求職者の疑問に答える『面接の謎』シリーズ。
第7弾となる今回、解明していくのは質問の前振りで登場する「選考には一切、関係ありません」という言葉です。
きっと多くの方が一度は聞いたことがあるでしょう。
でも、大事な面接の場で、選考に関係ない質問なんてありえるのでしょうか。
今回はこの言葉のあとにされる質問は本当に選考に影響しないのか。もし違うなら、なぜそんな前置きをするのか。
それらについて解説していきたいと思います。
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「選考とは無関係」と言われても油断は禁物!
企業や人事担当者にもよりますが、一般的に面接の時間は30分~1時間程度。
そんな短い時間で応募者のキャリアや人柄を把握するのは、簡単ではありません。
ということは、本当に選考と無関係な質問をしている時間的余裕もありませんよね。
その言葉を真に受けて「じゃあ適当に答えておこう」、「本当のことを言えばいいんだ」と思ってしまうのは非常にリスキーです。
ではなぜわざわざこんな前置きをするのか。一般的には以下のような理由が考えられます。
緊張感をほぐしたい
本音を確認したい
センシティブな内容を聞く
これらについて、1つずつ解説していきましょう。
緊張感をほぐしたい
もっとも多いパターンがこちら。当コーナーでも何度も書いてきたように、誰でも面接の場では緊張してしまうもの。
そしてその緊張は、応募者の巣の姿を知りたい面接官にとって邪魔でしかありません。
多くの面接官はできるだけ早く緊張をほぐすために、あの手この手を使います。そしてその手段の1つが「これは選考とは一切、関係ないんですが…」という前置きです。
対策方法
このケースであれば、求職者には気を付けるポイントは特にありません。事前に想定しておいた回答を丁寧に伝えればOKです。
それでもいくつかアドバイスをするなら、この言葉のあと、あえて
・言葉遣いをほんの少しだけフランクにする
・回答の中にほんの少しだけユーモアを交える
など、前置きを受けての変化を見せるのは効果的です。
ただし、あくまでも「ほんの少しだけ」というのが大事。さじ加減を間違えてしまうと大きくマイナスとなってしまうため、自信のない方はこれまでどおりの受け答えを続けましょう。
本音を確認したい
巣の姿を知るために引き出したいものの1つに「本音」があります。
しかし特に日本では、面接の場で「本音」を話してもらうのは非常に困難です。なにせ日常生活でもなかなか本音を見せないのが日本人ですから。
そこで面接官は、少しでも本音(に近い回答)を引き出すためにこういった前置きをすることがあります。
このパターンで聞かれる質問の代表例が、他社の応募・選考状況に関する質問。「これは選考とは関係ありませんが」と前置きしつつ
「他に何社ほど応募していますか?」
「第一志望は我が社ですか?」
「他社の選考状況はどこまで進んでいますか?」
などと聞かれた経験のある方も多いでしょう。
対策①:応募社数
以前、「面接後半によくある質問」で解説したとおり、基本的に他社を受けていることを隠す必要はありません。同時に、すべてを素直に話す必要もありません。
まず実際に他社に応募していない場合は、それをそのまま伝えましょう。その際、“なぜ1社しか応募していないのか”という理由を説明できればなお好印象です。
続いて同業他社や同職種に複数、応募している場合。このときは「○社、応募しております」と素直に伝えたうえで、“御社の○○という企業風土を魅力に感じております”などの理由を添えて「御社が第一志望です」と付け加えましょう。
対策①の例外:応募社数が多い場合
最後に、職種や業種を問わず多数の企業に応募している方もいらっしゃることでしょう。
「とにかく就職したい」、「今の会社を辞めたい」など転職活動を行う理由はさまざまなので、それ自体は仕方ないことでもあります。
ただ、先ほど基本的に嘘をつく必要はないと書きましたが、この場合は話が変わります。なぜならこういったケースでは応募社数も増えますし、業界や業種もばらばらになってしまうからです。
求職者からすればやむを得ないことでも、企業側から見れば「どこでもいいのか」となってしまうのも事実。
ネガティブな印象を与えないためにも、業種か職種を絞ったうえで「営業職を中心に3社ほど応募しています」と返すのがベストでしょう。
ちなみに、多すぎると思われない応募社数は3~5社が一般的と言われています。
対策②選考状況
選考状況への模範回答例は、求職者の進行度合いや志望度によって異なります。
すでに内定をもらっている企業があるものの、面接を受けている会社を優先したい場合は「○○社から内定をいただいているのですが、私としては御社が第一志望なので、○○社にお願いして待っていただいております」と答えましょう。
これはネガティブどころか、他社が合格を出した=それだけ魅力的な人材と認識してもらえる可能性があります。
最終面接や二次選考へ進んでいる場合も上記とほぼ同様です。
一方、悩みやすいのが特に選考の進んでいる会社がない場合。まだ面接などが始まっていないだけならまだしも、応募した全社で落ちてしまったなら「他社からの評価が低い=能力や人柄が他者より劣る」と判断されると怖がる方もいるでしょう。
まずまだ選考が始まっていないのならば、素直に伝えましょう。その際「御社が第一志望です」と伝えることと、応募社数を3つ程度に留めることだけは忘れないでください。
次にすでに落ちている場合。こちらは伝える必要はありません。まだ選考が始まっていない、もしくはそもそも受けていないという形にするのがベストだと言えます。
センシティブな内容を聞く
ここでいうセンシティブとは、セクシャルなことではありません。
皆さんは、面接での質問内容は、職業安定法によってある程度縛られていることをご存じですか?
・本籍や出生地
・家族にかんすること
・宗教や支持政党
・人生観、座右の銘、尊敬する人物
・思想にかんすること
こういった「本人に責任のないこと」や「自由であるべき思想信条」について質問することは不適切とされています。
しかし、別に悪意というわけではなく聞いておきたいことも含まれています。特に『人生観、座右の銘、尊敬する人物』は人となりを把握するポイントになりえるかもしれません。
こういった質問をするために「選考とは無関係」とアピールすることもあるのです。
対策:センシティブな質問
まず大前提として、たとえ選考と無関係だとしてもこれらへの回答は拒否することも可能です。そしてそれを理由に評価が下がることも基本的にありえません。特に大企業であればなおさらです。
それを理解したうえで、ジョブリットメディア編集部は自分の不利にならない範囲で答えることをおすすめします。
特に多いであろう4つめに対する回答へのコツとしては、寛容さのアピールを忘れないこと、でしょう。
たとえば座右の銘を聞かれて「有言実行」と答えたとしましょう。この際「言葉ではなく行動で引っ張る人にも憧れるのですが、どうも自分はそういうタイプではないようで…」など、反対のタイプに対する配慮を見せておくと好印象に繋がります。
繰り返しますが、これらの質問はそもそも不適切であり、回答する義務はありません。
ただ、現実的に「座右の銘」や「尊敬する人物」などを聞かれることは多く、答えることでポジティブな評価をもらえるかもしれないと考えれば、適当な回答を用意しておくほうがより建設的ではないでしょうか。
まとめ:むしろ大事な質問が多い!
今回の記事をまとめると、「選考とは一切、無関係なのですが…」という前置きのあとにされる質問は、意外と重要性が高いということになります。
これはもしかすると、ある程度の方が予想していた結果だったかもしれません。
考えてみれば当たり前のことで、そもそも本当に不要なことであれば聞く必要はありませんし、わざわざ無関係とアピールするのは逆説的に「重要だ」と言っているようなものとも思えます。
そして、そんな質問に対して上手に答えられれば、それは大きなアピールに繋がるということです。
ピンチはチャンス。その言葉を胸に、ぜひ面接を乗り切ってください!
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