚しい存在のように思えます。
読んでくださったあなたは、どう受け止めたでしょうか。
まとめ:恥じることのない人生を送りましょう!
最後はちょびっとだけ感情的なことを書かせてください。
文中、何回も書きましたけど、この女性のやったことはただの犯罪です。それ以上でも以下でもありません。
正直に言ってしまえば、被害に遭った人のことを同情する気持ちはあんまりありません。この事件に限らずぼくは「だまされる奴が悪い」と思う派だからです。
でも、それは決して「だましていい」ことには繋がりません。
この事件で悪いのは『頂き女子りりちゃん』を名乗る女性ただ1人です。
ご存じの方も多いと思いますが、彼女は今、代理人を通じて獄中で感じたことをX(旧Twitter)で発信しています。
リアルタイムで皆さんも読めるものなので、反省の有無や行為の是非も含めてぼくはあえて論評しません。
ただ、ぼくの気持ちは裁判中、いろんな情報を追いかけていた頃と同じです。
もったいねーな。
最後にもうひとつ、自分を含めた皆さんへの教訓を書いて終わります。
他人から見て、もったいないと思われる人生にならないように気を付けましょうね。
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