みなさん、こんにちは。ライター見習いの“品本 芽生(しなもと めい)”です。
9月ももう終わりに近づいてきているという現実をいまだに受け入れられずにいます。時の流れが早すぎる。怖い。
社会人のみなさんが大嫌いである(と信じたい)単語の1つ、“残業”。締切間近のタスクがある場合は避けられないのですが、できる限り定時に帰宅したいですよね。
そんなわけで今回は、2000年代生まれでTHE Z世代の私が「Z世代から見た残業キャンセル界隈」について解説していきます。
「残業なんて大嫌いだよ~!」という同志は、ぜひ最後までご覧ください。
(次はあらすじという名の茶番です。ブラウザバックせず飛ばしてもらって大丈夫です)
前回のあらすじ
彼女は“知識のかけら”を集めるため、熱砂の砂漠にある小さなオアシスを訪れていた。
「ぷはぁ! 生き返る~!!」
池から顔を出しながら、おじさんのような声を出す芽生。
液状化しかかっていたその体は、冷たい水のおかげで元通りのまるまるとしたフォルムに戻っていた。
「“北海道のウサギ”はなにしてるの? 一緒に涼もうよ!」
「キュン、キュキュキュン……(訳:いやぁ、この穴が気になって……)」
北海道のウサギが掘り進めているのは深さ数十メートルはあるであろう大きな穴。2人がオアシスを訪れたときから開いていたそれに、ウサギは大きく興味を惹かれたのだった。
掘っても掘っても先の見えない穴に、芽生は早々に興味を失っていたが、ウサギは諦めずに必死に穴を掘り続けた。
ゴゴゴゴゴゴ……
その時、地響きとともに大きな水しぶきが上がった。
「キュン!!」
「北海道のウサギ! う、うわあぁぁ!!」
大量の水に押し流され、2人の姿は消えてしまったのであった。
『キャンセル界隈』の人気えぐい(個人の感想です)
毎回恒例の前回のあらすじ(クソ茶番)でした。事前に飛ばすように書いておいたので、ブラウザバックした人はゼロだと信じたいです。
ここからが本題。先日、X(旧Twitter)を見ていたところ、トレンドに『残業キャンセル界隈』という文字を見かけました。
私はZ世代ということ以前にオタクなので、ネット文化や流行には割と敏感なほうです。しかし、『風呂キャンセル(風呂キャン)界隈』はよく耳にしますが、残業のキャンセル界隈なんて聞いたこともありません。
そんなこんなで今回、このコラムを書くにあたって、拝見にさせていただいたのがこちらの記事。
>ITビジネスONLiNE『「残業キャンセル界隈」名乗る若者が増加中…… 上司はどう向き合うべき?』
SNS発の「○○キャンセル界隈」が職場にも広がり、「残業キャンセル界隈」を名乗る若手が増えている。背景には働き方改革の誤…
残業キャンセル界隈はもちろん、このコラムでは省いた“○○キャンセル界隈”についての情報も詳しく書かれているので、ぜひご覧ください。
残業キャンセル界隈って何?
勇者Googleに頼ろうとしましたが、最近できた造語なのか詳しい情報が載っていませんでした。スライム、敗北。
そこで、最後の砦。我らがZ世代の心の友、ChatGPT(通称『チャッピーちゃん』)に「残業キャンセル界隈とは何か」と聞いてみました。
その結果がこちら。
【ChatGPTの回答】
定時になったら迷わず帰り、残業をしない人たちのライフスタイルや価値観を面白おかしく表現したネットスラング
はい。
名前から「残業しない人のことかな~」という感想は抱いていたのですが、まさにその通りでしたね。
定時に帰ること自体は悪いことではないし、わざわざ話題にする必要のあることかな? なんて思ったりもしたのですが、そんなにかんたんな話ではありませんでした。
残業キャンセル界隈の問題点
残業キャンセル界隈の何が悪いのか。それは、片付けるべき仕事がまだ残っているのにも関わらず、定時になった瞬間に帰宅することです。
私と同じく“まとも”なZ世代のみなさんは「は?」と思ってくれたと信じています。いくら定時とはいえ、やるべきことはやってから帰るべきですよね?
それを「あ、定時ですね。ぼく、残業キャンセル界隈なので帰ります」と言われたら、温厚で優しいと周囲から定評のある私でもキレると思います。
「これだからZ世代は」と言いたくなる上司の気持ちも分からなくないです。
1人でもこういうことをする人がいると、チーム全体の士気や人間関係に問題が出てきてしまう可能性も。それはなんとしても避けたいところですよね。
残業をキャンセルしたくなる背景
企業に大ダメージを与える残業キャンセル界隈。一体なぜこんな界隈ができてしまったのか。
「いやいや、残業したくない以外の理由があるわけない」って? 私もそう思いましたが、チャッピーちゃんいわくキチンとした背景があるらしいんですよ。
それがこちら。
【ChatGPTの回答】
・働き方改革の影響
・若年層の価値観の変化(特にZ世代)
・SNS文化との相性
・共感しやすい“ネタ感”
・長時間労働への反動
・他の“キャンセル界隈”との連動
・メンタルヘルス意識の高まり
はい。
箇条書きで背景を教えてもらったのですが、思っていた以上に量が多くてビックリしました。
ここまで、残業キャンセル界隈の否定派だったのですが、背景を見て少し考えが揺らぎました。
1つひとつ紹介するには量が多すぎるので、似たような項目はまとめて深掘りしていきます。
働き方改革の影響
最初に、働き方改革の影響。
2019年4月1日から順次施行された働き方改革関連法により、国全体で残業削減や有給取得促進が叫ばれるようになりました。その結果、残業しないことへの心理的ハードルが下がったというものです。
昭和や平成のころは分かりませんが、令和になった現在では必要な残業を除いて、残業はせずに定時には帰る。その意識はZ世代だけでなく、多くの社会人に根付いています。
Z世代の感想
残業時間の制限を設けたり、有給休暇の時季指定がされたり、働き方改革関連法は労働者が能力を存分に発揮できる環境を築き上げました。
残業をしないことが正しいという認識は私自身も持っていますし、可能なら残業なんてしたくないです。
しかし、仕事が終わっていないのにも関わらず、定時だからと帰宅するのは“職務怠慢”だと思います。
しっかり仕事を終わらせて、定時に帰宅する。それこそが真の社会人ではないでしょうか。
SNS文化との相性
次に、SNS文化との相性。
X(旧Twitter)やTikTokなどで“○○キャンセル界隈”が人気を博し、同じような構図をした『#残業キャンセル界隈』も共感や笑いが得やすく、拡散しやすかったというものです。
その結果、Z世代だけでなく上司たちの世代間でも話題になることとなってしまいました。
Z世代の感想
個人的に、SNSは多くの情報や文化を取り入れられる便利なツールである反面、“いいね”という分かりやすい形で承認欲求を満たせてしまうのが恐ろしいと考えています。
人間の承認欲求は底なし沼。多くの“いいね”をもらっても「もっといいねがほしい」と欲張りになってしまう人も少なくないはずです。私も実際にその1人ですが、他人に迷惑を掛けてまで“いいね”がほしいとは考えていません。
そういう意味では、残業キャンセルという企業や周囲の人間に迷惑を掛けてしまう行動は、一昔前に世間を騒がせた『バイトテロ』と大差ないように思えます。
メンタルヘルス意識の高まり
最後に、メンタルヘルス意識の高まり。上に書いた「残業キャンセル界隈、許すまじ」という考えが揺らいだ背景というのがこれです。
働きすぎがうつ病や高血圧など、心身の健康を損なうという認識が一般化し、無理をしないという姿勢に共感する人が増えたというもの。
実際にメンヘル系の病院に行くと、待合室には高校生~20代とおぼしき方が多く座っていたりします。
仕事と健康を両立できる環境づくりに取り組んでいる会社は増えていると思いますが、ますますの努力を期待したいです。
Z世代の感想
働きすぎは心にも体にもよくない。その考え方には、私も全力で共感しています。
過度な残業の影響で体調を損ね、仕事に支障をきたしてしまうのは企業側としても本末転倒なのではないでしょうか。
体調を崩してしまいそうなときは上司や周囲の人間に相談して、正当に残業をキャンセルするのは全然いいと思います。
というか今回、問題になっている残業キャンセル界隈は、健康状態などには問題ないのに必要な残業を放り出して帰る人のこと。体調の悪化を心配して帰宅する人とは雲泥の差がありますけどね。
サービス残業なんてクソ喰らえ
ここまで散々、残業キャンセル界隈を批判しているので誤解されているかもしれませんが、私は残業が大嫌いです。
ブラック企業に勤務していたころは、毎日1~2時間の残業をしていて、月間に換算すると40時間ほど“残業代なし”で働いていました。あの残業は企業にとっては必要だったんでしょうけど、自分にとってはムダな時間でしかなかったと心の底から思います。
本来、残業は給料がキチンと発生したうえで、必要な業務のためのみやる時間のこと。対価のない残業なんてクソ喰らえ! です。
というか、サービス残業は“違法”なんですから、残業キャンセル界隈になりましょう。
心身をすり減らしてまで仕事をしたとして、その後に働けなくなっても会社は何もしてくれません。
自分を守れるのは自分だけ。大切なのは自分の体と心ですから。
結論という名の感想
ここまで、残業キャンセル界隈について解説してきました。
何度も繰り返し書いてきましたが、必要な残業を放り出してまで定時で帰ろうとするのは職務怠慢です。業務上必要で、かつ残業代が支給される“正当”な残業は拒まず受け入れるべきだと私は思っています。
しかし、業務が終わっているにも関わらず「周囲の仕事が終わるまでは帰るな」といったような理不尽な残業。また、定時になるとタイムカードを切ってさせられるサービス残業はキャンセルしてもいいと思います。むしろキャンセルすべきです。
キャンセルしていいものと、してはいけないものの区別をつけて、キャンセルできるものはキャンセルして生きていきましょう。
私みたいにバカ真面目に生きるよりもそのほうがずっといいと思います。
まぁ、私もやらなくてもいい残業はしないようにしていますが。
毎日、全力でがんばると疲れちゃうので、燃費よく過ごしていきたいものですね。
後日談
「い、たた……」
砂漠の端まで流された芽生は熱い砂の上に横たわっていた。
「キュンキュ?(訳:芽生ちゃん大丈夫?)」
「平気……。それにしても、ずいぶん遠くまで流されちゃったみたいだね」
周囲を見渡してみても、知らない景色ばかりで2人は困り果てた。
「キュ! キュキュキュン!(訳:芽生ちゃん! 見てみて! ほら、あそこ! 砂の中からなにかが光ってるよ! あれはなんだろう? 小さいけど、すごい光だね…。うん? あれってもしかして……? 芽生ちゃん、ついにやったんじゃない?)」
「えぇ~~~!!」
そこで芽生が目にしたものとは――!?
そう、“知識のかけら”だ。
「やったぁ!! “知識のかけら”、ゲットだぜ!」
「キュッキュキュウ!(訳:ピッピカチ○ウ!)」
1つめのかけらをしまい、芽生たちは砂漠の果てをめざして歩き始めた。
2人の冒険はまだまだ続く。
続くったら続く。