いきなりですが、お詫びです。今回はライターやデザイナー、カメラマン、ゲーム・音楽制作など、いわゆる「クリエイター」をめざす方に向けたコラムです。
テーマは「仕事に対する意識」。一応、他業種にも通じるところはあるでしょう。
でも、あくまで現役ライターの“ぼく”から、クリエイターを夢見る若い“あなた”への提言、というかお願いが本題になります。
これまで、このコラムでは職種を限定しないという自分内ルールのもと書いてきましたが、今回は例外ということでご容赦頂ければ幸いです。
誰もがクリエイターになれる時代ゆえの弊害
なぜ、今回は職種を限定してしまうことになったのか。それは、ある有名な登山ライターのブログを拝見したからです。
(ご本人の了解をいただいたわけではないので、固有名詞は控えさせていただきます)
かんたんにその内容を要約すると、
●それらの動画は「過去の事故を紹介し、危険性を啓もうする」という体裁で、被害者や遺族を冒とくしている
●そのほとんどは他の動画の内容をただコピペしただけの劣悪コピーだ
という感じ。要するに、怒りの提言ですね。そしてその怒りとライターさんが持つ職業意識に、ぼくは全面的に同意しました。
そしてもう一つ。これから「クリエイター」をめざす若者へ伝えたいことでもあると感じました。自分のルールを破ってでも、そうしたい思うほどに。
昔は絶対になかった。でも、今では頻繁に起こりうること
こういうタイトルにすると、「懐古厨」とか思われちゃいますかね。でも、こういう問題って、ひと昔前までは“ありえない”ことだったんですよ。
もちろんそれは、俺らの世代はそんなことしなかった! なんて自慢ではありませんよ。というか、飲み屋とか会社とか学校とか、閉ざされた世界では普通にありました。
ただ、時代的に、それを世の中に広く発信する方法がなかった。だから、昔では“絶対”に無理だっただけです。
じゃあ、なぜ現代ではできてしまうのか。
簡単に言うと、以下のようなことでしょう。
・家庭用のパソコンが進化し、誰でもかんたんに動画を作ることができる
・インターネットが進化し、動画投稿サイトが多数存在する
・スマートフォンが進化し、どこからでも手軽に動画を閲覧できる
この3つが揃った結果、動画サイトでお金を稼げるようになり、そこにハイエナが群がる。テクノロジーの進歩に倫理観の成長が追い付いていない現代ならではの事象だと思います。
そして、そんな現代だからこそ、ぼくは言いたいのです。クリエイターをめざすなら、これから紹介する3つの提言を絶対に忘れないでください、と。
提言①クリエイターならコピペなんかするな
まず、ぼくがいちばん言いたいこと。動画投稿者も、広い意味でクリエイターです。元の提言者である登山ライターさんやぼくと、同じと言えなくもありません。一緒にはされたくないけど、仕方ないです。
それならば。
丸パクリなんかしてんじゃねーよ!
以前から何度も書いていると思いますが、ぼくは本を読むのが好きで、そして文章を書くのが好きでライターになりました。
基本的に、クリエイターっていう人種はみんな同じです。写真を撮るのが好きだからカメラマンになる。絵を描くのが好きだからデザイナーやイラストレーターになる。それが当たり前です。
ただ例外もあります。スポーツライターなど、特定の分野でのみ活動するクリエイターですね。
この場合、発信方法が好きというよりは、野球やサッカーなど、その種目が好きで発信する道に進んだケースが多いです。もしかすると、この登山ライターさんも同じかもしれません。
でも、みんな「好き」でやっている。そこは変わりません。そしてそういう人は、丸パクリなんて絶対にしません。
だって、自分の「好き」を発信したいんですよ。それなのに、誰かの作品のパクリで満足できるわけありません。
芸術は模倣から生まれるんじゃないの?
もしかすると、こんな意見があるかもしれません。でも、模倣とパクリは違います。
模倣は大事です。特に始めたての頃は、誰かの作品を“意図的に”コピーする必要もあるでしょう。
でもね。模倣にはルールがあるんですよ。「これは模倣です」と分かるようにやらなければいけません。
音楽に例えると分かりやすいかな。
たとえば去年、Adoさんの『アイドル』が大ヒットしたじゃないですか。
それをカバー曲として演奏する。これが模倣(コピーともいいます)です。
その全部、または一部を含んだ楽曲を、自分の新曲として演奏する。こっちがパクリです。
ちなみに、話ついでに書くと、近い言葉に「インスパイア」がありますね。
Adoさんの「アイドル」を大好きな人が、歌詞でも曲調でもアレンジでも「その人が感じた『アイドル』的な要素を盛り込んだ曲」を作る。これがインスパイア(影響を受ける)です。
カバーもインスパイアも、クリエイターとしては必然のことです。ミュージシャンなら音楽を、ライターなら文章を、好きでこの道に来たんだから。意図的に分かるようにカバーすることも、好きな部分を理解・分解・再構築して自分の作品に取り込むことも、当然の衝動です。
でも、パクリは違います。カバーやインスパイアとは、理論的にも精神的にも次元の異なる作業です。ぼくは絶対に許しませんし、認めません。
提言②“発信”する前にきちんと調べろ
これはクリエイターに限った話ではありません。公の場に何かを発表するなら、勉強が必要です。皆さんだって、会議や取引先への資料をつくるときは、いろんなデータを調べるでしょう。
ただ、クリエイターであるならば。不特定多数を対象にするならば。その分、責任はより重くあるべきだと思います。
意図的であれ無意識的であれ、嘘をまき散らすことは絶対に避けなければいけません。不勉強は言い訳になりません。
動画サイトに多数アップされている登山動画。その製作者のほとんどは、登山が好きで登山というジャンルを選んだと思います。
そういう人はあまり嘘をつきません。好きなものだからそれなりに詳しいし、発信する前に本やサイトを調べなおすことも苦にならないから。
でもね、中にはいるんです。金儲けのことだけ考えてジャンルを決める、クソみたいな奴が。そしてそういう奴は、登山や飛行機、船、そして戦争(歴史)を選びがちです。
要は、「死」が身近にあるジャンルが好きなんですよね。死をテーマにすると、視聴回数が増えてお金になるんでしょう。
どんな人でも、不特定多数に向けて発信するために動画を作ったら、クリエイターです。その作品でわずかでもお金を稼いだら、プロです。そうであるべきです。
それならば、きちんと勉強してください。いろいろな本やサイトを読んで、それらをまとめて「自分の意見」を発信してください。
提言③人の不幸で金儲けしようと思うな
クリエイターっていう仕事では、ポジティブなことを発信しなければなりません。これはぼくの信念です。
だって。ぼくの書いた文章で誰かが笑顔になる。ぼくが関わった作品が、わずかでも誰かの人生に役立つ。そうじゃなきゃ、お金をもらう資格なんてないでしょう。
昔の人は言いました。「他人の不幸は蜜の味」だと。
残念ながら、それは正しい。だから「死」を扱う動画の閲覧数は伸びやすい。お金になりやすい。そこにクリエイター“もどき”が群がる。そんな構図ができちゃっているのが悲しいです。
一応、書いておきますね。悲しい事故を誰かの人生に役立たせようと運営しているチャンネルもありますよ。そういう姿勢の製作者はすばらしいと思います。
でもね。
金儲けのためだけに、薄い知識やコピペで人の死を扱うのか。
誰かに役立ててもらうために、不幸な事故に真正面から向き合うのか。
こんなのね、見たらすぐに分かります。多分、なにかしらのクリエイターなら、ほぼ100%判別できるでしょうね。
なぜなら、一生懸命作られた作品には、必ず“愛”がこもっているからです。だから、クリエイターなら簡単に見分けられます。
目に見えない「愛」でごまかすな!
こんなツッコミもあるかもしれませんね。だから章立てて、きちんと書きます。
ぼくは「愛」という言葉に置き換えましたが、要するに人が作ったものには必ずメッセージがあるんです。逆に言うと、伝えたいことがなければ作品は完成しないんです。
たとえば、このコラムもそうです。
最初に、「クリエイターをめざす方に伝えたいことがある」と書きました。
もしぼくが、元記事を読んだときに、クリエイターをめざす“あなた”に伝えたい要素を感じなかったら……当然、このコラムは生まれませんでした。
でも、そうじゃなかった。ぼくも怒ったんです。そして、未来のクリエイターに伝えたくなったんです。
だからこのコラムが出来上がったんです。
さて。「誰かに伝えたい」というこの感情。どんな言葉で現すのが的確なのでしょう。ぼくは考えました。一生懸命、考え続けました。
そして出た結論が、「愛」です。
ぼくが憧れ続けて、追いかけ続けたライターという職業への愛。
ぼくの周りにたくさんいる、ことあるごとに助けてくれる各種クリエイターへの愛。
そして。ぼくが大好きなクリエイティブな仕事をめざそうという、ぼくから見たらかわいくて仕方ない夢を持つ“あなた”への愛です。
まとめ:覚えておいてください。これらはすべて大前提です
『ジョブリットメディア』というサイトでコラムを書くことになったとき、ぼくは自分で自分にいくつかの制約を課しました。「特定の業種によらない」こととかね。
その中に、「記名原稿にしない代わりに、感情的にならない」というのもありました。
でも、このコラムでは「愛」を10回も連呼するくらい、感情むき出しで書いています。
なぜか。ここで書いた3つのことは、クリエイティブな仕事をするうえで「大前提」にあるものだからです。
つまり、この3つができれば1人前とかいうものじゃないんです。プロとしてのスタートラインでさえありません。もっと、はるか手前にある、準備運動レベルのことなんです。
でもね、すごく大事ですよ。ウォーミングアップができないスポーツ選手なんていないように、心構えのできていないクリエイターなんて存在しえないのです。
最後に、もう一度書きます。
「愛」のないクリエイターはいません。クリエイターをめざす若い“あなた”は、ぜひ覚えておいてください。
ここまで感情だけで書いてきて、急に宣伝を挟むのも妙ですが……、これも自分で決めた制約なのでしれっと書きます。
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