以前、本カテゴリ「どんな仕事があるの?」の第1弾として事務職を紹介しました。
しかし、その中で紹介しきれなかった職種があります。
それが今回、紹介する「医療事務」。事務職の中でも病院などの医療機関に特化した職種です。
今回は仕事内容や一般的な事務職との違い、必要な資格や気になる年収など、医療事務を徹底的に解説していきます!
医療事務のステータス (ジョブリットメディア編集部調べ) | |
転職のしやすさ | ★★★☆☆ |
収入面 | ★★★☆☆ |
スキルアップのしやすさ | ★★★★☆ |
業界/職種の将来性 | ★★★★★ |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
医療事務ってどんな仕事?
先ほども書いたとおり、医療機関に特化した事務職が医療事務。
ここではその業務内容をかんたんに解説していきます。
医療事務の業務内容
受付
会計
患者対応
レセプト作成
まずはこれらを1つずつ、かんたんに解説していきます。
受付
医療事務と聞いて、もっともイメージしやすい業務の1つ。来院した患者さんの保険証を預かったり、申込書の記入をお願いしたり、受診課への案内をしたりする業務です。
また、初めて受診する患者さんに対しては、カルテの作成や診察券の発行なども行います。
会計
こちらも医療事務の代表的な業務。診療が終了した患者さんから料金を受け取る仕事です。
また患者さんにお薬が出ている場合は、処方箋のお渡しを行うほか、保険証の返却も会計業務の一種と言えます。
受付と合わせて、事務職というよりは接客業に近い業務です。
患者対応
こちらは医師の指示に従ってカルテの作成・入力を代行したり、診断書や紹介状といった文書作成の補助をおこなったりするほか、病室の手配や診療データの管理など医師のサポートをする業務。
医療機関では「クラーク」と呼ばれる役割で、特に大きな病院・クリニックほど重要性が高まります。
レセプト作成
レセプトは一般的に言う「レシート」、つまり領収書や受取書のこと。日本では全国民がなんらかの公的医療保険に加入しているため、医療費を患者さんの自己負担と公的保険の負担分に分ける必要があり、その計算・確認を行う業務をさします。
とはいえ、現代ではほとんどの医療機関がコンピューターで自動計算しているため、主な役割は入力ミスなどの確認作業。専門的ではあるものの、それほどむずかしい作業はありません。
年収は?転職難易度は?医療事務の魅力を解説!
ここからは誰もが気になる年収や転職のしやすさ、必要な資格・スキルを解説していきます。
今回も職業情報提供サイト『job tag』などのデータを参考に、医療事務職の特徴をチェックしていきましょう。
有効求人倍率
今回、使用するのは『job tag』内「医療事務」のデータ。
正確には厚生労働省が定める職業分類のうち、「医療事務員(調剤薬局を除く)等」の情報です。
2.00倍
(※数値は記事執筆時点のもの)
有効求人倍率は、求職者1人に対して募集が何件あるかをあらわすもの。つまり数値が大きいほど募集が多く、就職しやすいことになります。
そして医療事務の倍率は2倍なので、医療事務を志望する求職者1人に対して2件、求人がおこなわれているということ。
ちなみに厚生労働省が公表している2024(令和6)年11月の一般職業紹介状況によると、事務職(表では「事務従事者」)の求人倍率は0.44倍。
この数値と比較すると、大人気の事務職の中では比較的、転職難易度が低い職種と言えるかもしれません。
賃金
こちらも『job tag』のデータから抜粋します。
478.3万円
(※数値は記事執筆時点のもの)
令和4年度の日本人の平均年収は約458万円で、正社員に限定すると約523万円。それらと比較すると若干少なめではあるものの、大きく劣るものではないと言えそうです。
ただし、同じく『job tag』内の「一般事務」の年収は510.9万円。いわゆる「事務職」の想像よりは、ほんの少しではありますが年収が少ないとイメージしておくといいかもしれません。
労働時間
『job tag』から最後に抜粋するのは、1カ月あたりの平均労働時間。
一般的に事務職には、残業が少ない、休日出勤がないなどのイメージがあると言われますが、医療事務にも同じ傾向が存在するのでしょうか。
161時間
(※数値は記事執筆時点のもの)
1カ月の勤務日数を20日、1日の所定労働時間を8時間と仮定すると、1カ月の労働時間は160時間。
対して医療事務の平均労働時間は1時間多いだけなので、残業の少ない職種だと言えるでしょう。
また、一般事務の平均労働時間は163時間なので、このことからも労働環境には比較的、恵まれているのではないでしょうか。
将来性
「AIの進化でなくなる職業」の筆頭格とイメージされがちな事務職。実際のところ、総数は減ってもなくなることのない職業ではありますが、それでも不安に感じる方もいることでしょう。
しかし、医療事務の将来性を悲観する必要はほぼありません。AIの進化以上に高齢化が進む日本において、医療関連の仕事の需要は増え続けることが予想されるためです。
また自身の健康を不安に感じる患者さんは、AIによる正確でも機械的な対応より、人間によるあたたかみの感じられる接客を望む傾向にあることも、将来性を担保していると言えるでしょう。
そもそも、レセプト業務のように膨大なデータ処理を必要とする医療事務にとって、AIの進化はむしろ大歓迎。
AIの進化によってなくなるというよりも、進化とともに仕事しやすい環境が整っていく職種、とイメージするほうが現実に則しているではないでしょうか。
能力を客観的にアピール!医療事務に必要な資格を解説!
事務職の中では比較的、転職しやすい医療事務。しかし、やはり大人気の事務職の1つですから、そうかんたんにはいきません。
そこで役に立つのが資格です。
事務職の中でも医療機関に特化した医療事務では、その能力を客観的にアピールできる資格が多数、存在。今回はその中から、ジョブリットメディア編集部がおすすめするものをご紹介いたします。
まずはここから!難易度低めのおすすめ資格!
医療事務検定試験
医療事務技能審査試験
まずは医療事務に初めて挑戦したい方に向けた、比較的難易度の低い資格を紹介。
医療事務検定試験は病院勤務で任せられることの多い受付、会計、外来・病棟クラークなどの業務に役立つ資格です。
在宅で受験可能なうえ合格率も90.6%(2023年度)と高いので、まずはここからチャレンジしてはいかがでしょうか。
もうひとつの医療事務技能審査試験は、毎年約5万人が受験する人気資格。現場でのコミュニケーションや受付業務、診療報酬にまつわる事務などのスキルを持っていると認定されるので、就職/転職に非常に有利になります。
ちなみにこちらの合格率は60~70%程度。難易度はやや上がるものの、しっかり勉強をすれば充分に合格を勝ち取ることができるでしょう。
取得すれば待遇向上!?少しむずかしいけど役に立つ資格!
医療情報実務能力検定試験
診療報酬請求事務能力認定試験
すでに医療事務として活躍している方や、より高度なスキルを求める方におすすめなのが上記2つの資格。
どちらも診療報酬請求(レセプト作成)にまつわる資格で難易度は高いものの、取得していれば手当が支給されることもあり、昇給・昇進に繋がる重要な資格と言えます。
ちなみに医療情報実務能力検定試験には1級と2級があり、合格率はそれぞれ50%程度と60%程度。どちらもそれなりの難易度ですが、2級を取得してから1級をめざすのが王道パターンでしょう。
それよりもさらに難易度が高いのが診療報酬請求事務能力認定試験。年度によってばらつきはあるものの、過去10年の合格率は最高で48.2%(2023年12月)、最低は27.5%(2019年12月)となっています。
取得すればメリットは大きいものの、しっかりとした準備と経験が必要な資格だと言えるでしょう。
求められるのは“患者に寄り添える”人!
資格やスキル、経験以外で、医療事務に向いている人はどんな人なのか。
この項目ではヒューマンスキルに注目して解説します。
ホスピタリティマインド
コミュニケーション能力
丁寧さ
医療系の職種で絶対に欠かせないのはホスピタリティマインド、つまりおもてなしの心です。さまざまな不安を抱える患者さんに寄り添い支えられる人は、経験や資格を問わず大事にされることでしょう。
もうひとつ、コミュニケーション能力も重要な要素。医療現場には老若男女を問わず幅広い方が訪れるため、どなたにも合わせられる会話力が求められます。
最後は、事務職共通の要素とも言える丁寧さ。データ入力や金銭の管理など細かい仕事が多いので、真面目にこつこつと業務に取り組める人も医療事務に向いている人の特徴です。
自分に合ったルートをめざそう!医療事務のキャリアパスを紹介!
医療事務のキャリアパスには、大きく分けて3つのルートがあります。
まず1つめは医療事務を極めるルート。上記で紹介した資格を取得するなどしてレセプト作成のスペシャリストをめざすことになるでしょう。
もうひとつがさまざまな専門分野を横断した部署で活躍する総合職ルート。患者対応やレセプト作成にくわえ、主に医師をサポートするクラーク業務も高いレベルでこなす必要があります。
最後はトップとして医療事務課(部)などの組織を運営に携わる、マネジメントルート。自身のスキル・能力を伸ばすことはもちろん、新人の採用や育成、部下の育成などを担います。
3つのルートそれぞれに魅力やメリットがあるため、ご自身がめざす姿に近いルートを選んでください。
まとめ:一生、携われる仕事です!
前述のとおり、将来性に非常に優れた医療事務。同時に、患者さんやそのご家族、さらには同僚である医師からも多くの「ありがとう」をもらえる、やりがいにあふれた仕事でもあります。
また、その名称から一般事務へのステップアップをめざす方の受け皿としても人気を博す職種という側面も。実際、接遇スキルや電話対応、PC操作などは一般事務でも重宝される業務内容なので、志望企業からも高い評価が得られるでしょう。
あくまで事務職にしてはという注釈はつくものの、転職難易度も比較的低いので、興味のある方はぜひ、チャレンジを検討してください!
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