前回のコラムの最後ほうでちらっと触れた退職代行サービス。
今日、またYahooのトップニュースで、こんな記事を見つけてしまったんですよ。
>スポニチアネックス『新年度初の土日明けに退職希望者が急増 代行会社「おそらく過去最高の着地となりそう」報告に意見様々』
退職代行サービス「モームリ」(東京・大田区)が7日、公式X(旧ツイッター)を更新。新年度初の土日明けを迎え、退職希望者…
過去に退職代行サービスの活用に対して否定的なコラムを書いたこともありますが、この記事によると「GW明けは間違いなく過去最多になりそう」ということなので、今回は改めてこのサービスについて書いてみたいと思います。
退職代行サービスのメリット・デメリット
前書きにも書いたとおり、これを書いている“ぼく”は過去に、退職代行サービスの利用を否定的に解説しました。
その記事はこちらから読めますが、今さら約1年前の記事を読んでくださいとは言いません。ただ、これだけは書いておきたいのです。
ぼくは「退職代行サービスを使うこと」に対して積極的な肯定はできないというだけで、「退職代行サービスそのもの」を否定する気は一切ありません。
多分、そのときにも書いたと思いますが、ぼく自身、新卒で入った会社を1年ちょうどで辞めていますし、その時代に退職代行サービスがあったらきっと使っていたことでしょう。
ではなぜ、ぼくはそんな素敵なサービスを使うことに対して否定的なのか。
まずは退職代行サービスのメリットとデメリットについて、ぼくなりに考えてみたいと思います。
退職代行サービスのメリット
今回紹介したスポニチアネックスの記事をはじめ、タイミング的に4月上旬には退職代行サービス絡みのニュースが数多く配信されます。
それらを見ていると、退職代行サービスは現代の若者にしっかりと浸透しているんだなと感じます。
そして同時に、世の中には“ひどい会社”が予想以上にたくさんあるんだな、とも。
退職代行サービスのメリットの第一は、そんなひどい会社をノーストレスで退職できることでしょう。
無理な引き止めや陰湿な嫌がらせに遭うことがない。きちんとした代行会社を選べば、職場からの連絡すらスルーできる。これ以上のメリットと価値はないと思います。
あと、個人的にもう一つ大きいなと思うのは、退職を即決できるというポイント。
ほら、自分で退職を伝えるってハードルが高いじゃないですか。そうするとぎりぎりまで悩むことになり、結果的に退職を切り出すタイミングが遅くなると思うんですよね。
自分に合わないどころか、メンタルに大きなダメージを与える会社の在籍期間なんて、たとえ1日でも短縮したいもの。
そういう意味でも、このサービスがあるからこそ踏ん切りがついた、という事実によって救われた人もたくさんいると思うのです。
退職代行サービスのデメリット
世の中には“メリットしかない”ものなんて、まずありません。大小、多少はともかく、デメリットも共存してしまいます。
ぼくが勝手に考える退職代行サービスの最大のデメリットはコストがかかること。
世界最大の検索エンジン『Google』のAIさんによると、退職代行サービスの料金は以下のようです。
民間企業:1万円~5万円
(サービス内容:退職の意思伝達)
労働組合:2万5千円~3万円
(サービス内容:退職の意思伝達、交渉可能)
弁護士:5万円~10万円
(サービス内容:退職の意思伝達、交渉可能、法律事務全般)
(引用:Googleにて『退職代行サービス 料金』での検索結果より)
ちなみに、スポニチの記事に出てくる『モームリ』という会社のホームページを見ると、費用は正社員で22,000円、アルバイトだと12,000円とのこと。
この金額をどう取るかは人それぞれだと思いますが、少なくともぼくはもったいないと思っちゃうんですよね。
個人的に感じるデメリット①
個人的には別のデメリットもあると思っています。それが、“退職を即決できてしまうこと”。
はい、これです。間違えてないです。メリットで紹介したポイントは実はデメリットにもなる『諸刃の剣』だと思っています。
だってさ、入社直後に退職を即決できちゃうのっていいことでもあるけど、悪いことでもあるじゃないですか。「実はいい会社だった」という可能性もある中での退職なわけですから。
自分で退職を告げる場合、特にそれがメンタルおばけでない場合は、「言いたい、でも言えない…」てな感じでぎりぎりまで迷うはずです。そしてその期間中に、見極めが進むわけです。
でも、退職代行というお手軽なサービスがあると、人間はかんたんに飛びついちゃいます。それがいい選択であるとは限らないのに、ね。
前回も書きましたが、ぼくは見極めが済んだ会社、要するに見限った会社であれば1日も早く退職するべきだと思います。
(とか言いつつ、ぼくならボーナス支給時期とかも計算して、自分にとってもっともメリットの大きいタイミングを選ぶでしょうけど)
でも見極め中という段階で退職を決めちゃうのは、ちょっともったいないかな? って思います。
だって、
辞めるなんていつでもできるんだから!
個人的に感じるデメリット②
先ほどがデメリット“①”なんだから、当然②もあるよね。
ってことで、もうひとつのデメリットを。といっても、これも前回のコラムで触れていることなんですけどね。
それを一言にするなら、経歴に不要な傷をつけること。
日本において「離職回数の多さ」は転職に不利益しか生みません。望ましい形だとは一切、思いませんが、それが実情です。
ジョブホッパーという言葉も定着しかけている現代、明らかにステップアップのための転職であればそこまで不利にはならないでしょう。
でも、退職代行サービスを使っての退職の場合、多くはそうではないと思います。そんな単なる退職は自分の市場価値を下げてしまう行為でもあるわけです。
少子高齢化ということもあり、若いうちはそこまでデメリットを感じないかもしれません。
でも、転職をそれなりに繰り返したぼくの経験談からすれば、転職回数は少ないに越したことはないし、1社あたりの在籍期間は長いに越したことはありません。
退職代行サービスを正しく活用するには
最初にも書いたとおり、ぼくは退職代行サービス自体は一切、否定しません。いいサービスだと思います。
でも、なんでもそうですが、使い方を間違えるとデメリットも出てきてしまいます。
退職代行という有用なサービスの効果を最大化し、デメリットを最小化する。
ここからは、退職代行サービスの正しい使い方を考えていきたいと思います。
今の若者から見ると「うっせーな、この老害!」という話もあるでしょうが、ぜひなにかの参考にしてください。
譲れるポイント・譲れないポイントを明確にする
複数人が集まる会社という組織では“あなたにとって100点満点”ということは、まずないと言っていいでしょう。
仕事や会社に求めるものは個人によって違います。だから「○○があればOK!」と一概には言えません。
ただ、人それぞれに「大して重視していないこと」や、「大事だけど、そこまでじゃないこと」、「絶対に譲れないポイント」があるはずなので、それを明確にしておいてください。
そうすれば「何がなかったら辞める」、「何があれば辞めない」のライン引きができると思います。
そしてそのラインに沿っての判断であれば、もし仮に将来、後悔したとしても、同時に納得もできると思うのです。
実例
どういうことか分かりにくいかもしれないので、ライターやその周辺職業を16年くらいやっているぼくのラインを実例として紹介してみましょう。
まず絶対に譲れないポイントは2つ。1つはライターという職種、もう1つは生活に困らない程度の給料。これだけです。
でも、あったらいいなというポイントはもっとたくさんあります。書くもののジャンルも大事だし、年齢やキャリアに応じた裁量ももらえたらうれしいです。その代わり、そこに「責任」がのしかかることも、自分なりに覚悟はしています。
ほかにも年齢的に体力がきついので土日祝は休みたいとか、時間の許す限り取材からやりたいとか、挙げればきりがありません。
でも、そのあたりは重要ではあっても、譲れるポイントです。在職期間が長くなると途中でいろいろ変わるけど、絶対条件である2つの要素さえ変わらなければ、退職を考えるきっかけには(あんまり)なりません。
即決だけはしない
退職代行サービスの効果を最大限に活用するには、一度、立ち止まって考えることも重要ではないでしょうか。
先ほど書いたとおり、即決できることがメリットでありデメリットでもある以上、この「即決」という要素を上手に扱うことが退職を後悔する/しないの決め手になると思うからです。
具体的に言えば、退職代行サービスに連絡する前に、友だちや年齢の近い先輩に相談するというステップを挟んでみることをおすすめします。
特に社会人デビューしたばかりの人だと、自分の悩みが大きいのか小さいのか判断しきれない可能性があると思うからです。
また自分が悩んでいるときはどうしても視野が狭くなりがちですが、そんなときも他人の悩みは冷静に判断できるもの。
そんな状況を隠すことなく話し合い、もう少し様子を見るべきなのか、今すぐ次を探すべきなのか、冷静に判断する。
そんなステップを挟むことで、「実はいい会社だったのに…」というリスクを減らすことができるのではないでしょうか。
ちなみに経験上、親への相談はおすすめしません。というのも、親はほぼ確実に「まだ早い」というからです。実際、ぼくは言われました(笑)。それはそれで間違ってないんですけどね。
でも、退職代行サービスを使うか悩んでいるときにほしいアドバイスではないと思うので、候補からは外したほうがいいかなと思います。
即決した方がいいケースもある
物事にはなんにでも「例外」があります。明らかなセクハラやパワハラを受けたのであれば、すぐに退職代行サービスを使いましょう。相談なんてプロセスは不要です。
その場合、できれば民間企業よりも法律事務所に相談するのがベストでしょう。費用が高くつくと思われがちですが、それは会社に負担させるように働きかけるので、まず大丈夫です。むしろセクハラなんかされた場合は、確実に費用以上のお金をもらえます。
たまたまあなたよりちょっとだけ早く生まれて、ちょっとだけ早くその会社に入社したというだけでセクハラをするなんていうクソ野郎に、慈悲はいりません。
しかるべきところに相談し、しっかり罰を受けてもらいましょう。
まとめ:「辞める」はいつでもできる!
退職代行サービスは本当に優秀なサービスです。最初に紹介したスポニチアネックスの記事によれば、「退職成功率100%継続中」とのことですから。
ま、正直なことを言えば、代行サービスなんか使わなくても100%、退職できるんですけどね。
退職届を配達記録郵便で送り、メールで直属の上司か人事部に「このたび退職届を配達記録郵便にて送付いたしました。一身上の都合により、到着から2週間をもって退職させていただきます」と送れば、法律上、向こうは絶対に引き止められませんから(※契約社員を除く)。
個人的にはそれが22,000円でももったいないと思っちゃう、そのお金でおいしいお寿司とお酒を楽しんだ方がいいと思っちゃうんですけど、そこの価値観は人それぞれ。
2万円払ってでも自分では言えない/言いたくないという方は、一度誰かに相談したうえで使うといいと思います。
今回、ぼくがあなたに伝えたいこと。
「退職なんていつでもできる。だから一度、立ち止まって考えよう」。
前回も書いたけど、限界まで耐えろというわけではないですからね。将来、後悔しない程度までは見極めましょう、というだけです。そこだけは勘違いしないでください。
もし、どう考えても自分に合わない、自分に不利益な会社だと感じたらできれば自分で、そうでないなら退職代行サービスを使って退職し、その後は『ジョブリット』で新たな会社を探してください♪
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