突然ですが皆さん、人生を楽しんでいますか? 楽しむだけのお給料をもらっていますか?
お金がなくても遊べる時代ではあるものの、お金はあるに越したことはないですよね。“ぼく”だって、もらえるなら月給500万円くらい、もらいたいものです。
でもきっと、ぼくも読んでくださる“あなた”も、お金について楽観視はできていないのではないでしょうか。
ということで、今回のテーマ。「日本人の平均年収は約460万円」について、いろいろ考えたいと思います。
事実が真実とは限らない!
まずはこちらの記事をご覧ください。
>AERA DIGITAL『平均年収460万円は「実感」とはほど遠い? 実は6割が平均以下の「真実」 1千万円プレーヤーは増加で広がる貧富の差』
日本の平均年収は460万円。だが実態は平均に届かない人が全体の6割ほどに及ぶ。一方、1千万円を超す高給取りも増えている。…
この記事が掲載されている「AERA」さん、もとは雑誌ですね。さらに朝日新聞系列なので、THEオールドメディア、って感じもします。
あ、念のため言っておきますが、悪口じゃないですよ。これを書いている“ぼく”自身がオールドメディア出身者ですし、今でもいわゆるWEBライターよりもオールドメディア勤務もしくは出身の記者・ライターのほうが圧倒的に高クオリティだと断言できますから。
でも今回、書きたいのはオールドメディアすげえ! じゃないんです。
「日本人の平均年収は約460万円」というこの数字、皆さんはどう感じますか?
“平均年収460万円”は統計的事実! だけど……
元記事でも前置きされているとおり、この460万円という数字は国税庁がおこなっている『民間給与実態統計調査』における、「1年を通じて働いた給与所得者5076万人の平均値」。
つまり、統計的にまぎれもない事実です。
でも、なんとなく「高すぎじゃね?」という人と、逆に「あれ、思ったより安くね?」という人に分かれる、何とも言えない絶妙な数字だと感じるんですよね。
要するに、ここで問題なのは「460万円」ではなくその前段階、「平均値」という部分なんですよ。
平均=中央ではない!
皆さん、「平均」という言葉をどう捉えてますか?
何かのアベレージを出すときに「平均値」というものはものすごく役に立ちますよね。しかもそのサンプルが5076万もあるのなら、とても正しい気がしてしまいます。
でも、平均はあくまで平均であって、“みんながだいたい、このくらい稼いでいる”ということではありません。
というのも、平均値を出そうとすると「上ぶれ」「下ぶれ」の両方が、ものすごく邪魔をするからなんですね。
「平均」を信じちゃだめ!
すっごく分かりやすい例を出します。
あなたの会社では社長含め10人が働いています。そのうち9人の月給は30万円です。でも社長だけは100万円もらっています。
そうすると、平均値は「(9人×30万円)+(1人×100万円)÷10」で37万円になるんですね。
このくらいならまだ許容範囲と思われるかもしれません。
では社長の給料を200万円にするとどうでしょう? この場合、平均値は47万円まで跳ね上がってしまいます。
さらに300万円なら平均57万円、500万円なら平均77万円、1000万円なら127万円……となり一般職である9人の感覚からはかけ離れていきます。
これが「上ぶれ」です。
もちろん、逆も同じです。社長を除外し、逆に時短で働く月給10万円の人を追加すると平均は28万円となります。これが「下ぶれ」ですね。
ただ、なんとなく分かるかと思うんですけど、「上ぶれ」のほうが影響が大きいんですよね。これは「最低賃金」は決まっているけど、「最大賃金」は決まっていない、いわば青天井だからです。
そんなときに役立つ「中央値」!……って本当?
ちょっと数学が得意な人やニュースに詳しい人なら、きっとこういう意見が出てくると思います。
「そういう“ムラ”を防ぐために『中央値』という指標があるんだ!」って。
実際、元記事でも「中央値」について触れられています。大元の調査で細かい年収数値が公表されていないため確実ではないものの、中央値の推計は300万円台後半になりそうとのこと。
ちなみに中央値とは、今回で言うと全労働者を年収順に並べたときにちょうど真ん中、ランキング的に2538万人め位置する人の数値のこと。
先ほども書いたとおり、上ぶれによりどうしても体感以上に数字が大きくなりがちな「平均値」より、中央値のほうが実感に近いかもしれませんね。
でもね、これもやっぱりあんまり意味がないんですよ。
というのも、給与で比較した場合、どうしても女性が不利になるからです。
女性の平均年収は男性の約55%!
記事によると、そして国税庁の調査によると、男性の平均年収が569万円なのに対して女性は316万円。なんと男性の55.5%という数値なんですね。
現代は男女間の格差がかなり減りつつあります。実際、1つ前にぼくが勤めていた会社では女性の役職者がかなり多くて、感覚的には男性は不利でしたし。
ただね、それでもやっぱり収入を「女性全体」で比較すると不利です。
だって出産を機に退職したり、時短勤務やパート勤務に切り替える人の数は、やっぱり女性のほうが圧倒的に多いですから。
近年、産休・育休が当たり前になってきましたが、日本はまだまだ年功序列的な給与体系が残っているので、その成果が統計に表れるにはもう少し時間が必要なんでしょう。
ということで、平均収入に性差が大きく影響する分、平均値も中央値もあんまりあてにできないんです。
1998年の平均年収は465万円だった!
ところで。
今から27年前。1998(平成10)年の日本人平均年収は465万円だったのだとか。額面上、日本人の年収はほとんど横ばい、正確には400万円程度まで落ち込んだあとにようやく回復してきた、ということになります。
しかもですよ、額面ではほぼ変わらなくても、そこから引かれる税金系は今より圧倒的に少なかったので、実感としての収入=手取りの金額はまだまだ27年前に追いついていません。
ちなみにお若い“あなた”のために説明すると、1998年はいわゆる「バブル期」ではありません。とっくに終わってます。
一応、「ITバブル」というバブルもどきの時期ではあるものの、体感的にはほとんどの人が「不景気」と感じていた時期なんです。
不景気の時期と比べても27年間で成長できなかった日本経済。ぼくごときが考えても意味はありませんが、いいことではないですよね。
じゃあ、どうしたらいい?
これはおじさんだから思うことかもしれませんが……ぼくは不満を誰かのせいにすることが好きではありません。たとえば政治とかね。
いや、今の日本の政治に100%満足しているわけではありませんよ。
でも「貧乏なのは政治が悪いからだ!」って叫んだところで、なにも変わらないじゃないですか。
それよりも、もっとお金がもらえるように仕事をがんばって結果を出すか、それができないなら副業するとかして、現実的に収入を増やすべきだと思っています。
たとえば、本業以外に週に2回、4時間だけアルバイトするだけで時給1200円でも月に4万円くらいは稼げるわけです。
たとえば年収400万円の人でもこれだけで年収は450万円になるわけですからね。
現実的に、今は副業禁止の会社も少ないし、アルバイトの時給も上がっているし、週2日・4時間くらいなら体力的にもなんとかなりそうじゃないですか?
そういう風に、収入を増やすことを考えるほうが、政治の不満をSNSに書くよりも、よほど建設的だと思っています。