「どんだけ擦るんだよ!」と怒られるかもしれません。今回のテーマは(多分)3度めの『退職代行サービス』です。
あ、申し遅れました。私、魔王と申します。偉くも強くもすごくもないですが、好きなお酒の名前をつけたらこうなりました。紛らわしくて、すみません。
さて、コラム(と自分)の名前をつける前に書いていた記事で、はっきりと退職代行サービスをテーマに据えたのは下記の2つ。
>新卒入社から1週間で700人以上が利用!退職代行サービスのメリットとデメリットを紹介!
退職代行サービスのメリットとデメリット、そして最大限、有効に活用するために気を付けたいポイントを解説します。…
>あまりおすすめできない退職代行!サービス範囲は?違法性は?
哀しいことに、最近、存在感を増している退職代行サービス。でも、できれば使わないでほしいんです。じゃあ、どうすればいいの?…
特に2回めの記事ではメリット・デメリットまで含めてきっちり書き切ったつもりだったので、すぐにもう一度考えてみるつもりはありませんでした。
でも、とってもいい記事を見つけてしまったので、もう一回、アンコールみたいなものとして書いてみようと思います。
退職代行サービスの利用率は?
まず今回、参考にさせていただくのはマーケティングリサーチ会社であるアイディエーションによる調査結果『退職代行サービスに関する調査』という記事です。
~退職代行使うのは若手男性?退職代行サービスの利用実態とは~ マーケティングリサーチ事業を行う株式会社アイディエーション…
この中から、退職代行サービスにかんする結果を簡略的に抜粋していきます。
やっぱり“認知度”はめちゃくちゃ高くなってる!
退職代行サービスを利用するにあたり、大前提となる条件が2つあります。
まずひとつは、退職の意思。当たり前のことですが、退職しない人が退職代行サービスを利用することはありません。
そしてもうひとつが、そもそも退職代行サービスを知っていること。
あらためて書く必要はないかもしれませんが、認知度というのは非常に重要です。
そして、その調査結果は以下のとおりでした。
退職代行サービスの認知状況 | |
全体 | 62% |
20代男性 | 67% |
20代女性 | 75% |
30代男性 | 64% |
30代女性 | 57% |
40~50代男性 | 43% |
40~50代女性 | 48% |
(出典:株式会社アイディエーション|退職代行サービスに関する調査)
こうしてみると、やっぱり確実に認知状況は高まっていますね。これでは利用者が増えるのも当然です。
あれ?“利用率”は意外と低い!
認知度はしっかりと高まった。ニュースに取り上げられることも増えている。
じゃあ利用率もさぞかし高いのだろう……と思いきや、そうでもありませんでした。
まずは同じページから「利用状況」の結果をご覧ください。
退職代行サービスの利用状況 | |
利用者 | 14% |
検討はしたが 利用しなかった | 10% |
サービスは知っているが 利用していない | 60% |
サービスそのものを 知らなかった | 16% |
(出典:株式会社アイディエーション|退職代行サービスに関する調査)
なんと直近1年以内(2024年5月~2025年5月)に退職した方のうち、利用者は14%に留まるという結果でした。
正直、基準が分からないため多いと言っていいのか少ないと言うべきなのか定かではありません。ただ個人的には「思ったより少ない」と感じましたね。
でもね、もうひとつのデータを見て、納得できました。
年代別・退職代行サービスの利用状況 | |
20代男性 | 28% |
20代女性 | 13% |
30代男性 | 15% |
30代女性 | 13% |
40~50代男性 | 5% |
40~50代女性 | 4% |
(出典:株式会社アイディエーション|退職代行サービスに関する調査)
特筆すべきは20代男性。他年代をぶっちぎった数値になっています。
これはサンプル数による偏りの影響も考えられますけど、シンプルに「言いたいけど言えない」みたいな状況に陥りやすいのが20代男性ってことかもしれませんね。
ほら、よく言うじゃないですか。女性のほうがいざというときに肝が据わるとか、はっきり意見できるとか。
個人的な経験を踏まえても、なんか妙に納得しちゃいました。
退職代行サービスを頼みやすい“時期”とは?
さて、このデータで個人的にいちばんおもしろいと思った部分、というか、もう一度コラムにしようと思った部分を紹介します。
それが「退職代行サービス利用時の当時の会社の在籍期間」というデータ。
なんだかんだ言う前に、数値をご覧ください。
退職代行サービス利用時の 当時の会社の在籍期間 | |
1週間未満 | 18% |
1週間~1ヶ月未満 | 19% |
1ヶ月~3ヶ月未満 | 16% |
3ヶ月~半年未満 | 12% |
半年~1年未満 | 4% |
1年~3年未満 | 18% |
3年以上 | 12% |
(出典:株式会社アイディエーション|退職代行サービスに関する調査)
これらをまとめると、在籍期間が3カ月未満の方が過半数となる53%という数値になるんですね。
“超”早期退職に対する反応は?
ぼくはこの数値を見て
在籍期間が短いほど退職代行サービスを頼みたいと考える
⇒言い出しにくいのかな?
⇒後ろめたさを感じているのかな?
と考えました。
現代は転職を悪と捉えることはほぼありえない。
それに、就職・転職直後で関係性ができていないタイミングのほうが、上司や人事に対して退職を言い出しやすいような気もする。
なにより金銭的な余裕もない(はず)。
それなのに退職代行サービスを使うのは申し訳なさ・後ろめたさの現れかな、と。
でも、書いているうちにもう1つの可能性に気づきました。そう「引き止め」です。
「もう少し働いてみないと、合うか合わないか分からないでしょ?」
そう言われたときに、ロジカルに対応することがむずかしいから、代行サービスに任せちゃう。そんな可能性もあるかもしれませんね。
答えは“利用理由”にある!?
申し訳ないから。もしくは引き止められたくないから。
どちらが正解に近いのかを知るためのヒントも、この調査にありました。
それがこちら。「退職代行サービスを利用しようと思った理由」という項目です。
退職代行サービスを利用しようと思った理由 | |
辞める意思を伝える際に パワハラ/嫌がらせを受ける 不安があった | 34% |
即日で退職したかった | 25% |
直接会社に退職の意思を 伝えることに抵抗があった | 24% |
退職代行を利用すれば 確実に辞められると思った | 24% |
精神的に不安定で、 自力で退職手続きが できる状態ではなかった | 22% |
退職意思を伝えた後の 出社を回避したかった | 21% |
自分で退職手続きを進める 手間を省きたかった | 21% |
退職に関するトラブル (未払い給与/引継ぎ要求など) が心配だった | 19% |
上司や会社に引き留められる のが嫌だった | 18% |
退職手続きを スムーズに進めたかった | 18% |
家族/友人/同僚から 退職代行の利用をすすめられた | 18% |
(出典:株式会社アイディエーション|退職代行サービスに関する調査)
合計値が「100」を大きく上回っているので、複数回答可の設問でしょう。ということは、該当するものをすべて選べたはずです。
そんな中、圧倒的に多かったのが「パワハラ・嫌がらせが不安」という項目。
うーん、なるほど。
以前のコラムで書いたとおり幸せな退職経験しか持っていないぼくには、にわかには信じられません。
まあ、これは実際にあったかどうかではなく、あくまで「不安だった」ということなんでしょうけど……。それでもやっぱり悲しい結果ですね。
反対に、僅差ながら2位となった「即日で退職したかった」に関しては、ぼくはあんまりいいことだと思えません。これも以前、書きましたけど、辞めるべきかどうかの見極めができていない段階で確実に辞めちゃうってことですから(パワハラやセクハラを受けて即日、辞めたい! なら別)。
ほかに気になる要素は「出社を回避したかった」、「手続きの手間を省きたかった」あたりですかね。
この辺は考え方次第ですけど、ぼくだったらそれよりお金を取るかなあ、と素直に感じました。まあ、これらは単体の理由ではなく、ほかの理由との“合わせ技”なんでしょうけど。
“引き止め”はあんまり気にしてない?
いちばん意外だったのが「引き止められるのが嫌だ」という理由。複数、選べるのに18%しか選んでいないんだから、あんまり大きな理由にはなっていないように見えますね。
そして、これ自体は間違いなく“いいこと”ですよね。だって引き止めに対する恐怖や誤った認識が減っているんですから。
ぼく自身、引き止められた経験がほぼないことは、過去に書きました。同時に、こっちは初めて書きますけど、後輩くん/ちゃんが辞めるとなったときに引き止めたことはありません。
すごくドライな言い方になりますけど、辞めたい人を無理やり引き止めたところで、相手もぼくも会社も、誰も得しない気がするので。
ただ、退職を決意する少し前、悩んでいる段階で相談を受けたときは、場合によっては引き止めに近い言葉をかけたこともあります。
まあ「次を決めてから辞めたほうがいいよ」、「それまでは“やらなきゃいけないこと”だけやっときなよ」くらいの言い方ですが(笑)。
退職代行サービスを使っちゃうと、そういうアドバイスを聞く時間や、次を探す時間もなくなっちゃいそうなんですよね。ぼくが一貫してこのサービスを否定的に見る記事を書いているのは、結局のところここに尽きます。
まとめ:データ上、男性は情けない!
ちょっと時代遅れなこと書きますけど、このデータを見ていて感じたのは、男性が情けないなということ。
最後に、「今後の退職代行利用意向」という数値を確認したいと思います。
これを見ると明らかに男性のほうが「利用したい」の割合が多いんですよね。
同時に、年齢が上がるほど「利用したくない」が増えるのも男性なんです。
ここから分かることは、若い男性は「自分ではっきり言えないから、退職代行を利用したい」。だけど年を取ると弱い自分を見せたくないという見栄もあってか「検討さえせず利用しない!」へと振れてしまう。ぼくにはそう見えます。
それって、すごくかっこわるくないですか?(笑)
正直、ぼくとしては薄いピンクの「場合によっては利用したい」が圧倒的に多くあってほしいんです。ケースによっては利用すべきだと思うのと同時に、そうじゃないケースも確実にあると思っているので。
使い方次第では非常に便利なサービスをケースバイケースで使い分ける。
そんな選択をしていただきたいものです。
そして、転職の決意が固まったそのときは……『ジョブリット』で新たな職場を探してください!
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