皆さん、従業員エンゲージメントという言葉を聞いたことはありますか?
婚活などでも使われるこの言葉をかんたんに説明するなら“結びつき”。あえて「従業員」に限定する場合は、会社に対する愛情や、仕事に対する意欲が高いと“エンゲージメントが高い”となります。
さて、今回、気になった記事はこちら。DIAMOND Onlineさんの『なぜ、従業員を大切にしているはずの日本企業のエンゲージメントが世界最下位で、米国のほうが高いのですか?』です。
「構想力・イノベーション講座」(運営Aoba-BBT)の人気講師で、シンガポールを拠点に活躍する戦略コンサルタント坂田幸…
おおざっぱに要約すれば、
・日本企業は配属、異動、転勤といった意思決定を会社中心で行う
・幸福に影響を与える「自己決定」が満たされにくい
・対して海外企業は会社と従業員が対等な契約関係にある
・これからは上下関係ではなくパートナーとして関係を再定義する必要がある
こんな感じでしょうか。
今回はぼくこと“魔王”が、従業員エンゲージメントが高まらない理由と、企業側・従業員側を問わず今後やるべきことを考えていきたいと思います。
エンゲージメントが高まらない理由

いきなりですが、皆さん、下記チャートをご覧ください。
1.会社の指示どおりに働く
2.会社の指示が多いが自分の裁量もある
3.会社の指示と自分の裁量が半々くらい
4.自分の裁量が多いが会社からの指示もある
5.自分の裁量で働く
皆さんの働き方って、5段階のうち、どこに当てはまると感じていますか? ぼくの想像では、1か2が多くて3は少なめ、4以上は超レアケースだと思うんです。
そして、そんな状態だとエンゲージメントは高まらない、そう感じる方が多いと想像しています。
でもね、アメリカだってどこだって、大体2と3が多いと思うんですよね。ただ、それでもエンゲージメントは高い。
じゃあその理由はどこにあるのか。もっと言えば日本企業ならではの弱点はなんなのか。そんなところから考えていきたいと思います。
個人的には日本企業の弱点=日本の従業員エンゲージメントが低い理由は下記の2つが大きいと思っています。
1.旧来の体制の名残
2.給与への不満
改めて書きますが、すべてぼく個人の意見です。あらかじめ、ご了承ください。
旧来の体制の名残
バブル崩壊後、日本企業が苦しみ続けている原因の多くは、ここに集約されている。個人的にはそう思っています。
旧来の体制とはとどのつまり終身雇用とメンバーシップ型雇用ですね。
一度、入社すれば基本的にクビにならず、定年まで勤めあげられる。その代わり、会社の業務全体を把握するゼネラリストとしての教育を受けていく。
この体制と勤勉で我慢強い国民性が合わさった結果、日本は戦後の混乱から40年足らずで「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と呼ばれる経済成長を成し遂げました。
だから、どちらも決して悪いことばかりではありません。ただ、現代の20代・30代の考え方とはズレが大きいせいで、エンゲージメントが上がらないのでしょう。
改善できる?
終身雇用は事実上、終わっています。厚生労働省の調査結果をご覧ください。
この離職率を見れば、会社の制度や法律がどうであれ、終身雇用の時代は終わったと言っていいでしょう。
もしかすると若者ほど、「働きたい会社で働く」という理想を実現しやすい時代かもしれません。
ただ、メンバーシップ型雇用はまだ残っています。というか、残さざるを得ません。なぜなら、年を重ねるほど昇給するシステムですから。若いうちに安くこき使った人たちに対して、「時代が変わったから給与を下げるね」なんて、言えるはずがありません。
一部の大手企業はジョブ型をミックスさせた「日本式ジョブ型雇用」を運用していますが、すべての企業が追随するには時間がかかりそう。
両方を併せて考えると、エンゲージメントの劇的な向上は望みにくいかもしれません。
給与への不満
先ほどが理念・観念的な理由なら、こちらはストレートに経済的な理由です。
日本は不景気だと言われ続けていますが、その一方で企業の内部留保金は13年連続で過去最高を更新し続けているんですよね。
いくら業務にやりがいがあっても、給与に反映されなければエンゲージメントなど上がるはずがありません。
改善できる?
正直、先ほど以上に改善が難しそうなんですよね。
というのも、日本って一度給料を上げてしまうと、下げにくいんですよ。だから安易に上げられない。
また、経営者の多くはまだ2009年のリーマンショックの記憶に囚われています。だから、セーフティネットとして大量のお金をキープしたい。
その気持ちは分かりますよ。でもね、はっきり言って、これは悪手です。
日本企業が日本国内だけから物資を集めて、日本人だけを相手に商売するならいいんです。でも、現在進行形でインフレと賃上げを繰り返している世界の企業と戦っていく以上、いち早く給与を上げていかなきゃいけないはずです。
これまた大手企業限定で、「飲食店の店長に年収1,000万円!」とか「初任給30万円!」などの施策を始めたところもあります。ただ、大多数の企業が追随するようになるまで、まだまだ時間がかかりそう。
そういう意味で金銭的なエンゲージメントは二極化する。つまり、トータルではそれほど向上しないのではないでしょうか。
企業側がやるべきこと
先ほども書きましたけど、まずは賃上げでしょうね。
ただ、それ以外にもお願いしたいことがあります。それは、企業の姿勢だけでも「ジョブ型雇用」に近づけること。
つまり、会社と従業員の関係性を対等にすべきではないでしょうか。
「仕事に必要な人材を採用する」ジョブ型雇用だと、労働者(≒従業員)が下という構図になりにくいんです。企業が欲しているスキルを提供してあげる立場ですからね。
じゃあ会社の立場が弱いかというと、そうでもありません。業務内容と給与に納得したから選んだんだろ、となりますので。
そして、この対等な関係性がエンゲージメントに大きく影響してくるんだそうです。
関係性とエンゲージメントについて
さて、最初に書いた5段階のチャートを再提示します。改めて、ご自身がどの段階なら会社や業務に対して愛着を持てそうか、ぜひ考えてみてください。
1.会社の指示どおりに働く
2.会社の指示が多いが自分の裁量もある
3.会社の指示と自分の裁量が半々くらい
4.自分の裁量が多いが会社からの指示もある
5.自分の裁量で働く
多分ですけど、日本だと4くらいにならないと胸を張って「愛着がある」とは言わないのではないでしょうか?
でもジョブ型雇用だと2でも満足できそうなんですよね。自分のスキルを活かして働くわけだし、業務内容に納得して契約した状況で、多少なり裁量をもらえるわけですから。
アメリカと日本のエンゲージメントの差の要因の1つはこのあたりにある。そう考えるのは、ぼくの勘違いでしょうか。
従業員側がやるべきこと
一方、従業員側が改めなければいけないと思うのが、会社に対する「甘やかし」なんですよね。
たとえばブラック企業とか、あとパワハラ・セクハラとか。
もちろんやるほうが100%悪くて、被害者に落ち度はありません。どちらかというと周囲の人間が見て見ぬふりをしたり、一緒に声を上げなかったことが、会社側を調子に乗らせたと感じているんですよ。
悪いことは悪いと言う。嫌なことははっきり断る。
そんな当たり前が通じる世界にするには、こちら側がきちんとした言葉と行動で見せていく必要があるのかもしれません。
辞めてもいい!
「この会社を辞めても次がない…」そんな不安から声を上げられない方もいらっしゃるでしょう。
でも、現在の転職市場は空前の売り手市場です。人生を左右する選択なのでおいそれとは言えませんけど、求人サイトで働く会社員という立場から「意外と次があるものですよ」とは伝えたいですね。
それにね。
「別れたら生きていけないから…」なんて消極的な理由の恋愛は、理想的ではないと思うのです。
そうではなく、一人でも生きていける、別れたって大丈夫。だけど、一緒にいたいから一緒にいる。そんな関係性を会社と築いていただきたいわけです。
……などと独身の魔王くんが書いていることの滑稽さは無視してくださいね(笑)。
まとめ:対等じゃないと関係性は深まらない

従業員エンゲージメントは、一方だけの努力で解決できるものではありません。
会社は会社で、時代にあった付き合い方を模索しなければいけません。ぼくら側も、会社に依存するのではなく、自立できるけど一緒にいることを選ぶ、と言い切れるだけの自信と実力を持つ必要があります。
日本人って謙虚ですけど、みんな結構すごいんですよ。ぼくがすれ違ってきたどんな職種の人たちだって、少なくともどこの会社でもそれなりに活躍できる人ばかりでしたよ。
それに、「それなり」だっていいじゃないですか。満足度さえ高いなら、ね。そっちのほうがはるかに大事だと思います。
企業が変わるのが先か、労働者の意識が変わるのが先か。
「鶏と卵」みたいな話だからどっちが先かは分からないけど、お互いが対等な立場でお互いを選び合う時代が来ることを願っています。





