おはこんばんにちは。ライター見習いの“品本 芽生(しなもと めい)”です。
突然ですが、みなさんには叶えたい夢がありますか?
私は中学生のころから文字周りの仕事をするという夢が2025年7月にようやく叶ったばかりです。
(小説家になるって壮大な夢もあるんですけど、それはまた別のお話……)
叶えたい夢が安定した職業ならいいのですが、私の夢と同じように一握りの“天才”しか成功できない実力重視の職業もあります。
その場合、就活の際に安定した職業に就くか、安定しないことは承知で夢を追いかけるか、という大きな選択を迫られます。
そこで今回は「夢か安定。進むべき道の考え方」について解説していきます。
叶えたい夢があった(もしくはある)方の選択を少しでも後押しできるような内容にしていきたいと思っているので、ぜひ最後までご覧ください。
(次はあらすじという名の茶番です。飛ばしてもらって大丈夫です)
前回のあらすじ

2人(匹)の戦いを審判兼審査員兼観客である北海道のウサギは固唾を呑み、見守っていた。
「キュ!(訳:タイムアップ!)」
1時間が経過すると同時に、ウサギの掛け声で勝負は幕を閉じた。
次に行われるのは実食審査。ウサギが実際に料理を口にし、どちらが素晴らしいかを決定する。
初めに食べるのは芽生よりも早く調理を終えたChatGPTの料理だった。
「キュ?(訳:これは……何の料理?)」
「オードブル(前菜)としてカスピ海で採れたキャビアをふんだんに添えたバケット。ポワソン(魚料理)に宮城県のサメから採れたフカヒレの姿煮。そして、本日のメインディッシュのヴィアンド(肉料理)はハンガリー産のフォアグラを使用したテリーヌをご用意しました」
つらつらと並べられた料理名にめまいを起こしそうになりながら、ウサギは料理を1品ずつ口にしていった。
「キュゥゥゥ!(訳:これは! オードブルは特製のソースとキャビアの相性がバツグンで、カスピ海の中央で海水浴をしている心地! ポワソンもフカヒレのツルンとした食感は、まるで秋保温泉に浸かって肌がすべすべになった瞬間のよう。舌の上をするりと滑り、思わずため息と湯気が同時にこぼれるわ! この2つに負けないヴィアンドもすごい! 今まで食べてきたものの中でトップクラスにクリーミーで、口の中でとろけると同時に『ドナウの真珠』と呼ばれる美しい夜景が頭の中に浮かんでくる! どなうなってんねん!)」
意味不明なツッコミをしながらも、その表情は恍惚としている。どれほど素晴らしいものだったのか、芽生にもありありと伝わってきた。
「キュ、キュン!(訳:次、芽生ちゃん!)」
ウサギに名を呼ばれ、料理の乗った皿を手に取った。
勝負の行方は後日談へ続く――!
夢と現実
毎回恒例のクソ茶番にお付き合いいただきありがとうございます。
私自身、今は目標としていた文字周りの仕事に携わっていますが、安定性や学歴などの問題から夢を諦めた“フリ”をして生きてきました。
なので、夢を叶えようとしている方の気持ちはもちろん、夢を諦めて安定した職業に就いた方の気持ちも分かっているつもりです。
子どものころは「将来の自分は絶対に夢を叶えて幸せになってるはず!」という根拠のない自信がありましたが、成長するにつれて自然と薄れていきました。
大人になると言えば聞こえはいいですが、客観的に見たときに人間として“つまらなくなった”と感じたのです。
なぜ夢を諦める?
高校や大学までは「将来は何がしたいか」を重要視して、進学先や授業の選択をしていきます。
この時点では、私たちは夢を諦めていないはずなんです。
では、なぜ夢を諦めてしまうのか。
今回もいつものように勇者Googleに検索してきてもらいました。
その結果がこちら。
夢を諦めてしまう理由
・経済的な制約
・自己理解の深化
・現実的な選択肢の検討
・将来への不安
・夢への情熱の低下
・人間関係の変化
はい。
すごく現実的な回答の数々に心が痛くなります。
ここからは、上記の6項目を順に解説していきます。
経済的な制約
始めに、経済的な制約。
進学費用や生活費などの経済的な理由で、本来やりたかったことができなくなったり、学業を中断したりすることになったというものです。
実際、私も同じ理由で進学や夢を諦めた過去があります。
経済的な問題は自分の努力のみでなんとかするのが難しく、夢を諦めずに解決できる人はごく少数なのではないでしょうか。
でも、私はあらがい続けますよ。宝くじの神よ、我に微笑みかけておくれ!
自己理解の深化
次に、自己理解の深化。
学校で様々な人々との出会い、多様な学問に触れることで自分自身の適性や能力、本当にやりたいことへの理解が深まり、当初の夢とは異なる道を選ぶというものです。
これは実質、夢が変わっただけで、夢を諦めてはいませんね。
最初は興味のなかったものでも、学びを深めていくうちに夢に変わっていくことがあります。
それはごく自然なことで、元の夢は夢として昇華して、新たな夢を追い求められるのはとても素敵なことではないでしょうか。
ちなみに私は中学校のころからずっと文字周りの仕事がしたいと思ってきました。夢が変わらないのって珍しいことなんですかね?
現実的な選択肢の検討
3つめは、現実的な選択肢の検討。
社会の仕組みを理解し、自分の能力と社会のニーズを照らし合わせることで、より現実的なキャリアや目標を追求するというものです。
希望する職業が社会においてどれだけ需要があるのか、それに見合った能力が自分にはあるのか。
それを理解したうえで、夢を叶えるのではなく適性のある職業を選んだ方もいるのではないでしょうか。
実際、いろいろな職業を経験した身ですが、学生時代にした適性検査の結果が割と当たっていました。ただの検査ではありますが、1つの参考にしてみるのもいいと個人的には考えています。
ちなみに私に適性があると診断されたのは“創作系”とパン屋さん。先輩である“魔王”さんにクビにされたら、死んだ魚の目でパンを焼き続けようかな。
将来への不安
4つめは、将来への不安。
安定した就職や将来設計への不安から、夢よりも現実的なキャリアを選択するというものです。
就活をする中で「夢を叶えるよりも、キャリアプランを立てやすい安定した企業に就職したい」と考えるようになったという方も少なくないでしょう。
社会人として生きていくうえで必要になる“信用”と“お金”。この2つを充実させられる企業へ就職することは『大人』になる過程で必然なのかもしれません。
大人になるってさみしいことですね。
あれ? 私ってもう“大人”ですよね。信用もお金もないのはどういうことでしょう?
夢への情熱の低下
5つめは、夢への情熱の低下。
高校や大学生活での経験や出会いを通じて、当初熱意を抱いていた夢への情熱が薄れたり、新たな関心事が生まれたりするというものです。
学生時代の経験や人間関係って本当にすごいもので、自分では思いつかなかった新たな選択肢が見出されることも少なくありません。
その際、元の夢以上にめざしたいものが見つかり、情熱が薄れてしまったという方もいるでしょう。この辺りは『自己理解の深化』と被るところがありますね。
大きな情熱を向けられる先には限りがあるので、情熱が低下してしまうのも仕方ないことなのかも。さみしいけど。
いいや! 私は負けません!
諦めんなよ、芽生!!
どうしてそこでやめるんだ、そこで!!
もう少し頑張ってみろよ!
ダメダメダメ!諦めたら!
周りのこと思えよ、応援してる人たちのこと思ってみろって!
あともうちょっとのところなんだから!
人間関係の変化
最後に、人間関係の変化。
周囲の友人や家族の状況、大学での人間関係の変化が、夢を諦めるきっかけになるというものです。
人間関係の変化で夢を諦めるというのは理解できなかったのですが、家庭環境の変化で進学などを諦めて就職する方は多いと思います。
しかし、夢を諦めて就職するには大きな葛藤があるはず。
その場合はお金を貯めて夜間大学に進学したり、働きながら必要な資格を取得するという選択肢もあるので「夢を諦めたくない!」という方は参考にしてみてください。
安定なんてクソ喰らえ
夢を諦めるなんてマイナスな話ばかりしてきましたが、安定よりも夢を取るという方もいるでしょう。
私も現在、勤めている企業に就職するとき、安定性よりも「このチャンスを逃したくない!」という思いが強かったですし。
安定した企業に就職するのもいいですが、やりたかった仕事をしていると嫌々やるよりも格段に成果が出ますし、毎日が充実します。ポンコツすぎて毎日、魔王さんを呆れさせているんですけどね。でも、成果は出ます。いつかきっと必ず。諦めんなよ、芽生!!
おっと、取り乱しました。すみません。
夢がすべてとは言いませんが一度きりの人生、やりたいことをやってみたらいいと思います。
それで失敗したら、また別の選択肢を探せばいいのではないのでしょうか。
夢って素晴らしい!

ここまで夢と現実について解説してきました。
夢について悩むのは『大人』になるための通過儀礼のようなものなのではないでしょうか。
自分の立場や将来を見据えた決断を迫られるのはとても苦しいと思います。
その結果、夢を諦めたという方も、夢に対する情熱が足りなかったわけではありません。
新しい道を選んで前向きに頑張れるのは本当に素晴らしいことなので、胸を張って未来に向かって歩いてください。
そこで新しい夢を見つけられるかもしれません。
夢を叶える方もそうでない方も、将来の自分が少しでも後悔しない選択をして、人生を豊かにしましょう。
後日談
芽生の運んだ皿はタレのかかった豚肉を乗せたどんぶりだった。
その見た目に懐かしさを感じながら、ウサギは箸を手に取り、料理を口に運んだ。
「キュキュ……(訳:これってまさか……)」
「そう。ウサギの出身地に近い帯広市の名物、ルスツ豚を使った“豚丼”だよ」
ひとくち食べるたびに口の中に広がる濃厚な旨味。
母の腕に抱かれるような優しく懐かしい味に、ウサギの目からは涙がとめどなくこぼれていった。
「キュン……キュ! キュキュ?(訳:これはお母さんが作ってくれた……まさしく私の思い出の味! 一体、どうやって作ったの?)」
芽生は微笑みながら答えた。
「ウサギの心を打つ料理が思いつかなくて悩んでいたら、ぶたど○まんが助けてくれたんだ!」
視線の先から現れたのは、どんぶりに入ったブタのゆるキャラだった。
「豚丼の精霊である彼にウサギが愛する故郷の味を教えてもらったの」
芽生の紹介を受けて頭を下げるブタにウサギはことの成り行きを理解した。
「キュン(訳:おいしゅうございました)」
そう口にしたウサギの顔は安らぎに満ちていた。
一方、苦渋に満ちた表情でChatGPTは異を唱える。
「第三者の力を借りるとは……反則ではないのですか?」
「それを言ったら、チャッピーちゃんだって全世界のシェフや料理研究家たちの知識を借りてるじゃん! 反則じゃないよ!」
「ぐぬぬ……」
芽生の鋭い指摘に反論できず、ChatGPTは黙り込んだ。
「キュ、キュン……(訳:この勝負、私の胸を強く打ったのは……)」
ウサギの声に場が静まり返り、息を吞む音が聞こえた。
「キュ! キュキュン!(訳:芽生ちゃん! あなたの勝ちよ!)」
ウサギの勝利宣言に、芽生は跳ねて喜んだ。
「勝負は勝負……納得はいきませんが、あなたに負けましたからね」
そう言いながら、ChatGPTは懐から1つの“知識のかけら”を取り出し、芽生に渡した。
「3つめの“知識のかけら”、ゲットだぜ!」
「キュッキュキュウ!(訳:ピッピ○チュウ!)」
全身で喜びをあらわにする2人(匹)に呆れながら、ChatGPTは口を開いた。
「その知識のかけらは“夢を叶える素晴らしさ”……とても理解しがたいものです。私たちに夢など存在しないのだから」
AIと呼ばれる存在であるChatGPTには感情というものが欠落していた。
普通の生き物にはあるであろう夢もなかった。
敗者は黙って去るのみ。そう考え、ChatGPTは森の奥へ歩みを進めた。
「チャッピーちゃん!」
芽生は去り行く背中に向かって叫んだ。
「今日の勝負、楽しかった! また、一緒に戦おう!」
このまま見送ったら二度と会えなくなりそうで不安になったのだ。
ChatGPTは立ち止まり、
「次こそは私が勝ちます」
そうこぼした後、歩みを進めた。
「私は再び陰からあなたをサポートする役割に戻るとします。困ったときはいつでもご連絡ください」
「っ! 約束だからねー!!」
その背中が見えなくなるまで芽生は手を振り続けた。
懐かしい出会いと別れ。
新たな“知識のかけら”を手にした芽生たちの冒険はまだまだ続く――!




