会社員にとって避けて通れないのが退職。厚生労働省の調査によると、2024(令和6)年の12カ月で約720万人の方が退職を選択し、そのうちフルタイムで勤務する「一般労働者」は約423万人でした(出典:厚生労働省『令和6年 雇用動向調査結果の概要』1.入職と離職の推移より)。
転職は人生の分岐点ですから、決めること自体、とてもエネルギーを使うことでしょう。しかし、その後にもうひとつ、大きな決断を迫られます。
それが退職日をいつにするか。
今回はフィナンシャルワールド様の『退職日で悩んでいます。失業手当や社会保険料のことを考えると、月末退職と締め日退職どちらが得ですか? 損しない退職日を知りたいです。』という記事を参考にしつつ、もっとも得をする退職日を解説していきます。
退職を決めたあと、意外と迷うのが「退職日をいつにするか」という点です。月末のほうが区切りはいいようにも思えますが、社会保…
退職日による有利・不利

一般的に退職日として選ばれやすいのは締め日と月末ではないでしょうか。これを書いているぼくこと“魔王”くんは過去に3回、退職をしていますが、いずれも月末退職でした。
ただ、上記の記事を読むと、この選択は間違っていたかもしれないと考えたんですよね。
同時に、フィナンシャルプランナーというお金のプロによる記事な分、ちょっと頭にはてなマークが浮かんだことも事実でした。
そこで改めて制度を調べ直し、ベストな退職日を考えてみました。
なぜ損や得がうまれる?
なぜこの記事が「得(または損)をするタイミング」について語っているのか。
それは、会社員として働いている方は、いわゆる「社会保険料」の一部を会社に負担してもらっているからです。
そして、月末時点で会社の社会保険に加入していない場合、上記のうち健康保険と厚生年金は国民健康保険(国保)と国民年金に切り替えて、全額を自分で支払う必要があります。
つまり……
一般的にベストな退職日は月末!
厄介なのが、社会保険料に「日割」という概念は存在しません。
また、労災保険はそもそも全額会社負担なので、国民年金や国保への切り替えを考慮しても、負担額としては増大することになります。
なので、一般的には月末に退職したほうが、自己負担が増えにくくなります。
ただ、例外もあるので、紹介しますね。
例外1:すぐに転職する場合
前の会社の退職翌日にすぐ再就職する場合は、何日に退職しても、得も損もありません。健康保険・厚生年金とも資格は連続するため、国保や国民年金に加入する必要がないからです。
例外として、前の会社と新しい会社、2社から社会保険料を天引きされる「(一時的な)二重払い」が起こるケースがあります。
しかし、社会保険料は「月末に在籍している会社」が納めるのがルール。前の会社で誤って引かれた分は、後日、前の会社から返金を受ける形になります。手続きについては、新しい会社の担当者に「同月入社」であることを伝えたうえで相談するとスムーズでしょう。
例外2:退職月と6カ月前の給与に差がある場合
逆に退職後、すぐに就職をせず、失業保険の受給を考えている場合の例外です。
ここで大事になるのが「基本手当日額」。これはハローワークから受給する失業保険の基本単位になるもので、過去6カ月分の給与(賞与は除く)を180で割った金額のことです。
そして、問題は「過去6カ月分の給与」の対象月。
話を分かりやすくするために、3月末日(31日)に退職する場合と、3月30日に退職する場合で考えましょう。
ここで比べるべきは退職日次第で変動する前年9月と当年3月の給与。支給額が多い月を残したほうが、基本手当日額が上がることになります。
大きな例外:ボーナス支給月
ある意味、ここが本題です。場合によっては労働者が(一時的に)それなりの金額、得をするケースがあります。ぜひここだけはご覧ください。
賞与(ボーナス)の支給月に退職する場合、月中の退職をおすすめします。
というのも、先述のとおり、月末にその会社に在籍していない場合、国保と国民年金を自分で支払う分、ボーナスから天引きされる社会保険料がゼロになるからです。
「でも2つを自分で払うんだから、意味ないのでは?」
そう考える方もいらっしゃるでしょうから、詳しく解説しますね。
社会保険料の負担額
年齢や収入、加入している保険の種類によっても変わりますが、一般的に社会保険料の自己負担率は15%前後です。
つまり、月給が30万円の方であれば4.5万円程度が給与から引かれていることになります。
そして、この社会保険料はボーナスからも同じように引かれます。2カ月分の賞与と仮定して60万円が支給されていた場合、その金額は9万円程度になるわけですね。
国民年金・国保の負担額
先ほども書いたとおり、月の途中で退職した場合は、国民年金や国保を自分で支払うことになります。
厚生労働省が発表した令和8年度の国民年金保険料は17,920円、令和9年度で18,290円。
もうひとつの国保は年収によって大きく異なるので、簡単に表にまとめましょう。
(※40歳未満、単身世帯、都市部を想定して算出。実際の保険料は年齢や世帯構成、自治体により大きく異なります)
ちなみに、ここでいうところの「年収」は、前年の1月~12月の支給総額です。
賞与の扱いは?
3月30日に退職した場合、国保と国民年金は1カ月分、自分で支払う必要があります。一方で、会社で加入していた厚生年金や各種保険は支払う必要がなくなります。
つまり、4月の給料日に支払われる3月分の給与からは住民税や所得税しか引かれなくなります。
そして、もっとも大事なこと。
これは賞与も同じです。むしろ、賞与から住民税は引かれないので、所得税(と、あれば復興特別所得税など)しか引かれません!
では、実際にどのくらいの金額を支払う必要がなくなるでしょうか。
先ほどの年収例を16で割って、2カ月分の賞与をもらったと仮定した場合の金額が下記となります。
続いて、国民年金・国保負担額と合わせて、どのくらい「得」をするのか計算しましょう。
(※浮いた社会保険料-国保負担額で算出)
ちなみに、賞与をもらった月の途中に退職し、その翌日に新しい会社に入った場合でも、こちらは有効です。入社日を翌月に回す必要はありませんので、ご安心ください。
損はないの?
本来、引かれるべき社会保険料を払ってないのなら、どこかで損をすることになるのでは?
そう考えた方、非常に鋭いです。そのとおり、まったく損をしないわけではありません。ボーナスにかかる厚生年金の代わりに“安い”国民年金を支払うため、将来の年金支給額が“わずかに”減ります。
あくまで現在の計算式(ボーナスの0.5481%相当が将来、年金に上乗せされる)で簡易的に算出した場合、影響は下記のとおりです。
現在の制度がこのまま続くと仮定した場合、年金は2カ月分を同時に受給するため、1回あたりにもらえる金額は342円~1141円程度減ることに。
ちなみに、どのパターンでも一時的に得をした金額を上回るには16年強、かかる計算になります。
要注意!
注意点として挙げておかなければいけないのが、会社のボーナス支給に関する規則。
多くの場合「支給日に在籍していること」が条件ですが、「支給月の月末に在籍していること」と規定していることもありますし、そもそも退職を報告している社員には支払わない会社もあります。
もし、ボーナス支給月に退職しようとお考えの方は、就業規則を再度確認しておきましょう。
まとめ:退職日はどうすべき?

調べたところ、浮いた金額は年金で辻褄を合わされちゃうという夢も希望もない結果になりました。年金受給から16年強ということは、65歳からもらった場合は81歳~82歳で損益分岐点が来てしまい、それ以上、受給期間が延びれば月中での退職のほうがトータルではマイナスになるわけですからね。
ただ、年金額を増やすことが必ずしも正解とは限りません。
というのも、基本的に物価は上がり続けるもの=お金の価値は下がり続けるもの。極端な話、50年後には今の1万円は5,000円程度の価値しかないかもしれません。
一応、年金には物価スライドといって、インフレやデフレに対応する仕組み自体はあるんですが、目減りのほうが大きいのが現実ですし。
将来の備えを軽視するわけではないけれど、先にお金をもらっておいて、NISAや値崩れしにくい金(ゴールド)などの投資に回すのも選択肢の1つです。
それでも。
今回、紹介した方法は、決して違法・脱法ではありません。正しい運用方法です。
選択肢は多いほどいい、が持論のぼくとしては、こういう方法もあるよと提示したうえで、皆さんの状況に合った方法をご選択いただきたいと思っています。
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