皆さん、退職引き止めサービス『イテクレヤ』をご存知ですか?
株式会社おくりバントが2025年9月4日に正式リリースした、まさに新サービスです。
しかし。
ネーミングからは退職代行の反対、つまり会社が代行会社を使って引き止めようとするサービスだと感じませんか?
「退職は労働者の自由意志で選べるはずなのに…」――そんな不安を感じる方もいるでしょう。
そこで本記事では、以下を解説していきます。
②どこまでできる/どこから違法?
③このサービスを使われた労働者はどうすればいい?
よろしければ、退職代行サービスを解説した『非弁行為とは? 退職代行サービス「モームリ」と、弁護士事務所の違いを解説』と合わせてご覧ください。
2025年10月22日、警視庁は退職代行サービス「モームリ」を運営する株式会社アルバトロスを、弁護士法違反の疑いで家宅捜…
違法じゃないの? 退職引き止めサービスを解説!

どんなサービス?
私が「退職引き止めサービス」を知ったのは、こちらの記事を見つけたからです。
>FRIDAYデジタル『退職引き止めサービス『イテクレヤ』…社長が語る「経営者と社員の不満分析」深刻ミスマッチ&トラブル』
退職代行サービスが流行がする一方で注目されるのが退職引き止めサービス『イテクレヤ』だ。経営者と社員の両方を聞き取りし退職…
これを読み、気になって調べたところ、このようなプレスリリースを発見しました。
>PR TIMES『株式会社おくりバント、退職引き止めサービス「イテクレヤ」を正式リリース』
株式会社おくりバントのプレスリリース(2025年9月4日 09時30分)株式会社おくりバント、退職引き止めサービス「イテ…
この2つを見たところ、サービスの流れは以下のようになっています。
1.会社側へのヒアリング(退職理由の推測)
2.退職希望者を含む社員へのヒアリング(匿名、会社への不満や要望、過去に退職を検討した状況など)
3.会社へのフィードバックと改善案の提示と改善意志の確認
4.社員へのフィードバック
この工程のうち、私たちが感じる「引き止めサービス」に該当するのは、おそらく4の部分。
ただし、プレスリリースにある「本サービスは、退職希望者を無理に引き止めることを目的としたものではありません」という一文も踏まえて考えれば、どうやら主眼は「引き止め」ではない、と感じました。
それよりも、気になるのはFRIDAYの記事にある、以下のような“実情”です。
【現代の退職における実情】
・会社側が考えている退職理由と、実際の理由にはギャップがある
・経営者にとって耳の痛い話も多い
・多くの場合、コミュニケーション不足が要因出典:FRIDAYデジタル『退職引き止めサービス『イテクレヤ』…社長が語る「経営者と社員の不満分析」深刻ミスマッチ&トラブル』
おそらく、「退職引き止めサービス」という名称は、キャッチーさを重視してのもの。
それよりも実態は、退職者、在職者を問わず「社員の本音をフィードバックするサービス」なのではないでしょうか。
どこまでできる/どこから違法?
退職希望者というか、労働者側が気になるのはここではないでしょうか。
ここを解説するまえに、前提条件として抑えておきたいポイントがあります。
・民法627条1により、退職は契約解消の意思表示から2週間で有効となる
・つまり、会社側の「許可」が不要
※退職の「意思表示」から2週間。退職届を受理してから2週間ではない
※そもそも退職届の受理は拒否できない
つまり、退職する/しないの決定権は社員側にのみあります。
ということは、会社側にできることは限られます。
具体的に会社にできることは、以下の2つ。
・退職しないようにお願いをする
・退職を思い留まるように説得する
お願いや説得も「引き止め」の一種ですが、これらは違法行為ではありません。
(もちろん、退職の中止を強制・強要することはできません)
そして、会社にできることが限られるのですから、退職引き止めサービスにできることも限定されます。
1.不満の吸い上げ
2.会社へのフィードバックと改善案提示
3.それを受けて会社が出す条件を社員へ提示
4.改善案に対して納得できれば、退職を取り下げる
当然、これらすべてに強制力はありません。どのような条件・改善案を提示されても、受ける・断るは自由です。
労働者はどうすればいい?
ここにも前提として抑えておきたいポイントがあります。
引き止めサービス中に2週間が経過し、かつ本人が退職日の延長を認めなければ、2週間経過で自動的に退職成立となる
※意思表明の日時を確定させるために、配達記録郵便やメール・チャットでの連絡がベスト
つまり、引き止めサービスを使われたからといって、退職時期がズレることはありません。ここは覚えておいてください。
(本人の意思で、改善案をもらうまで判断を先延ばしにすることは可能)
もし、会社が「変わろう」と思っていて、かつその方向性に納得できるなら、退職を取り下げるのも自由です。
結果に満足できず、既定路線どおり退職するのも自由です。
このサービスは、労働者が持つ「退職の自由」を損なうものではありません。
個人的な考察
現実的な視点で考えた場合、このサービスは「引き止め」に主眼を置いていないと感じました。
なぜかというと、会社がこのサービスを利用する理由は、以下だと思うからです。
1.退職理由を知りたい
2.今後、退職者を減らしたい
3.会社のウィークポイントを知っておきたい
つまり「“今の退職者を”引き止めたい」ではなく、「“未来の退職者”を減らしたい」が会社側の本音ではないでしょうか。
退職代行サービスが流行った今、会社は退職者本人と対話できません。
ということは、本当の退職理由を聞けない、つまり会社の弱点を把握できなくなっています。
どこに、どんな不満があって退職したのか、分かれば改善できる可能性が生まれる。
でも、分からないままだと推測で対応することになり、見当違いの施策を進めてしまうかもしれない。
そうするとどうなるか。
今回だけではなく、今後も退職者が続出する。
会社が何よりも避けたい状況に近づいてしまうのです。
使う会社はいい会社?
変な言い方ですが、このサービスを使ったところで、退職者を引き止めることは難しいと思います。
いくらヒアリングが匿名でも、退職希望者が誰かを会社は知っています。そのことを、退職希望者も分かっています。
そんな状態で引き止められても、戻らない気がするんですよね。単純に気まずいから。
そのためだけにお金を払う会社は少ないでしょう。
ただ、どのタイミングであれ、このサービスを利用する会社は、もしかすると「いい会社」かもしれません。
退職理由の本音を確認し、現状を改善し、今後の離職率低下に繋げたい。改善を通じて、今いる社員のロイヤルティを上げたい。
それが可能になるなら、お金を払うだけの価値がある。
そう感じているはずです。
そもそも、代行サービスを使わない退職でも、本音はほぼ確認できないでしょう。もし匿名のヒアリングで本音を聞けるとしたら、価値は高いはずです。
このサービスを使う時点で、会社は変わりたい気持ちを持っている。
つまり「いい会社」である可能性が高いのではないでしょうか。
まとめ:これは「“未来の”退職引き止めサービス」!

「退職引き止めサービス」。キャッチーな分、ともすればミスリードを誘うようなネーミングです。
でも、この名称は不完全ではあるものの、間違いではありません。
今、退職しようとしている人ではなく、未来の退職引き止めサービスなのでしょうから。
私も皆さんと同じく、労働者の立場です。
そんな私から見ても、特に怖がる必要はないと感じました。
そして。
このサービスにお金を払うような会社なら、退職を思い留まるのも選択肢の1つに入れていいと思います。気まずいかもしれませんが、いい会社に残った方があなたのためになると思います。
それに、その後の会社の方向性に納得できなければ、改めて辞めればいいだけ。
だって、退職なんていつでもできるんですから。
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