ついに今年も4月がやってきましたね。
学生にとっては進級・進学シーズンであり、社会人にとっても多くの場合、年度変わりのタイミングです。
そして何より、つい数日前に“社会人デビュー”を果たしたという人もたくさんいるのでしょう。
そんな4月。
街を歩いていて新品のスーツに身を包んだ若者とすれ違うたびに涙がこぼれそうになるのは、きっと花粉のせいだけではありません。
今ではもう立派な“おじさん”であり、もう10年か15年すれば真ん中に“い”の文字が加わりそうな“ぼく”にも、そんな時代がありました。
だからやっぱり懐かしい気分になるものです。
そこで今回は、きっと過去、どこかのコラムで断片的に書いたことがあると思うけど、ぼくが思う『新社会人にいちばん必要なこと』をきちんと1つのコラムにしておこうと思います。
無理や我慢って「すればいいもの」ではない!
今回はテーマ的に新社会人だけに向けたもの、と思われるかもしれません。でも、そんなことありませんよ。
社会に出て数年レベルの若手はもちろん、中堅どころからぼくのようなおじさんだけどまだぎりぎり現場でも動けそうな年代まで、全員に共通の心構えをめざして書いていきます。
ちなみに、過去のコラムを読んでいただいた奇特な“あなた”には耳タコな話ではありますが、ぼくは過去に3回転職をしています。なので今いる会社が4社めですね。
通算20年近くになろうかという社会人経験の中で、いろんな人間を見てきたし、いろんな人間といろんな仕事をしてきました。
まあ、ライターとか雑誌/サイト編集という職業がメインなので、ちょっと変な人が多かったわけですが。
そこはともかく、どんな人との仕事が楽しくて、どんな人は仕事ができて、どんな人はすぐに消えていって、そしてどんな人が「合っていなさそうな会社にしがみついていた」のかを、思い出してみたいと思います。
一緒に仕事をして楽しかった人の特徴
社内、社外を問わず、一緒にして仕事が楽しかった人はどんな人だったか。
これはもう、すごくシンプルです。
仕事を楽しんでいる人との仕事は、やっぱりぼくも一緒にやっていて楽しかったですね。
そしてこれまたやっぱり、仕事を楽しんでいない人、言われたからやっているだけの人との仕事は、ぼくはつまらなかったですね。
これはライターとかクリエイティブ職独特かもしれませんが、いいものを作ろうと思ったら、やっぱり悩むこと・考えることって多いんですよ。
そんなとき、ぼく1人で「ああでもない、こうでもない」と悩むのか。それとも共同作業者と一緒に「こうしたらどうなるかな?」と一緒に試行錯誤できるのか。
そりゃ、どっちが楽しいかなんて一目瞭然ですよね。
たしかに、ぼくたちの仕事は趣味の延長みたいなものでもあります。
それに、ぼくは世間の皆様のような真っ当な仕事の経験はほぼありませんので、断言もできません。
でもきっと。
どんな仕事にも楽しめる余地はあると思いたいし、それを見つけられるかどうかって職種を問わずとても大切な要素だと思っています。
仕事ができる人の特徴
これこそ、過去コラムを読んでくださった方には見飽きた表現かもしれません。
でも、本当のことなので、はっきり書きます。
ぼくは仕事ができません。何年も文字周りの仕事を続けていますが、大した実績を持っていません。noteとかで「月間○○万PV達成!」とか、そういうのを売り文句にしている人はたくさんいますが、そんなの書けません。書けるような要素がありません。
でも、ぼくの周囲にはとても仕事のできる人がいました。
その筆頭が、大昔にコラムのネタにした尊敬する元上司のKさんであり、未経験で入社してきた後輩ながら直後に「こいつは天才だ!」と思ったOくんです。
でも特に共通項はないですね。
強いて言うなら、自分に厳しかったというか、自己採点が厳しいなというくらいでしょうか。
人間って他人に褒めてもらいたいものじゃないですか。特に社会人になると、なかなか褒めてもらうことってありませんし。
そんな状態だと、せめて自分くらい自分を褒めてあげたくなるものです。ぼくはそれを大事なことだと思っています。
でも、彼らはそうじゃなかった気がしますね。周囲は褒めまくるのに、本人だけが納得していない。
これは気を付けてどうにかなるものではないんでしょうけど、特徴というか共通点を見つけるという趣旨なので、そこを挙げておきます。
仕事ができない人の特徴
逆に、こっちはかんたんです。だって自分の特徴を挙げていけばいいだけですから。
まず、自分に甘い。自分の作品に対して「これはいいぞ!ぐっへっへ♪」と一人で悦に入ってしまうタイプ。こんな奴、仕事ができるわけありません。
あと、数少ない成功体験に縛られ続ける奴も成長しませんね。たまたまうまくいっただけなのに、それをフォーマット化しちゃう奴。だってその時点で考えることを放棄してるんだから、伸びるわけありません。あ、もちろん、ぼく自身のことですよ。
もうひとつ、これだけは自分のことじゃないんだけど、時間を守れない人。これはもう確実です。遅刻する。締め切りや約束を守れない。なにも仕事に限りません。私生活でも同じですが、ルーズな奴は何をやってもだめです。
最後に、もうひとつ、他人のことを書いておきます。めんどくさがりの人もだめですね。
いや、ぼくもめんどくさがりです。楽に終えられるなら、そうしたいです。でも、それっていいものを作る気がないってことじゃないですか。
これを読んでくださった皆様。もし自分が該当しそうなものがあれば、ぜひ注意していただければと思います。
すぐに辞めちゃう人の特徴
ここで書く「すぐ」って、入社初日に辞めちゃうとか退職代行を頼むとか、そんなんじゃないですからね。
もう少し長いスパン、1~3年くらいを想定して書いています。
もともと、ぼくが棲んでいた出版業界って、離職率が異常に高いんですよ。その中でも「編プロ」って呼ばれる会社は特に酷くてね。
いや、辞める理由はわかるんですよ。さすがに今は違うと思うけど、ぼくが入社したころは徹夜もパワハラも当たり前だったし。唯一、今タイムリーに世間で話題になっているセクハラだけは少なかったけど、それは女性比率がすごく低かっただけだしさ。
そんな環境なのに、給料もめちゃくちゃ安くて、昇進しても大して給料が増えないんだから、そりゃまあ、辞めますよね(笑)。
だから離職率は高かった。でも、どんな馬鹿でも1カ月以内には気づくわけですから、そのくらいで消えていくわけです。
でね。そんな中、半年くらい残る人がいるとさ、こっちは「お、こいつは辞めないかな?」ってなって、本格的な教育が始まるわけです。言ってもOJTですけど。
そういう状態になってようやくスタートラインなわけですが、そんな中でも3年持たずに辞めちゃう人もいるんですよ。
じゃあ、どんな人がすぐに辞めるのか。
ここは具体的に書いてみましょう。
ケース①気づいたらいなかった男の子
本当はイニシャルで書こうと思ったけど、急にいなくなったという終わり方の印象だけが強すぎて、名前がまったく思い出せません。
正直、彼はもっと早く、具体的には1カ月ももたずに辞めるとしか思っていませんでした。
悪い子じゃないどころか、すごくいい子だったんですけどね。真面目すぎたんで、出版という小汚い業界(当時)は絶対に続かないだろうと思ってしまったんです。
でも、予想に反して3カ月経っても、半年経っても、1年経っても残りました。
真面目な子だったから、実力もどんどん伸びてね。3年くらい先輩でしたけど、ぼくなんてとっとと追い抜いていきましたよ。
そして、多分彼が入社して1年半くらいだったと思うけど、年末に忘年会をやって、冬休みは当然連絡なんて取らなくて、新年、会社に行ったら、もう机が綺麗に片付けられていました(笑)。
年末年始に会社に来て掃除したのかな? そんなところも真面目だったんだなあ。
彼にとって最期の忘年会では同じテーブルにいたけど、そんな気配はまったく感じさせず、当然そんな話も一切なかったので、辞めた理由はわかりません。
ぼくの勝手な想像では、真面目過ぎた分だけ、業界の未来とか、そういうのまでトータルで考えたときに不安になったのかなあと思っています。
本当に真面目で、すごくいい子でした。でも、昔から「過ぎたるは、及ばざるが如し」って言うように、いいことばっかりじゃないのかもしれませんね。
ケース②特殊な理由で辞めた女の子Rさん
ぼくも教育にかかわった子なんですけど、たまたま家が近かったので、よく一緒に帰ったり、ご飯食べたりもしてた、数少ない仲のいい女の子の後輩編集ちゃん。
この子は、相当なレアケースだと思います。というのも、親バレが原因だったんですよね。
いや、別に反社会的な雑誌を作っていたわけではないんですけど、ちょいアングラ的なジャンルの専門誌だったこともあって、お母さまが怒ってしまいました。
これは相当なレアケースですが、同時に1つ反面教師にできることもあります。
それは、周囲に嘘をついて入社してもいいことないよ、ってこと。
一度、嘘をついてしまうと、そこからずーっと嘘をつき続けなきゃいけなくなっちゃうので、あまり堂々と言いにくい仕事だとしても、両親や家族、親友、恋人くらいには伝えておいたほうがいいかもしれません。
ケース③自業自得な理由で辞めた女R
一応、言っておきます。上のRさんとは別人です。すべてにおいて、真逆です。
もうひとつ、念のため書いておきます。「女R」で止めてますが、これで正解です。こいつに敬称はいりません。
こいつの退職理由はきわめてシンプル。自業自得です。
毎日、嘘をついて生きていて、他人の悪口ばかり吹聴していました。
それでもルックスだけはまあまあだったからなのか、何人かの男性社員と仲良くしていて、うち数人とはちょっと特別な関係になっていて、でも性格が悪すぎてすぐに別れて…。
そんなことを繰り返しているうちに、味方になってくれる人は1人たりとも残っていませんでした。
個人的に、初めて個人情報を流出させられた女なので、もう思い出したくもないレベルです。
皆さんも悪口・陰口はやめましょうね。聞いているほうの身になってください。
という悪口を書いているぼくは、一体何者なのでしょう?
会社にしがみつく人の特徴
さて、逆に会社にしがみつく人もたくさん見てきました。
長く勤めるのは悪いことじゃないですよ。でも会社への不満を持ちながら、仕事自体も楽しくなさそうにしながら、それでも辞めないのは、時間の無駄だと思うんですよ。
こういう人の特徴って、すごく分かりやすいんですよね。
他人向けには自己評価がものすごく高いんです。「俺がいないとこの会社、回らないからな~」とか平気で言っています。
でもきっと、自分で分かってるんでしょうね。大したことないって。だから他の会社を受けるとか、そういうことは一切しません。できません。そんな勇気、ありません。
一応、書いておきます。これ、世間一般の真っ当な会社であれば、必ずしも間違いではありません。
勤続年数が長くなれば給料も上がるし、退職金も一気に上がるし。
でも、出版業界の末端である編集プロダクションなんて、そんな環境とは無縁ですから。長く勤めたところで、退職金が100万円出ればハッピーなレベルですもん。
そんな条件の会社に文句があるなら、辞めればいいじゃないですか。もしくは会社の規模が小さい分、自分で変えることだって不可能ではないし。
何もできず、何もやらず、お酒の力を借りて後輩相手に文句を垂れ流す。
新社会人のみんな! そんな大人にはなっちゃだめだよ! おじさんとの約束だよ!
伝えたいこと
さて、今日のニュースで「新卒社員5名が退職代行サービスを利用した」と書いてありました。
それを踏まえて、ぼくが伝えたいこと。
ぼく自身、退職を3度しています。在職期間は、1年⇒10年⇒5年⇒現在です。いずれも、後悔は一切していません。
だから、退職するななんて言う気はありません。「昔から“石の上にも3年”って言うだろ!」なんて言葉、へどが出るくらい嫌いです。
ぼくは、無理して我慢して耐えろなんて死んでも言いません。そんなの無駄です。
ただ。
この会社にいるべきか、辞めるべきか。それを“見極める”までは辞めない方がいいよ、とは伝えたいです。
ぼくが見たニュースによると、入社直後に辞める方は「入社前に聞いていた内容と、実際の勤務が全然違う」という理由が多いそうです。
でもさ、1日や1週間で「実際の勤務」なんて分かりますか? その会社のこと、見極められますか?
無理や我慢、忍耐なんてしなくていい。
でも、あなたのために。ある程度時間をかけて、しっかり見極めてください。
例外パターン
世の中にはなんでも例外があります。見極めにかんしても、やっぱり例外パターンって存在するんですよ。
それが、いわゆる3大ハラスメントの構成要素・セクハラとパワハラです。
入社直後だろうがなんだろうが、これをやられたらその時点で見極め完了と言ってもいいでしょう。
そりゃね、本当はそれを社長とか経営幹部に直接訴えて、改善してもらうべきなんですけど、でも我慢しろなんて言えませんもん。
だから、セクハラ・パワハラを味わったら、見極めは完了としていいと個人的には思っています。
まとめ:ジェネギャは絶対にあるもの
ぼくのようなおじさんが何をどう書いたって、お若い方だと「お前とは時代が違うんだよ」と思われてしまうかもしれません。
それ自体は、まったく否定しません。ぼくも20歳くらいの頃は、同じことを思っていましたから。
でも、ぼくはそれからいろいろな経験をして、脳みそも身体も衰えて、今こう考えています。
あなたが入った会社は、残るべき会社なのか。辞めるべき会社なのか。見極めはできましたか? と。
この問いにまったく悩まず自信を持って「YES」と言えない限り、“今すぐ辞める”ことはおすすめできません。
だって、「その会社の何がどうだったから、辞めるべきだと見極めたのか」が分からない限り、次の会社でも同じ失敗をしてしまうかもしれませんから。
今の若い子たちって、よくガチャに例えますよね。でもソシャゲのガチャって、たくさん回すほど基本的には優遇されます。
でも、就職・転職って逆なんです。スタート特典とも言うべき「新卒」ブランドが最強キャラで、その後、転職を繰り返すたびにガチャが渋くなっていくものなんです。
以前にも書いたけど、こういうテーマだとやっぱりこの落ちがベストだと思います。
高校の3年間、あるいは大学での4年間を使って得た、人生でたった1度しか手に入れることのできない超絶レアアイテム「新卒」。
それを捨てるなんて とんでもない!