なかなか転職活動が上手くいかない。
そんな悩みを持つ転職希望者は多いことでしょう。
中には、あまりにうまくいかないせいで、自分は世の中から必要とされてない、と落ち込む方もいらっしゃるかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。もしかすると、そもそもライバルの多い業種ばかり狙っていませんか?
そこで今回は厚生労働省のデータから、狙い目の業種やエリアを紹介していきます。
有効求人倍率をみれば市場が分かる!
今回使用するのは厚生労働省が毎月調査・公表している「一般職業紹介状況」というデータの最新版(2024年10月分)。
こちらは全国の公共職業安定所(ハローワーク)で扱った求人、求職、就職の状況を取りまとめたものです。
240万件を超える膨大な求人データを元に算出されるため、その信頼度は折り紙付き。
そしてその中でも求職者が一度はチェックしておきたいのが、有効求人倍率です。
有効求人倍率とは?
今回、特に注目していくのが有効求人倍率。こちらは雇用の状況をあらわす数値です。
数値は下記の計算式で算出されます。
要するに、数値は求職者1人あたりに何件の求人が出ているかを表すということ。数字が大きいほど求人が多い、つまり内定をもらいやすいことになるわけです。
厚生労働省はきちんと職種ごとの数値も公表しています。
皆さんも志望する職種の数値は一度、チェックしておいてください。
有効求人倍率が高い職種
ではまず、職種ごとの有効求人倍率をランキング形式で見ていきましょう。
ちなみに職種は、総務省が定めた日本標準職業分類に応じて括られています。
こちらの説明は非常に長くなってしまうので、総務省のホームページでご確認ください。
大分類ごとの有効求人倍率
まずは「大分類」と呼ばれる、大きなくくりごとの有効求人倍率をご覧ください。
大分類ごとの有効求人倍率 | ||
順位 | 職業 | 倍率 |
1位 | 保安職業従事者 | 6.87 |
2位 | 建設・採掘従事者 | 5.34 |
3位 | サービス職業従事者 | 3.05 |
4位 | 輸送・機械運転従事者 | 2.24 |
5位 | 販売従事者 | 2.09 |
6位 | 専門的・技術的職業従事者 | 1.89 |
7位 | 生産工程従事者 | 1.59 |
8位 | 農林漁業従事者 | 1.16 |
9位 | 管理的職業従事者 | 0.97 |
10位 | 運搬・清掃・包装等従事者 | 0.76 |
11位 | 事務従事者 | 0.44 |
(厚生労働省 『一般職業紹介状況(令和6年10月分)』参考統計表7-1より抜粋)
狙い目の職種
数値上、もっとも有効求人倍率が高い=就職しやすいのは保安職業従事者。こちらはいわゆる警備員などが該当します。
また建設系の業種やサービス業全般、運転手などもかなり倍率が高くなっています。
ただし、これらは一般的にブルーカラーと呼ばれるもの。体力に自信のない方は避けたい業種かもしれません。
そんな中、ホワイトカラー職でありながら倍率が高くなっているのが「専門的・技術的職業従事者」。ここはかなり幅の広い分類で医師や保健師、看護師などのほか、各種の研究者、製造業の中でも一般的に開発者・技術者と呼ばれる職、さらには記者やデザイナーなどが該当します。
その中でも特におすすめしたいのが、未経験者もチャレンジしやすいSE(システムエンジニア)・PG(プログラマー)、Webライターの3つ。
いずれも将来性が非常に高い職業なので、ここではそれらを含む「専門的・技術的職業従事者」を狙い目として挙げさせていただきます。
ゼロからものを生み出す、いつの時代も人気のクリエイティブ職。ライターやカメラマン、デザイナーなど、いわゆるクリエイターと…
中分類ごとの有効求人倍率
先ほど紹介した「大分類」よりも、もう少し細分化した職種の数値も見ていきましょう。
ただし一般職業紹介状況のデータには、「管理的職業従事者」と「保安職業従事者」、「農林漁業従事者」は中分類が存在しないため、この3分類に関しては上と同じ数値で比較していきます。
中分類ごとの有効求人倍率 | ||
順位 | 職業 | 倍率 |
1位 | 建設躯体工事従事者 | 8.70 |
2位 | その他の技術者 | 7.18 |
3位 | 保安職業従事者 | 6.87 |
4位 | 土木作業従事者 | 6.49 |
5位 | 建築・土木・測量技術者 | 5.78 |
6位 | 建設従事者(建設躯体工事従事者を除く) | 4.85 |
7位 | 採掘従事者 | 4.52 |
8位 | 機械整備・修理従事者 | 4.18 |
9位 | 介護サービス職業従事者 | 4.09 |
10位 | 家庭生活支援サービス職業従事者 | 3.66 |
11位 | 運輸・郵便事務従事者 | 3.56 |
12位 | 電気工事従事者 | 3.33 |
13位 | 保健医療サービス職業従事者 | 3.26 |
14位 | 生活衛生サービス職業従事者 | 3.22 |
15位 | 医療技術者 | 3.12 |
16位 | 外勤事務従事者 | 3.09 |
17位 | 接客・給仕職業従事者 | 2.90 |
18位 | 飲食物調理従事者 | 2.83 |
19位 | 社会福祉専門職業従事者 | 2.78 |
20位 | 販売類似職業従事者 | 2.77 |
21位 | 自動車運転従事者 | 2.67 |
22位 | 医師,歯科医師,獣医師,薬剤師 | 2.25 |
23位 | 営業職業従事者 | 2.22 |
24位 | 製品製造・加工処理従事者(金属製品) | 2.11 |
25位 | 保健師,助産師,看護師 | 2.08 |
26位 | その他の保健医療従事者 | 2.04 |
27位 | 製造技術者(開発) | 2.02 |
28位 | 商品販売従事者 | 1.99 |
29位 | 生産設備制御・監視従事者(金属製品を除く) | 1.95 |
30位 | 定置・建設機械運転従事者 | 1.93 |
31位 | 製品製造・加工処理従事者(金属製品を除く) | 1.82 |
32位 | 製品検査従事者(金属製品を除く) | 1.76 |
33位 | その他のサービス職業従事者 | 1.71 |
34位 | 生産関連事務従事者 | 1.51 |
35位 | 情報処理・通信技術者 | 1.50 |
清掃従事者 | 1.50 | |
37位 | 運搬従事者 | 1.19 |
38位 | 農林漁業従事者 | 1.16 |
39位 | 製品検査従事者(金属製品) | 1.10 |
40位 | 機械検査従事者 | 1.09 |
41位 | 包装従事者 | 1.07 |
42位 | 営業・販売事務従事者 | 1.04 |
43位 | 居住施設・ビル等管理人 | 1.03 |
44位 | 生産設備制御・監視従事者(金属製品) | 1.00 |
45位 | 管理的職業従事者 | 0.97 |
46位 | 鉄道運転従事者 | 0.96 |
47位 | 生産関連・生産類似作業従事者 | 0.89 |
48位 | その他の専門的職業 | 0.81 |
49位 | 製造技術者(開発を除く) | 0.76 |
その他の輸送従事者 | 0.76 | |
51位 | 機械組立設備制御・監視従事者 | 0.75 |
52位 | 機械組立従事者 | 0.68 |
53位 | 会計事務従事者 | 0.67 |
54位 | 船舶・航空機運転従事者 | 0.52 |
55位 | 事務用機器操作員 | 0.37 |
56位 | 一般事務従事者 | 0.35 |
57位 | その他の運搬・清掃・包装等従事者 | 0.33 |
58位 | 美術家,デザイナー,写真家,映像撮影者 | 0.18 |
(厚生労働省 『一般職業紹介状況(令和6年10月分)』参考統計表7-1より抜粋)
狙い目の職種①営業職
ここでも倍率が高い職種は体力、もしくは専門的な資格が必要なものが中心。
そんな中、注目は23位の営業職(2.02倍)と34位の生産関連事務(1.51倍)でしょうか。
まず営業職は皆さんご存じのとおり、経験や学歴、資格よりも成果が給与に大きく影響する職業。同時に、業界・業種を問わずほぼすべての企業が必要とするほどの重要な仕事です。
また業務を通じてさまざまなキャリアパスを実現できることも魅力。倍率も高いので、最初はこちらをおすすめといたします。
狙い目の職種②生産関連事務
もう一つの生産関連事務は、実はかなり穴場と言える職種です。
そもそも、事務系の職種は時代を問わず大人気で、その分有効求人倍率もかなり低くなっています。
ただ生産関連事務だけは主に製造業での事務作業ということで激務と勘違いされているのか、安定して倍率が「1」を超えているのです。
実際のところ、業務内容はデータ入力や書類作成、来客対応など一般的な事務作業ばかり。
労働時間についても、職業紹介サイト『job tag』のデータでは月166時間(一般事務は163時間)とわずかに長い程度です。
なにより、事務職の経験を積めるため、一般事務へのステップアップ元には最適なはず。
事務職を探しているけど上手くいかない。そんな悩みをお持ちの方はぜひ一度、生産関連事務もチェックしてください。
都道府県ごとの有効求人倍率
最後は都道府県別の倍率をみていきましょう。
都道府県別の有効求人倍率 | ||
順位 | 都道府県 | 倍率 |
1位 | 福井県 | 1.94 |
2位 | 山口県 | 1.73 |
3位 | 香川県 | 1.65 |
4位 | 富山県 | 1.58 |
島根県 | 1.58 | |
6位 | 大分県 | 1.57 |
7位 | 茨城県 | 1.56 |
8位 | 山梨県 | 1.55 |
岐阜県 | 1.55 | |
10位 | 山形県 | 1.51 |
11位 | 新潟県 | 1.50 |
12位 | 石川県 | 1.49 |
13位 | 愛媛県 | 1.47 |
14位 | 鳥取県 | 1.46 |
佐賀県 | 1.46 | |
16位 | 長崎県 | 1.44 |
宮崎県 | 1.44 | |
18位 | 群馬県 | 1.42 |
19位 | 岡山県 | 1.41 |
20位 | 秋田県 | 1.40 |
福島県 | 1.40 | |
22位 | 長崎県 | 1.39 |
23位 | 熊本県 | 1.38 |
24位 | 三重県 | 1.35 |
奈良県 | 1.35 | |
26位 | 広島県 | 1.32 |
27位 | 岩手県 | 1.29 |
滋賀県 | 1.29 | |
29位 | 栃木県 | 1.28 |
30位 | 静岡県 | 1.26 |
京都府 | 1.26 | |
32位 | 千葉県 | 1.25 |
33位 | 愛知県 | 1.24 |
34位 | 宮城県 | 1.23 |
徳島県 | 1.23 | |
36位 | 青森県 | 1.22 |
鹿児島県 | 1.22 | |
38位 | 和歌山県 | 1.19 |
高知県 | 1.19 | |
40位 | 埼玉県 | 1.16 |
41位 | 兵庫県 | 1.15 |
沖縄県 | 1.15 | |
43位 | 東京都 | 1.13 |
44位 | 神奈川県 | 1.11 |
45位 | 福岡県 | 1.08 |
46位 | 北海道 | 1.06 |
大阪府 | 1.06 |
(厚生労働省 『一般職業紹介状況(令和6年10月分)』第6表-1より抜粋)
おすすめのエリア
全体の傾向を見ると、各地方の中心地の数値は低くなりがちな一方、その隣県が高くなっています。
就職/転職活動がうまくいっていない方のうち、いわゆる大都市で仕事を探している方は、その周辺地域まで手を広げてみることをおすすめします。
もうひとつ、気にしていただきたいのが、働きたい県・市の平均年齢とその分布。
というのも、住民の年齢は地域によって大きく異なります。そして一般的には、大都市よりも地方都市のほうが高齢化が進んでいる傾向にあります。
そして、若年層が多い大都市にある企業は20代を中心とする若手獲得にこだわりやすい一方、高齢化が進んでいる地方都市の企業では30代~40代の獲得も現実的なプランとして想定しています。
30代~40代前半で転職先に悩んでいる方は、高齢化に悩むエリアを狙ってみるといいかもしれません。
まとめ:こだわりは大事!でもこだわりすぎは良くない!
仕事を探すにあたり、職種や地域にこだわりを持っている方もいることでしょう。
一生とまでは言わなくても、長い期間、生活の中心になるのですから、こだわること自体は大事です。
同時に、そのこだわりが強すぎるあまり時間やチャンスを逃してしまうのであれば、もったいないとも言えます。
大切なのは、今すぐ目標にできるだけ近い仕事へ就くことではなく、少し時間がかかっても理想のキャリアプランを叶えることではないでしょうか。
就職/転職活動が順調でない方は、対象とする職種やエリアを少しずつ広げながら、柔軟な仕事探しをしてみてください。
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