退職代行サービスに対する「酷い記事」を読んでしまった。

基本的に、このサイトでは特定の企業、サイト、個人を責めたことはないはずです。ただ、今回はちょっとだけ、批判的な内容です。

悪意や個人的な好き嫌いではないことは、お読みいただければ分かるはず。これはひどすぎる放置できない。そう思ったからであって、批判したくて批判コラムを書くわけじゃないことをご理解いただければ幸いです。

今回、あまりにもひどいと感じたのは、Yahooトップで見つけた東洋経済ONLINE様の「「弁護士法違反の前に、『退職代行』ってどうなの?」 「モームリ」社長逮捕で再燃したモヤモヤ…退職代行に人々が抱く”大きな誤解”」という記事です。

東洋経済オンライン

この数日間、“退職代行”をめぐる多くの記事を見て、言語化しづらいようなモヤモヤを感じた人は少なくないでしょう。まず2月3…

ここ最近、退職代行サービスを扱うことが多いですが、こういうご時世ですので、そちらもご了承いただければ幸いです。

[関連記事]
ジョブリットメディア|ジョブリット

退職代行サービス「モームリ」運営会社代表らの逮捕報道を受け、事件の背景と非弁行為の問題点、今後の退職支援サービスのあり方…

ジョブリットメディア

2025年10月22日、警視庁は退職代行サービス「モームリ」を運営する株式会社アルバトロスを、弁護士法違反の疑いで家宅捜…

ジョブリットメディア|ジョブリット

哀しいことに、最近、存在感を増している退職代行サービス。でも、できれば使わないでほしいんです。じゃあ、どうすればいいの?…

記事の概要

まずは記事を要約してもらいましょう。

いつもなら要約には対話型AI『Gemini』か『ChatGPT』を使うんですが、前者はURLをそもそも読み込めない、後者は普段なら読み込めるものの、このサイトはアドブロック機能のせいで読み込めないと言われたので、今回は私の相棒『Claude』にコピペしたうえで、極力シンプルに要約してもらいました。

記事の要約:
退職代行「モームリ」社長が弁護士法違反で逮捕。民間業者は退職の「通知」のみ可能で「交渉」は違法。
退職代行はハラスメント被害などでは必要だが、利用歴が記録に残り採用時の調査対象になる可能性や、最悪懲戒解雇のリスクもある。
ただし退職代行利用増加の背景には、企業側のガバナンス不全やコミュニケーション不足もある。

Claudeによる記事の要約

これだけ読むと、特に問題はないですよね。

では私はどこに大きな問題を感じたのでしょうか。

6つの問題点

関連記事として3つリンクを貼りましたが、このほかにコラム内で触れたものは多数あります。そのくらい、私こと“魔王”は、退職代行サービスというものに強い関心を持っています。

そんな私から見た、引用記事の大きな問題点は2つ。

そして冷静な判断をもらおうと思って対話型AI・『Claude』に聞いたところ、挙げてくれた問題点が4つ。

計6つを紹介・解説していきます。

Claudeが挙げた問題点

この記事、確かにいくつか気になるポイントがありますね。私が特に注目したのは:
1. 論点の整理は良いが、結論が曖昧
記事は「法律違反の問題」と「社会通念上の是非」を分けて考えるべきと主張していますが、最終的に「どう考えるべきか」という明確な結論を避けているように感じます。
2. 「データが残る」という脅しのような記述
「退職代行を利用したデータが残る」「企業が調査を依頼するケースが増えている」という部分。これ、実際にどれだけ一般化しているのか、根拠が薄い気がします。雇用前調査で退職代行利用歴を調べるのは、個人情報保護の観点から相当グレーなはずです。
3. 企業側への批判が最後に申し訳程度
「企業側にも反省・改善すべき点がある」と最後に付け加えていますが、記事全体のトーンは退職代行利用者に対してかなり否定的です。ハラスメントや劣悪な労働環境から逃れるために使わざるを得ない人々への共感が薄い。
4. 「モームリ」のビジネスモデル批判と法律違反を混同
2万2千円が高いか安いかという議論と、弁護士法違反は別問題のはずですが、記事ではこれらが曖昧に結びつけられています。

Claudeによる記事の問題点

まずはこれらをかんたんに私の視点で解説します。

曖昧な結論

まあ、これに関しては仕方ないかなと思います。コラムって文字数も限られますし、断定しすぎて「上から目線」になったらいやでしょうし。

脅し

私の視点とは違いますけど、これは大問題ですよ。根拠のない批判ですからね。

日本だと芸能人であれ文化人であれ政治家であれ、何かで叩かれ始めると「何を言ってもいい」みたいな空気になりませんか? あれ、すごく不思議です。

ちなみに、私はこことは違う部分で、同じことを感じました。そちらは後で触れます。

企業への批判

私も前回の記事の最後に書きましたけど、こういうサービスが拡大したのって、それだけ従業員に不当な圧力をかける会社が多かったことの裏返しなんですよね。

本当にユーザーや読者のことを考えるなら、なによりもその事実を大きな問題として取り上げてほしかったです。

批判の混同

ここは正直、私自身はまったく気づかなかった部分です。言われて読むとそう思えなくもないと感じたけど、気づかずに読んだ人間があれこれ書くのは卑怯だと思うので、Claudeが取り上げたという事実だけを残して筆を置きます。

私が感じた問題点

1. 不安を煽る記述
2. 法律・ルールを無視した警告

どちらも似たようなものに見えるかもしれません。でも、ちょっと違うんです。なので順を追って説明します。

不安を煽る記述

私が特に気になったのが、記事2ページめの5・6段落めです。ちょっと長いけど、引用しますね。

「退職に『交渉』は一切必要ありません。退職意思の通知で問題なく退職は確定すると法律で定められています」と書かれていますが、必ずしもそうとは言い切れないでしょう。

たとえば、年次有給休暇の消化、残業代などの未払い賃金、退職金、ハラスメントなどの損害賠償請求における交渉はどうするのか。さらに職場が「退職代行業者からの通知は受け付けない」「何らかの反論をしてきた」などの際も交渉はできません。

これを読んだ時点で、「この人は退職代行サービスを使う人を大きく誤解してるな」と思ったんですよ。

正直、(ごく一部を除いて)書いていることが間違っているわけじゃないんです。だから従業員が真っ当に辞められる精神状態をキープしていて、かつそれが通る職場なら80点くらいの回答です。20点の減点は、があるから。これはあとで書きます。

とにかく、退職代行サービスの利用者って、端的に言えば「追い込まれた人」なんですよね。もちろん全員じゃないでしょうけど、メインはそういう人です。有給消化とか残業代の未払いではなく、「どうすれば辞められるのか」と必死なんですよ。

そんな人から見れば、有給とかなんて取るに足らないこと。なんでそれが分からないのか。

しかもね、記事の3ページで使われているホームページからスクショしたであろう写真にこう書かれているんですよ。

退職理由は様々ですが、ほとんどの方はサービスを使わざるを得ない状況に追い込まれてご相談をされてきます。

引用:上記記事3ページめ、最下段の写真より

こういうスクショを用意しておきながら、そのことを無視して原稿を書いている。しかも利用者に寄り添うどころか、下に見るような書き方で。

私はこういう姿勢が心の底から大嫌いです。

法律に添わない警告

個人的にいちばん酷いと思った部分です。それは先ほどの引用部分でも示唆されていますが、4ページめにも堂々と出てきます。

もう1つ最悪なのは、民間の退職代行業者を利用したことで、企業から「非弁行為に該当することを理由に退職を受け付けてもらえない」というケース。

手続きが行われないだけでなく、欠勤扱いにされたあげく、懲戒解雇されるなど、今後のキャリアに悪影響を及ぼすケースもないとは言い切れません。

引用:上記記事4ページめ、1・2段落めより

これ、本当に最悪ですよ。

なぜか? 真っ赤な嘘、というか、ルール違反だからです。

伝えてきた相手が代行業者だから退職の意思を受け付けない、なんてことはできません。

この手の記事では毎回、引用していますが、民法第六百二十七条で「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」と規定されています。

ちなみに、この申入れが「本人でなきゃいけない」とか「書面で」とか、そういうのは制限されていないんですよ。だから、代理人だろうが代行業者だろうが、有効です。

もし企業が「代行業者は非弁行為をするから受け付けない」なんて言ってきても、「私は伝えましたので、本日から2週間をもって依頼人は退職いたします」と伝えて電話を切ればいいだけ。一応言っておくと、これ、「交渉」じゃないからセーフです。単なる通知・通告ですから。

それにね。

もし仮に、その後の会話の中で「交渉」と判断されるような“ミス”を代行業者がしたとしても、あなたの退職が無効になるわけではありません。弁護士を抱えていない民間業者だって、おそらく通知と同時に内容証明郵便くらいは送っているでしょうしね。きっちり2週間で退職は有効となるはずです。

なのに、この記事では「懲戒解雇にされる」、「キャリアに悪影響」なんて書いて読者の不安を煽る……。

そもそも、懲戒解雇は「労働者にとっての死刑宣告」と言われるほど重く、その分、認められるには相応の理由が必要です。退職通知後、2週間無断欠勤をしたくらいで認められることは、過去の判例上、まずありえません。

著者は、代表者が逮捕された「モームリ」には、何を言ってもいいとでも思っているのでしょうか。

それとも、過去にモームリを使って退職した方たちが不安だろうが、今すぐ退職したいけどどうすればいいのか迷子になっている人の気持ちはどうでもよくて、PVさえ稼げればいいんでしょうか。

どちらにせよ、控えめに言って最低です。

まとめ:辞めた人、辞めたい人は安心して!

前回と似たような締めになっちゃうけど…。

過去にモームリを使って退職した方。何も心配しないでくださいね。あなたは何も間違ったことはしていません。たまたま、頼んだ会社がバカなことをしていただけ。あなたが罪に問われるとか、遡って退職が無効になるとか、損害賠償を請求されるとか、そんなことはありませんから。

今、退職を悩んでいる方。代行を使うことを「悪いことだ」、「違法かもしれない」なんて思う必要は一切、ありませんよ。あなたの権利ですし、なによりあなた自身を守ることはむしろ「義務」であり「責任」ですから。

もし過去記事を読んでいる方がいたら、こう思うかもしれません。「お前は退職代行サービスに否定的だったのでは?」と。

はい。今もそう思っていますよ。理由はずっと書いてきたとおり、「コスパが悪い」から。

だって、自分で退職届を書いて内容証明で送りつければ数百円で100%退職できるのに、そこに2万円以上払うの、もったいなくないですか? それよりも、浮いたお金で「美味しいお寿司やステーキ&お酒」で自分への退職祝いを開いたほうがいい、って思っちゃうんです。

でも、無理はしないでくださいね。どうしても自分で切り出せないなら、ちょっと割高だけど弁護士法人の退職代行を頼んでください。お金よりお寿司より、あなたの人生のほうがよっぽど大切ですから。

とにかく。

この記事のように企業を勘違いさせて、従業員を不安にさせて、世の中がどんどん悪くなっていくなんて、これ以上悲しいことはありません。それだけは書いておきたかった。

無駄にざわつかされた皆様の心が、わずかでも落ち着いたなら幸いです。

\学歴・経験不問の求人は/
\『ジョブリット』で検索/
ジョブリット

求人情報一覧です。20代が活躍できる未経験の求人・仕事情報なら【ジョブリット】にお任せ!…

「モームリ」事件の余波。退職代行サービスは「悪」なのか?
この記事が参考になったらフォローしよう!