ジョブリットメディアにおいて、「社会人の役に立つコラム」を執筆するZ世代の新米ライター“品本 芽生(しなもと めい)”。
その記事における名(迷?)物作品が、スライム・芽生と北海道のウサギの“知識のかけら”を巡る冒険を記した『スライムは転生してもやっぱりスライムだった件(通称・スラ転スラ)』です。
長らく連載が続き、佳境を迎える本作を年末の特集として、5本立ての総集編でお送りいたします。
今回、前半部分では完全書き下ろしの転生前日譚を公開!
ここから読めば“あなた”もスラ転スラの世界観が分かりますよ。
それでは本編へどうぞ!
Lv:1のスライム

重く暗い雲と鬱蒼とした森、豪勢な屋敷に囲まれた魔界。その中心にそびえ立つ魔王城には、酒と強くてかわいいモンスターをこよなく愛する魔王が暮らしていた。目的は世界征服……ではなく、“ライター界の頂点に立ち、すべての物書きを屈伏させる”という大それたもの。そのため、世にはびこる名ばかりの“WEBライターもどき”には厳しくあたっていた。
そんな魔王の配下にLv:1のスライムがいる。彼女の名は芽生。主を敬愛し、その役に立てるように日々の業務を真面目にこなして……いるわけもなく、今日も今日とて適当に働いているのであった。
なにせ、低レベルのモンスターに任される仕事は掃除やおつかいといった、いわゆる“雑用”ばかり。残業が少なく、家でゴロゴロしながら漫画を読んだりゲームをしたりできるのはありがたかったが、やる気など出るはずもなかった。
雲の上の存在
「おい、芽生」
「は、はいッ!」
突然、声を掛けられた芽生は、ほうきを床に落としそうになった。振り返るとそこにいたのは上司であるトロール。普段とは違う改まった様子に、何を言われるのかと芽生は固唾を呑んだ。
「魔王さまがお前をお呼びだ。今すぐ魔王さまのお部屋へ向かえ」
「……え!? 魔王さまが、私を!?」
通常、レベルの低いモンスターは、魔王の姿を見ることさえない。ましてや呼び出されるなど天地がひっくり返ってもありえない話だった。特に秀でたところの無い一般的なスライムである自分をなぜ呼び出したのか。芽生には見当もつかなかった。
しかし、何かが変わる。そんな予感がしていた。
初めての出会い
魔王城の最上階にある大きな扉。その先に入れる者は強くてかわいいモンスターのみで、下級モンスターは扉を拝むことさえ叶わなかった。
だが今、Lv:1のスライム・芽生は確かに扉の前にいる。恐る恐る3回、ノックをしたところ、重々しい扉は勝手に開いていった。
「よく来たな」
広い部屋に相応しい大きなデスクと玉座。そこでは、見るからに恐ろしいモンスターがパソコンを叩いていた。
「あなたが……魔王さま……」
想像していたよりもずっと威厳溢れる賢そうな顔をした魔王に、芽生はその場に跪いた。
「面を上げろ」
その声に顔を上げると、魔王はニヤリと笑った。
「お前に問おう。ライターにとって最も必要なものは、なんだ?」
始まりの日
突然の問いに芽生の思考は停止した。パソコンに触れたことさえない、正確には触れる手さえ持たないスライムに、ライターの心得など分かるはずもない。
しかし、黙っていては何も始まらない。震える身体を叱咤しながら、芽生は口を開いた。
「ラ、ライターにとって必要なのは……読み手のことを考えて文章を作る、その心構え……ではないでしょうか?」
当てずっぽうな回答。これが魔王の望む答えなわけがないと芽生は俯いた。
2人の間に沈黙が走る。その時間は何時間にも感じられるものだった。それを破ったのは魔王の満足そうな表情だった。
「名はなんという」
「え? ……私は芽生と申しますが……」
「芽生。明日より我の下で働いてもらおう」
魔王の言葉に、芽生は目を瞬かせた。憧れの人の下で働ける。その言葉を理解すると同時に跳ねて喜んだ。
「はい! よろしくお願いします、魔王さま!」
こうして、Lv:1のスライム・芽生の物語は幕を上げた。
初めての仕事
未経験者である芽生に足りないのは“基礎知識”。そこで、魔王は芽生のためにライターの“いろは”を教えていった。
そして1週間後、乾いたスポンジのように知識を吸収していく芽生に魔王は1つの仕事を与えた。
それは「ここまで教えた内容を報告書にまとめろ」というもの。再び発せられた思いもよらぬ言葉に芽生は張り切り、3日かけて初めての原稿を書き上げた。
すると魔王はおもむろに赤ペンを手に取り、原稿に修正を加えた。実に31カ所。真っ赤に染まる原稿用紙を手渡され、芽生は落ち込んだ。きっと、魔王さまは呆れているに違いない。そんな絶望が全身を貫いた。
しかし、魔王は笑いながら言った。
「初めての割によくがんばった! これからは我の手足となって働くがいい!」
一体どこを認めてもらえたのか。分からぬまま芽生は、見習いライターを名乗ることになった。
学びの日々
それから、芽生は魔王に言われるがままに仕事をこなしていった。
あるときは『成長への近道』を調べ、またあるときは『センスってなに?』と自問自答し、そのまたあるときは『不真面目』についてクソ真面目に考えた。
何が正しいのか分からないまま。それでも芽生は進み続けた。気づけば、レベルは4まで上がっていた。
しかし、平穏な日々は突如、終わりを告げる。『不真面目』の報告書を手渡された魔王は、真剣な面持ちで芽生に語った。
「お前に決定的に足りないもの。それは“遊び心”だ」
そこから、すべては始まった――。
(ここからはコピペです。話が繋がりきっていない部分があるかもしれません。正直、私にも分かりません。とにかくコピペしていきます。辻褄が合わないところはみなさんの創造力にお任せします。よろしくお願いいたします)
Lv:4のスライム(成長日記5)

魔王から「不真面目について真面目に考えてみろ」という試練を与えられた、Lv:4のスライム・芽生は勇者Googleとの戦闘の末、真面目と不真面目についての情報を得ることに成功した。
意気揚々と魔王城(会社)に情報を持ち帰り、報告書(コラム)を提出した芽生だったが、魔王は「違う!!」と激怒。
魔王が求めていたのは不真面目について記載された報告書ではなく、この堅物なスライムがもっとゆるゆるに不真面目な、いわば“ゆるキャラ”に進化できるかを提案する企画書だったのだ。
どうしたら最弱モンスターのスライムがみんなに愛されるゆるキャラになれるのか。その謎を探すべく、全国各地で愛されるゆるキャラ一同に会うために再びダンジョンへと向かうのであった。
5話の後日談
新たな報告書もとい、企画書を読んだ魔王は満足げに笑った。
魔王「おめでとう。我が思う不真面目の形にたどりついたようだな」
芽生はきょとんとした後で、その言葉の意味を正しく理解し、ダンジョンの奥地で出会い、ともに戦い、友情をはぐくんだ全国のゆるキャラたちと抱き合い喜んだ。
北海道のウサギ「おめでとう」青森のタカ「おめでとう」岩手のサケの赤ちゃん「おめでとう」宮城のワニ「おめでとう」山形のブタ「おめでとう」茨城のフクロウ「おめでとう」群馬のポニー「おめでとう」栃木のイヌ「おめでとう」愛知のキツネ「コンコンッコン」滋賀のネコ「おめでとう」和歌山のパンダ「おめでとう」熊本のクマ「おめでとう」鹿児島のライオン「おめでとう」
奈良の神様とその遣い「おめでとう」
芽生「ありがとう」
勇者Googleにありがとう。
“生真面目”にさようなら。
そして、全ての読者達(リーダーズ)に
おめでとう。
Lv:6のスライム(成長日記7)

Lv:6のスライム・芽生は、ダンジョンを包み込んだ“夏フェス”という名のビッグウェーブにあらがえず、音楽の魔力に吞まれた。芽生は魔王城(会社)に戻るなり、音楽が体にもたらす4つの効果についての報告書(コラム)を片手に、好きな音楽について就業時間のあいだ、ずっと“魔王”に語り明かした。
「仕事以外の話はずいぶんと楽しそうにするんだな」
魔王は呆れかえり、スライムに一つの呪いを施した。
「ま、魔王さま、一体何を……!」
「口を開けば、音楽、音楽、音楽! うるさくてたまらん。お前には仕事のこと以外、一切口にできなくなる呪いをかけた。解いてほしくば、お前の思う『理想の上司』についてまとめてこい‼」
芽生は無言で頷き、ノートパソコンを担ぎ、前回と同様にゆるキャラの助けを借りるべくダンジョンの奥地へと足を踏み入れるのだった。
7話の後日談
「ふむ……」
魔王は『理想の上司』について書かれた報告書を片手に満足げに笑った。
「よくやったな。約束通り呪いを解いてやろう」
「ありがとうございます!」
呪いを解いてもらい、これで自由の身だと喜ぶ芽生。さっそく、帰ってゲームでもしようかと思っていると、魔王に呼び止められた。
「ところで、最後の一文だが、我にこの報告書をプレゼンしてどうするつもりだったのだ」
「え? もちろん、魔王さまに『理想の上司』になってもらおうと思っていましたが。それが何か?」
自分は何かおかしいことでも言ったのかと首をかしげる芽生の前で、報告書は無残にもチリとなって消えた。
「我に『理想の上司』を押し付けるとは、おもしろい! 今度はその小生意気な口を縫い付けてやろう!」
「も、申し訳ございません! 勘弁して~!

その夜、周辺のモンスター(ゆるキャラ)たちは耳を覆うほどの断末魔を聞いたという。一瞬の後、その音は収まり、魔王城には永遠の静寂が訪れるのであった。その後、魔王城周辺でLv:7のスライムを見たゆるキャラはいない……。
果たして、芽生はいったいどんなモンスターに転職(進化)したのだろうか。
(スライム・芽生の冒険は終わりました!品本芽生先生の次回作にご期待ください!)
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